Q1: 輸入貨物が知的財産権を侵害しているとして税関で止められました。どう対応すればよいですか?
税関で知的財産権侵害の疑いがあると判断された貨物は、一時的に通関が停止されます。これは、正規品と酷似した模倣品や無許可で商標を使用した商品が含まれている可能性があるためです。
知的財産権の侵害には、商標権、特許権、意匠権、著作権などが関わるため、違反が確認されると、輸入が禁止されるだけでなく、罰則の対象となることもあります。
正規ライセンスを有するなら、その旨を証明する書類を提出します。それができなければ、没収されます。この問題の対処方法は、正規輸入である証明書を提出するのみです。それ以外はないと考えても良いでしょう。
税関にどの部分が問題なのか?を確認する
まず、税関からの通知(認定手続きの開始等)を確認し、どの知的財産権が問題となっているのかを確認します。もし、正規の輸入品であることを証明できる書類(製造元からの証明書やライセンス契約書など)がある場合は、速やかに提出します。(証明できない場合、貨物は押収・破棄される可能性があります。)
知的財産権を侵害していないと主張する場合は、税関に異議申し立てを行い、調査を依頼することも可能です。しかし、専門的な知識が必要となるため、場合によっては弁護士や専門家に相談することが望ましいでしょう。
知的財産侵害の疑いを受けやすいケース
知的財産権の侵害を疑われるケースには、いくつかの典型的なパターンがあります。最も一般的なのは、ブランドロゴやデザインが既存の商標や意匠と酷似しているケースです。
例えば、有名ブランドのロゴに似たデザインの商品を輸入した場合、税関がこれを模倣品と判断し、通関を停止することがあります。
椅子、プリンターカートリッジ、ゴミ箱、イヤホン、スマホ充電器、トレーニング器具などが侵害貨物として摘発されることが多いです。
また、正規品でも、輸入元が正規代理店でない場合、並行輸入が制限される国ではトラブルの原因となります。商標権者が輸入者の販売許可を得ていない場合、知的財産権侵害と見なされる可能性があります。
さらに、著作権の問題も考えられます。
例えば、キャラクターやアートワークを無許可で使用した商品が税関で発見されると、輸入が制限されるだけでなく、販売が禁止されることもあります。特に、DVD、CD、書籍、ゲームなどのコンテンツ商品は、著作権の厳しい規制を受けやすいので注意が必要です。
知的財産侵害物品の輸入を未然に防ぐための対策
まず、仕入れる前に商品の知的財産権の確認をすることが大切です。
例えば、特許情報プラットフォームを使えば、比較的、簡単に商標の有無を調べられます。取引先の信頼性を調査し、正規ライセンスの有無を確認します。特に、海外の安価な製品を輸入する際(特に中国製品)は、知的財産権に関する情報が曖昧なことが多いため、契約書や証明書の提出を求めることが重要です。
税関の知財摘発データベースもチェック
税関(財務省)の知的財産権情報データベースを活用し、事前に輸入予定の商品が問題となる可能性があるかを調査することも効果的です。税関では、特定のブランドやデザインの権利者が輸入差止申立を行っている場合があり、これに該当する商品は特に注意が必要です。
小ロット輸入での知財リスクをチェック
輸入前に小ロットで試験輸入を行い、問題が発生しないかを確認するのも有効です。すべての貨物をいきなり大量に輸入するのではなく、まずは少量を輸入し、税関の対応を確認することで、大きなリスクを避けられます。
現実的な対策としては、知的財産権を専門とする弁護士に相談する余裕がない場合でも、税関や商工会議所の無料相談を活用することで、基本的な知識を得ることができます。費用をかけずにできる範囲で情報収集を行い、リスク管理を徹底することが重要です。
初回の輸入量をできるだけ小さくし、知財リスクがないことを確認することも一つの方法です。これは、他法令が関連する全般の貨物に対して有効な戦略です。
まとめ
- 知的財産権侵害の疑いで税関に止められると、輸入が禁止される可能性がある。
- ブランドロゴやデザインが既存の商標と類似している場合、模倣品と見なされやすい。
- 並行輸入の規制や著作権侵害の可能性にも注意が必要。
- 輸入前に取引先の信頼性を確認し、ライセンス証明を取得する。
- 税関のデータベースを活用し、事前に知的財産権の確認を行う。
- 小ロットでの試験輸入し、リスクを最小限に抑える。=リスクの洗い出しをする。
- 商工会議所や税関の無料相談を利用し、知的財産権に関する情報を得る。