国際輸送において危険物の取り扱いは慎重に行わなければなりまん。特に、「有機過酸化物」は反応性が高く、適切な管理を怠ると火災や爆発の危険を伴います。
この記事では、有機過酸化物の特性、輸送に関する規制、トラブル事例、適切な取り扱い方法について解説していきます。
有機過酸化物とは?
有機過酸化物(Organic Peroxides)とは、過酸化基(−O−O−)を含む化合物であり、分解しやすく強い酸化作用があるため、適切な管理が必要な危険物です。
有機過酸化物の主な特性
- 酸化作用が強い
- 熱や衝撃に敏感
- 一部の有機過酸化物は揮発性が高い。
酸化作用が強い
他の物質と反応しやすく、火災の原因となることがあります。
熱や衝撃に敏感
温度が上昇すると急激に分解し、爆発することもあります。
一部の有機過酸化物は揮発性が高い
一部の有機過酸化物は揮発しやすく、密閉環境では危険性が増します。

直射日光、火気、衝撃、摩擦、強酸、強アルカリ物質との接触を避けることが重要です。
国際輸送における規制
国際輸送において、有機過酸化物は「危険物」として分類され、輸送方法には厳格な規制が設けられています。
1. 国際海上危険物規程(IMDGコード)
国際海事機関(IMO)が定めるIMDGコードでは、有機過酸化物は「クラス5.2(有機過酸化物)」に分類されます。
輸送のポイント
- 温度管理が必要なものは冷蔵コンテナを使用する。
- 一定量以上を輸送する場合、特別な認可が必要。
- 適切なUN番号(国連番号)を記載し、危険物表示を義務付ける。
2. 国際航空輸送(IATA-DGR)
航空輸送では、IATA(国際航空運送協会)の危険物規則(DGR)に基づいて取り扱われます。
航空輸送のポイント
- 航空輸送では特定の種類のみ輸送可能。
- 高温による分解を防ぐため、専用の梱包材が必要。
- 貨物室内の酸素濃度を制御して、火災リスクを小さくする。
3. 各国の規制
国ごとに異なる規制が存在するため、輸入時は各国の法律を確認します。
例えば、日本では「消防法」により、有機過酸化物の輸送や保管が厳しく制限されています。
実際に発生した有機過酸化物のトラブル事例
事例1:温度管理の失敗による「急激な分解」
ある輸送業者が有機過酸化物を海上輸送する際、適切な温度管理を行わなかったため、コンテナ内の温度が上昇し、貨物が急激な分解を起こしました。これにより、船舶の一部が損傷し、輸送が中断される事態となりました。
教訓
- 温度管理が必要な化学品は適切なコンテナ(冷蔵コンテナ)を選ぶ
- 貨物の特性を理解し、輸送中の温度変化を把握する。
事例2:誤ったラベル表示による税関での差し止め
海外のメーカーが適切な危険物ラベルを貼らずに貨物を輸送したため、税関で貨物が差し止められました。再申請に時間がかかり、顧客への納品が大幅に遅れた。
教訓
- 危険物ラベルの貼付や必要書類の確認を徹底する。
- 通関手続きをスムーズにするため、事前にフォワーダーと相談する。
安全な取り扱い方法
1. 適切な梱包とラベルの表示
有機過酸化物の輸送には、国際基準に適合した容器や包装材を使用し、適切な危険物ラベルの貼りつけが必要です。
2. 温度管理を徹底する
特に自己分解しやすい種類の有機過酸化物は、輸送時の温度管理が必須です。温度変化が激しい航空輸送では、冷蔵パッケージを活用することが重要です。
3. フォワーダーと事前に相談する
危険物の輸送に精通したフォワーダーを選定し、適切な輸送方法や通関手続きを相談することで、リスクを最小限に抑えられます。
危険品のコンテナ輸送ガイド|分類・規制・安全対策を徹底解説!
まとめ
- 有機過酸化物は、酸化性が強く取り扱いに注意が必要な化学品である。
- 国際輸送ではIMDGコードやIATA-DGRに従い、適切な輸送方法を選択する。
- 温度管理の失敗やラベルの誤りが、輸送事故や通関遅延を引き起こす
- 事前にフォワーダーと相談し、最適な輸送プランを立てることが重要
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