輸出を考えている事業者にとって、どのような税金がかかるのかを知ることは重要です。特に小規模事業者にとっては、税負担を最小限に抑えつつ、適切な手続きをすることが求められます。
この記事では、輸出時にかかる税金の種類について解説していきます。
日本に商品を輸入するときにかかる税金(関税、輸入消費税)を解説
輸出取引と税金
輸出時にかかる税金の種類
輸出取引では、国内取引とは異なる税制度が適用されます。
1. 消費税
日本国内で取引される商品には、消費税がかかりますが、輸出取引の場合は「輸出免税」の対象です。これは、輸出品が国内で消費されるわけではないため、二重課税を防ぐ目的で設けられた制度です。事業者が適切な輸出申告をすることで、消費税を支払う必要がなくなります。
2. 関税
通常、日本から輸出する際に関税は発生しませんが、輸出先の国では輸入関税が課されます。(輸入国側の税制度によるもの)直接の負担義務は、輸入者側ですが、契約内容によっては、輸出者が一部負担することもあります。

とても多い勘違いです!一部の国(ロシアや中国など)関税は、輸出側ではかからないです。輸入国側の輸入者が支払う税金です。
3. 所得税・法人税
輸出による売上が発生した場合、その利益には所得税(個人事業主の場合)または法人税(法人の場合)がかかります。これは国内取引と同じです。
4. 輸出許可・規制に関わる手数料など
特定の商品(例:農産品、化学品、軍事関連物資など)を輸出する場合、輸出許可を受ける為に別の手数料がかかることがあります。
輸出時の消費税免税制度
輸出取引で最もおいしい仕組みは「輸出免税」です。日本国内で商品を仕入れた際に支払った消費税は、輸出を行うことで還付を受けられます。
1. 消費税還付の仕組み
輸出者が国内で商品を購入する際には消費税がかかります。しかし、その商品を輸出すると、課税売上ではなく輸出免税売上として扱われるため、仕入れ時に支払った消費税が還付されます。
2. 消費税還付を受けるための要件
消費税還付を受けるためには、以下の要件を満たす必要があります。
- 課税事業者であること(免税事業者不可)
- 適格請求書(インボイス)の保存
- 輸出許可書または輸出を証明する書類の提出
- 課税期間ごとの確定申告
事実上、10%の利益だとも考えられる。
輸出免税は、形を変えた「利益」です。輸出をした瞬間、約10%の利益が確定したとも考えられます。但し、実際は、10%が丸々還付されるのではなく、年間を通して(又は特定の期間で)消費税を支払った分と受け取った分を計算し、還付金額が確定します。
税負担の対策とコスト削減の方法
少しでも税負担を軽くするためには、どのようにすればいいのでしょうか?
1. 関税の軽減策
輸出先の国によっては、日本との間で経済連携協定(EPA)が締結されており、関税の優遇措置を受けられます。海外取引先(輸出先)での関税負担を軽減できる可能性があります。
2025年2月現在 | |
発効済(利用できる国) | シンガポール、メキシコ、マレーシア、チリ、タイ、インドネシア、ブルネイ、ASEAN、フィリピン、スイス、ベトナム、インド、ペルー、オーストラリア、モンゴル、TPP12、TPP11、日EU・EPA、米国、英国、RCEP(韓国+中国+アセアン+オーストラリアなど) |
交渉中 | トルコ、コロンビア、GCC、日中韓 |
その他(交渉中断等) | カナダ、韓国 |

EPAを締結している所は、当然、EPA税率を適用するために必要となる特定原産地証明書を要求してきます。
2. 適切な経費計上
輸出関連の業務にかかる費用(輸送費、保管費、梱包費など)を適切に経費として計上することで、所得税や法人税の負担を抑えられます。税務申告の際には、経費として計上できるものを把握し、適切に申告しましょう。
3. インボイス制度の活用
輸出取引では、適切なインボイスの発行が重要です。特に2023年10月から導入された「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」により、仕入税額控除を受けるためには適格請求書が必要になります。輸出取引においても、適格請求書の管理を徹底しましょう。
4. 税理士への相談
輸出に関する税務は複雑なため、専門の税理士への相談も重要です。特に、消費税還付の手続きや関税の軽減措置を活用するためには、専門家の知識が役立ちます。

実は、税理士の中でも輸出還付に詳しい方がいます。その方に依頼すると、より迅速に消費税の還付を受けられます。
まとめ
輸出にかかる税金は、消費税、関税、所得税・法人税、そして特定の商品に関わる規制税などがあります。消費税については輸出免税の対象となるため、適切な手続きを行うことで還付を受けられます。
また、関税の軽減策や経費の適切な計上、インボイス制度の活用などによって税負担を最小限に抑えることが可能です。輸出をスムーズに進めるために、正しい知識を身につけ、効果的な税務対策を行いましょう。
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