国際輸送において、船荷証券(B/L: Bill of Lading)は非常に重要な書類です。B/Lは貨物の所有権を証明するだけでなく、貿易取引の決済に関係します。当然、何らかの記載ミスがあれば、様々な影響を与えるでしょう。
本記事では、B/Lの記載ミスがもたらす影響と、具体的な対策について解説していきます。
船荷証券(B/L)の記載ミスとは?
B/Lの記載ミスとは、貨物の品目情報、輸送先、数量、契約条件などが誤って記載されることです。記載ミスにはいくつかのパターンがあります。
- 貨物の名称や数量の誤記
- 輸送先や荷受人の誤記
- コンテナ番号やシール番号の間違い
- 貿易条件(インコタームズ)の誤記
例えば、B/Lには「500ケース」と記載されているのに、実際には「450ケース」しか積まれていないなどです。また、目的地の港が「東京港」ではなく「横浜港」と記載されている。荷受人の名前が誤っていることもあります。
上記の他、荷受人の名前が誤っている。コンテナ番号が違う。貿易条件(ターム)が違うなどの記載ミスがあります。
B/L記載ミスがもたらす影響
B/Lの記載ミスが発生すると、輸送の遅延や追加のコストが発生する可能性があります。
例えば、税関申告時なら、B/Lの情報と実際の貨物情報が一致しないことで審査が長引きます。必要な税関検査等も実施されます。審査が長引けば、当然、予定していた納期にも影響を与えます。
また、B/Lは信用状(L/C)決済とも関係します。万が一、B/Lに記載ミスがあると銀行が書類を受理せず、決済ができないです。(買取拒否)輸出者(売り手)は代金を受け取るのが遅れ、キャッシュフローに悪影響を及ぼします。
一方、荷受人(買い手)が貨物を引き取る際にも問題が生じ、B/Lに記載された情報が誤っていると、貨物を引き取るための手続きも滞ります。こうした遅延は、取引先からの信頼を損なうことにもなります。

港で貨物が長期間留め置かれると、保管料や遅延料が発生します。
B/L記載ミスが発生した場合の対応策
まず、B/Lを発行する際に細心の注意を払うことが何よりも重要です。もし、あなたが輸出者なら、B/Lの下書き(ドラフト)は、輸出通関を代行する通関業者又はフォワーダーが代行してくれます。彼らがドラフトを作成し、最終的な内容をご自身の責任の下、行う形です。正規のB/Lは、あなたの確認後、発行されます。
したがって、B/Lの下書きに値するドラフトの確認が何よりも重要です。それでもなお、ミスが発見した場合は、次の方法により対応します。
船会社(フォーワーダー)に訂正B/L(コレクテッドB/L)の発行を依頼します。ただし、訂正には追加費用がかかることが多いため、速やかに対応しなければなりません。
税関や銀行への対応も重要です。税関に対しては、誤記の理由を説明し、訂正手続きすることで、通関手続きの遅延を最小限にします。
B/Lの訂正手順
- ミスを発見したら、すぐに船会社またはフォワーダーに連絡する
- 訂正が必要な箇所と正しい情報を明確に伝える
- 訂正理由を説明し、必要に応じて証拠書類を提出する
- 訂正B/L(コレクテッドB/L)の発行を依頼する
- 訂正に伴う追加費用の有無を確認し、必要な場合は支払いに同意する
- 訂正されたB/Lを受け取り、内容を再確認する
- 関係者(荷受人、銀行など)に訂正されたB/Lの情報を共有する
- 必要に応じて、税関や他の関係機関に訂正の経緯を説明する
まとめ
B/Lの記載ミスは、貿易取引において非常に深刻な問題を引き起こします。税関での遅延、銀行決済の遅れ、受取人の貨物引き取り不能など、多くのリスクが伴います。
しかし、事前のダブルチェック体制を整え、正確な情報管理を徹底すれば、こうしたトラブルを未然に防ぐことができます。万が一ミスが発生した場合には、迅速に訂正手続きを行い、スムーズな輸送を確保することが重要です。