赤ちゃん用歩行器の検疫トラブル
検疫トラブルの事例(赤ちゃん用の歩行器)
赤ちゃん用の歩行器を輸入しようとした。ところがその歩行器の一部が取り外せることが判明し、税関検査&食品検疫となる。この結果、長期間留められることになり、約40万円の請求になった。
こちらが赤ちゃん用歩行器です。
問題の食品検疫の対象箇所(電話)
画像元:https://illustrain.com/及びhttps://www.sozai-library.com/
検疫トラブルの原因
このトラブルは、輸入者による事前の確認不足が原因です。赤ちゃん用歩行器は、赤ちゃんが使うことを前提とする器具です。よって、この時点で食品検疫の可能性を考えるべきでした。一般的には、赤ちゃん用歩行器は、食品検疫の対象外です。
しかしながら、この商品は、赤ちゃん用歩行器に電話部分が存在していた為、食品検疫の対象と判断されました。検疫所は、赤ちゃんが電話部分を引っ張り、口に入れる可能性を排除できないため、食品検疫の対象としたようです。
- 事前調査の不足
- 輸入法令の理解不足
- 見切り発車
- 根拠がない自信
検疫トラブルの対策
この件に限らず、輸入法令を甘く考える方は多いです。貿易を実行する場合は、必ず事前確認をするべきです。関連する法令がわからなければ、税関等へ相談するべきです。準備不足、何とかなる~の根拠がない自信はアテにならないため、気を付けましょう!
- 事前教示を使い、貨物のHSコードと適用される他法令を確認する。
- HSコードと他法令がわかったら、関係省庁に事前相談(食品は食品検疫所など)
- シッパー(売り手側)から商品に関する正しい書類や情報を入手する。
- 商品と書類が完全に同じであることを売り手側に約束させる。
食品検疫の可能性がある場合は、必ず食品の事前相談を受けること
少しでも食品検疫の可能性がある物は、食品検疫の事前相談を受けるようにします。
食品検疫=食品のみである。
上記の考えは、大きな間違いです。赤ちゃんが口にいれる可能性がある物は、広く食品扱いになると考えましょう!
食品検疫の対象物品例
- 幼児用のぬいぐるみ
- 人(赤ちゃん)が口にする器具
- 食器類
- 食品が触れる機械製品全般(触れる部分)
検疫トラブルの末路
検疫トラブルの末路は、次のいずれかです。
- 輸入許可取得
- 全量破棄
- 積戻し
輸入許可取得
仮に検疫トラブルになったとしても港にコンテナを留め置いたまま食品検疫を受けられます。但し、保管料(デマレッジ)がかかります。港では、フリータイムを経過すると、一日単位、かつ留め置いている期間が長いほど、どんどんと保管料がかかります。=検疫には、一定の審査日数が必要です。
全量破棄
全量破棄とは、港湾の指定業者により、輸入貨物を全て破棄することです。当然、商品代金等の補償は一切ないです。これに加えて、破棄代金・処分代金を負担する義務もあります。なお、破棄品は、輸入許可前(外国貨物)のため、自身で処分もできないです。必ず指定業者が担当します。
積戻し
積戻しは、字のごとく貨物を輸出先国側に戻すことです。しかし、実際は、これは難しいです。なぜなら、貨物自体に瑕疵がない限り、輸出者が積戻しを受け入れる義務はないからです。輸入違反は、確認を行った輸入者側の責任です。