初めてのコンテナ輸送 輸出と輸入・通関の流れを徹底解説!

初めてコンテナ輸送を利用する方の為に、コンテナ輸送を前提とする輸出と輸入、通関の流れをわかりやすく解説していきます。この記事を読んで、スムーズなコンテナ輸送を実現しましょう。

航空輸送の基礎ガイド:初心者向けに輸出と輸入に分けて解説!

コンテナ輸送の流れ

コンテナ輸送の基本

コンテナ輸送は、20フィートや40フィートと呼ばれる箱に貨物を入れて運ぶことです。詳細は、以下のリンク先をご覧ください。

コンテナ輸出(輸出)の流れ

コンテナ輸送の「輸出」の流れは次の通りです。今回は、すでに輸出先との交渉が完了後に発送する部分を詳しく説明しています。

コンテナ輸送(輸出)の流れ

準備段階

まず、輸出準備をします。準備には、次の2つがあります。

  1. 書類準備
  2. 貨物の梱包準備
1.貨物の梱包

輸出に耐えられるように貨物を梱包します。輸出梱包には、次の物があります。

  • 木枠梱包
  • ダンボール梱包
  • パレット梱包

輸送する品目に応じて適切な梱包をすることが重要です。詳細は「輸出梱包の基本知識の解説」をご覧ください。

2.必要書類の作成(インボイス、パッキングリスト、B/Lなど)

輸出に必要な書類を作成します。主な物は、次の通りです。書類は、エクセル等のテンプレートを活用する他、オンライン作成サイト等を利用して作成することが多いです。この内、特定原産地証明書は、日本商工会議所への申請が必要です。発行までに時間がかかるため注意します。

  • インボイス=貨物の価格を証明する書類(自分で作成)
  • パッキングリスト=貨物の梱包状況を説明する書類(自分で作成)
  • B/L(船荷証券)=この後、本船に貨物を積み込んだら取得できます。(フォワーダーが発行)
  • 保険証券=海上保険や貿易保険を付保(インコタームズにより変わる=保険会社が作成)
  • 特定原産地証明書(日本商工会議所が発行)
作成した書類の用途

作成した書類は、フォワーダー(通関業者)に提出する他、販売先(輸出先)にも渡します。海外の販売先は、日本側で作成されたインボイス等を現地の税関に提出して、税関審査を受けます。

コンテナ輸送で必要な書類:輸出入の手続きをスムーズに進める!

輸送手配(ブッキング&フォワーダー選定)

輸送手配(ブッキング)は、フォワーダーと呼ばれる専門業者に依頼します。以下の情報を伝えて、適切な輸送方法を考えもらいましょう!

  • 貨物の詳細情報
  • 積み地、揚げ地(どこから、どこへ?)
  • 貨物の物量(3辺の大きさ、重量)
  • 荷姿(パレットなど)
  • FCL(コンテア輸送か)又はLCL(コンテナ未満輸送)
  • 出荷希望日等
  • デバン希望日

手配が完了すると、自社倉庫に空バン(空のコンテナ)を手配してもらえます。空バンが到着したら、書類と照合しながら貨物を詰めていきます。(バンニング作業)多くの時間がかかりそうなら、台切りという方法もあります。

実入りコンテナの輸送&輸出通関

バンニングが完了したら、フォワーダーにその旨を伝えます。その後、フォワーダーは、実入りコンテナをターミナルまで輸送し、保税地域に入れます。そこで、輸出申告をして輸出許可が下りるのを待ちます。(保税地域に搬入前に申告することも可能)この輸出許可を本船のカット日まで取得するようにします。

許可&本船積み込み

輸出許可が下りたらコンテナを本船に積み込みます。同時にフォワーダーは、荷主に対してB/Lの原本を3通発行します。このとき、そのままB/Lを預ける(荷主からフォワーダーに戻す)すとサレンダーB/Lとなります。サレンダーB/Lは、輸入国側でB/Lの原本は不要です。

一方、原本をそのまま引き取る場合は、別途、自身でB/Lの原本を販売先に送付します。(EMSなど)B/Lの原本は、貨物の引換券の役割があります。極めて重要な書類の為、L/C決済やT/T決済を実行するときに活用します。つまり、お金を支払わない限り、B/L原本を渡さない=貨物を引き渡さない仕組みです。

国際輸送

国際輸送が始めるまでの間に必ず海上保険をかけておきます。海上保険は、個別的にかける他、包括的に付保する方法もあります。(インコタームズにより保険付保の義務あり)輸送の追跡は、船会社のサイト上でB/L番号又はコンテナ番号を入力するとできます。最近は、デジタルフォワーダー等が自社サイト内で追尾できる仕組みを整えている所もあります。

目的地到着&輸入通関

本船が目的地に到着すると、コンテナがおろされて通関手続きに入ります。(買い手側の手配)その後、輸入許可が下り次第、買い手側の希望する所にコンテナごと輸送されます。輸入者側の指定地(例:倉庫など)にコンテナが到着したら、デバンをして貨物を取り出します。

これがコンテナ輸送(輸出)の流れです。続けて輸入側の動きを確認しましょう!

コンテナ輸送(輸入)の流れ

コンテナ輸送(輸入)の流れ

準備段階

輸入側の準備は、輸入通関の準備引き取り準備の2つです。輸入者は、コンテナ到着後、税関に対して輸入申告&輸入許可を得ます。

輸入許可を受ける=コンテナの引き取りができる。

  1. 輸入通関の準備
  2. 貨物を引き取るための準備
1.輸入通関の準備(必要書類)

インボイス、パッキング、B/Lは、輸出者から送付された物を使います。アライバルノーティスとは、船の到着を知らせる書類です。これは、フォワーダーが用意します。商品説明資料とは、貨物の仕様等を理解するための各種資料をさします。こちらは、輸入者が用意します。

  • インボイス
  • パッキングリスト
  • B/L
  • アライバルノーティス
  • 商品説明資料
  • 保険証券(任意)
  • 原産地証明書(任意)

全ての書類が揃ったら通関業者(フォワーダー含む)に書類を送付して輸入通関の準備をしてもらいます。通関業者とは、税関申告の代行業務ができる専門業者(許可制)です。準備とは、提出した書類から貨物のHSコードの特定及び関税額の計算等をしてもらうこです。通関業者からは、様々な質問がきますので、それに応じましょう。

書類の準備ができたら、通関業者は「予備申告」をします。予備申告をすることで、貨物が搬入される前に税関の審査を開始することができ、その分、引き取りまでの時間が短くなります。

コンテナ輸送で必要な書類:輸出入の手続きをスムーズに進める!

2.貨物引き取りの為の準備

上記の輸入通関の準備と同時に貨物を引き取る為の準備をします。実は、港から引き取る際は、フォワーダーに対して支払いが発生します。支払い額は、契約内容にもよります。(インコタームズ)

基本は、運賃の他、各種サーチャージ、輸入国側のターミナル諸費用の合計額を支払うことが多いです。この合計額は、アライバルノーティスに記載されています。アライバルノーティスには、支払先等も記載されている為、できるだけ早めに入金しましょう。

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入金確認ができると、フォワーダーから貨物を引き取る為のD/Oがリリースされます。(最近は、D/Oの書類は不要)D/Oがリリースされたら、後は、税関の輸入許可が下りるのを待つだけです。引き取りをするための準備は完了です。

D/Oの処理は、通関業者が無料で代行してくれる所が多いです。代行してもらう場合は、立替金が発生するため、10日後迄に支払うなどの取り決めをします。

輸入申告&税関検査

予備申告をすると審査区分が判明します。審査区分とは、輸入申告をした輸入者の実績を基にして、審査の取り扱い方法を決める仕組みです。

  • 区分1=簡易審査扱い(審査なし=そのまま許可)
  • 区分2=通常審査扱い
  • 区分3=税関検査

過去の輸入違反例もなく、適切な輸入実績がある方は区分1が出で簡易審査扱いで許可になります。それ以外の方は、通常審査扱いです。税関職員が順次書類を審査していきます。もし、区分3がでたら、税関検査が実施されます。

税関検査とは、申告内容(書類の内容)と貨物が一致しているかを確認することです。大型X線でコンテナを丸ごと透明化する方法の他、実際にコンテナを開き奥の方にある現物を確認することもあります。税関検査は拒否することはできず、そこに掛かる費用は、全て輸入者の責任の負担の下で行われます。

輸入許可書発布

無事に審査が終わり(税関検査が完了)コンテナの蔵置が完了(搬入があがる)すると、輸入許可署名書が発布されます。同時にシステム上からも貨物をリリースできる通知が活きます。D/O処理等が完了している場合は、すぐに貨物を引き取れます。

なお、輸入税(関税や消費税)は、輸入許可を受ける前に納税します。納税の完了をもって輸入許可が下りると考えましょう。これまで輸入税は、通関業者が建て替えることが当たり前でした。最近は、その傾向は、改善されてきており、輸入者のリアルタイム口座から自動で引き落とされる方法が一般的になっています。通関業者によっては、リアルタイム口座の開設を取引開始の条件にしている所も多いです。

立替払いはやめる。自分のキャッシュを把握し、リアルタイム口座を使った納税をおすすめします。

輸入許可後の動き

輸入許可が下りたら、専門の業者によりコンテナを国内輸送します。指定日の指定の時間、指定地にコンテナが届きます。なお、このコンテナを陸上輸送することをドレージと言います。ドレージには、ドレージ専門の会社が存在します。荷主からドレージ会社に依頼することもできます。ただ、効率性を考えて、多くは通関業者を経由して依頼することが多いです。

つまり、具体的な納品日、納品時間、納品場所などは、全て通関業者の営業マンとやり取りをするだけでいいことになります。(別個に配送の手配をする必要なし)ちなみにコンテナで届いた貨物は、必ずどこかでデバン(コンテナ取り出し作業)が必要です。

  • デバン作業は、港で行い、コンテナから取り出した後の状態で納品してもらう方法
  • コンテナごと届けてもらい自社でデバンをする方法

の2つがあります。人員、かけられる費用、デバン場所などを考えて選ぶようにします。ちなみに、港でデバンをする場合は、M3当たりのデバン費用がかかります。

一方、自社でデバンをする場合は、港から指定の納品場所までの往復の配送料金の他、自社のデバン作業代金(人件費)、等がかかります。またデバンができる広い敷地、ドレーが入り込める道・土地であるのかの判断も必要です。

デバンの標準作業時間は、2時間です。2時間以降は、待機料が発生します。また、コンテナのドライバーは、デバン作業は一切手伝わないです。完全に契約外です。自社でデバンをする場合は、コンテナのドライバーは一切、手伝わないことを前提に考えておきましょう!

コンテナのデバンニング条件・方法・料金等を解説!

輸出入に共通する注意点

輸出入は、共通している部分が多いです。特に共通して注意するべきことは、税関への申告です。少し貿易をかじったことがある方は、平気で間違ったことを口にすることがあります。

例えば「コンテナに入れたらわからないなど」です。実際は、大型X線を使えば、空のダンボールの有無など、かなり詳細な部分まで見つけることができます。

また、いわゆるアンダーバリューと呼ばれる脱税行為も気を付けるべきです。アンダーバリューとは、インボイスなどに実際の価格よりも低い額を記載し輸入税をごまかす事です。これは、重大な脱税行為に該当するため十分に気を付けましょう!

税関は、全国の税関を結ぶ「ナックス」と呼ばれる仕組みを持っています。このシステムには、過去に輸入申告をしたデータが膨大に蓄積されています。

例えば、○○原産の○○は、この時期○○円で申告されるなどです。このようなデータが蓄積している為、おのずと申告価格のレンジ。つまり幅がわかってきます。このレンジから逸脱した価格を申告した場合は、システムが「レンジアウト」として検知し、税関職員が申告内容を慎重に確認します。

アンダーバリューは、完全に脱税行為です。国という大きな組織の前では、一民間企業ごときが何かをちょろまかすことは非常に厳しいです。必ず適切な輸入申告を心がけましょう!

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