輸入食品が廃棄処分!? 海外では普通の食品添加物が日本で禁止されている!?

海外の食品を輸入し、日本の市場で販売するときは「食品添加物」に関する検疫トラブルに注意します。実は、海外で一般的に使用される食品添加物でも日本では認められないことも多いです。結果、通関でストップし、廃棄処分となる事態になることもあります。

食品の輸入不許可は、経済的な損失の他、信用の低下にもつながります。できるだけ、輸入不許可のリスクを下げる為にも輸入前に入念な情報収集が重要です。

本記事では、海外と日本の食品添加物の基準の違いと、実際に起きた検疫トラブルの事例を詳しく解説していきます。

海外の食品添加物が日本で禁止されている。

食品添加物は、食品の風味を向上させたり、保存性を高めたりするために世界中で広く使用されています。しかし、国ごとに使用基準が異なるため、海外で認可されているものが日本では禁止されている物も多いです。

日本の食品衛生法では、使用が認められた食品添加物以外は使用できないルールがあります。つまり、日本ではポジティブリスト方式を採用しており、認可されている添加物のみが使用可能です。

一方、アメリカやEUのようにネガティブリスト方式(禁止されているもの以外は使用可能)を採用している国では、より多くの食品添加物が使用されています。

この違いが、輸入時の検疫トラブルにつながる一つの原因です。

例えば、海外の食品メーカーが海外基準の添加物を基準にして商品を製造すると、輸入国側の検疫トラブルになる可能性が非常に高いです。

各国ごとに食品に使用できる添加物基準が違います!

実際に起こった食品添加物違反の事例

アメリカ産の清涼飲料水:着色料違反

ある輸入業者が、アメリカで大人気のカラフルな清涼飲料水を輸入しました。輸送は順調に進み、日本の港に到着。しかし、検疫検査で使用されている着色料の一部が日本の食品衛生法に適合していないことが判明しました。

アメリカでは問題なく使用されている人工着色料でしたが、日本では未認可のため、数千本の清涼飲料水が廃棄処分となりました。この業者は、着色料の使用について事前確認を怠っていたため、大きな損害を被ることになりました。

東南アジア産ドライフルーツ:保存料の基準違反

健康志向の高まりとともに、東南アジア産のドライマンゴーの輸入が増えています。しかし、ある業者が輸入したドライフルーツが、日本の検疫でストップされました。原因は、日本では未認可の保存料が使用されていたことでした。

現地の生産者は「EUでもアメリカでも問題なく販売されている」と主張しましたが、日本の基準とは異なります。そのため、輸入許可が下りず、すべての在庫が輸入不許可・廃棄処分となりました。このケースでは、事前に現地の製造業者と詳細な確認をしていなかったことが大きなミスとなりました。

中国産インスタント食品:防腐剤の違反

ある食品メーカーが、中国で製造されたインスタント麺を輸入しました。しかし、モニタリング検査で日本の基準を超える防腐剤が含まれていることが発覚しました。

中国では問題なく流通している食品添加物でも、日本の食品衛生法に適合しない成分が含まれていたため、この商品は輸入不可となり、全量廃棄されました。さらに、この業者は違反履歴がついてしまったため、今後の輸入品に対してより厳しい検査が実施されることになり、ビジネスの継続が難しくなりました。

食品添加物違反を防ぐための対策

このようなトラブルを避けるためには、輸入前にリスク管理を行う必要があります。

まず、輸入予定の商品に含まれる食品添加物のリストを事前に取得し、日本の基準と照らし合わせます。特に、海外メーカーは「自国では問題ないから」と、日本の基準を考慮せずに製造していることが多いため、輸入者側が確認しなければなりません。

次に、事前に第三者検査機関で食品成分の分析を行うのも有効です。輸送後に違反が発覚すると、廃棄や返品で大きな損害が発生しますが、輸出前に検査を実施しておけば、成分の修正や調整が可能になります。

また、現地のサプライヤーと日本の食品衛生法について共有し、認可された添加物のみを使用するよう指導することも重要です。食品メーカーによっては、日本市場向けに特別なレシピで製造することが可能な場合もあるため、交渉の余地があります。

認められている食品添加物リスト

厚生省の食品添加物リスト

まとめ:輸入前の確認が成功の鍵

海外では一般的に使用されている食品添加物でも、日本では食品衛生法違反となり輸入が認められないケースが少なくありません。事前の確認を怠れば、多額の投資をした商品が廃棄処分となるリスクもあります。

輸入業者は、食品添加物の違いを理解し、輸入前にしっかりとしたリスク管理を行うことで、安全な輸入ビジネスを継続することができます。「海外で売れているから問題ない」ではなく、「日本で認可されているのか?」を常に意識することが、ビジネスの成功につながるのです。

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