貿易取引では、B/L(Bill of Lading、船荷証券)に記載されるコンサイニー(Consignee:荷受人)が輸入国にいないことがあります。この場合、貨物の引き取りや通関手続きで問題になります。
この記事では、コンサイニー不在のリスクと対策について解説します。
B/Lコンサイニーが輸入国にいない、どうすればいい?
B/Lのコンサイニーとは?
コンサイニーとは、B/Lに記載された貨物の正式な荷受人です。貨物を受け取れる権利者を表すため、コンサイニー欄には正確性が必要です。通常、コンサイニーには以下の形式があります。
- Named Consignee(指名荷受人):特定の会社や個人の名前が記載される
- To Order(指図式B/L):荷受人の名義を後で変更可能なB/L。
- Bank Consignee(銀行指図B/L):信用状(L/C)取引で利用され、銀行がコンサイニーとなる。
コンサイニーが輸入国にいないリスク
もし、B/L上のコンサイニーが輸入国に存在しない場合、以下の問題が発生します。
- 貨物の引き取りができない 荷受人がいなければ、通関手続きが進まず、貨物が港で滞留する。
- 滞船料(デマレージ)や倉庫保管費用の発生 予定通りに貨物を引き取れないと、港湾側からデマレージ(滞船料)や保管料を請求される。
- 最悪、貨物が廃棄または売却される 長期間引き取られない貨物は、現地の法律に基づき、オークションで売却されたり、廃棄されたりする
コンサイニーが不在の場合の事後対応
コンサイニーが輸入国にいないと場合、次の対応方法があります。
1. コンサイニー情報の修正(B/Lの訂正)
対応策の一つは、B/L上のコンサイニー情報の訂正です。船会社やフォワーダーに連絡し、正しい荷受人に変更してもらいます。ただし、B/Lの訂正には費用と時間がかかるため、早めの対応が必要です。

*注意 実際、B/Lの訂正は非常に困難です!
2. Nominated Consigneeの手配
貨物を引き取ることができる代理人を輸入国で手配し、新たなコンサイニーとして指定もできます。フォワーダーや物流会社がこのサービスを提供していることがあります。但し、B/L原本を所有する人の承認が必要になる点は留意します。
3. 通関代理人の利用
輸入通関を代行できる企業や代理店を通して、貨物を通関・引き取りする方法もあります。この場合、通関代理人がB/Lのコンサイニーとしての役割を果たします。
4. 原輸出者が貨物を回収する
コンサイニーがいない場合、輸出者が貨物を回収することもできます。しかし、貨物を送り返すには高額な輸送費が発生することに注意します。
5.サレンダーB/Lの利用
当初からリスク対策の一つとして、輸出国側で発行されたB/Lを差し戻す、サレンダーB/Lも有効です。
要注意!船荷証券(B/L)の記載ミスが引き起こす輸送トラブル
事前にできるリスク回避策
コンサイニー不在のリスクを未然に防ぐため、事前に以下の対策が有効です。
- 輸入者の存在を確認:取引前に、輸入者の住所や法人登録情報を確認
- B/L発行前に内容を確認:コンサイニー情報に誤りがないか確認する。
- 信用状(L/C)取引の活用:L/Cを利用すれば、銀行がコンサイニーとなるため、荷受人の不在リスクを軽減できる。
- Sea Waybillの使用:近距離の貿易では、B/Lの代わりにSea Waybillを使用することで、コンサイニー不在のリスクを軽減できる場合があります
まとめ
- コンサイニーが輸入国にいない場合、貨物の引き取りができず、デマレージや廃棄リスクが発生する。
- B/Lの訂正や代理人の手配など、迅速な対応が必要。
- 事前の確認と、適切なB/L管理がリスク回避につながる。
コンサイニー不在の問題は、輸出入業務において見落とされがちですが、適切な対応を行えば被害を最小限に抑えることができます。事前の準備と正しい情報管理が、スムーズな輸送を実現する鍵です
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