輸入通関のアンダーバリューとは?知らないと危険な実態とリスク

アンダーバリューとは?輸入通関での危険な過小申告

輸入するときは、税関に対して商品の価格や数量を申告する義務があります。(輸入申告)

しかし、一部の輸入者は関税や消費税を少なくするために、商品の価格を実際より低く申告する「アンダーバリュー(過小申告)」を行うことがあります。=脱税行為

関税や消費税は「課税価格」を基準に計算します。

課税価格とは、商品の購入価格(FOB価格)に加え、海外から日本への輸送費、保険料などを含めた総額です。輸入税は、この課税価格に%をかけて求める為、この価格を過小に申告するほど、本来支払うべき税額が減ります。これがアンダーバリューの問題点です。

税関は、どのようにしてアンダーバリューを見分けるのでしょうか? 今回は、輸入事業をしている方が知るべきアンダーバリューの仕組みを徹底解説します。

税関はどうやってアンダーバリューを見抜くのか?

「少しくらい安く申告してもバレないのでは?」と思う人もいるかもしれません。

しかし、これは実に浅はかな考えです。あなたの思いつくほとんどの方法は知られています。あなたが考えている以上に、税関のチェックは非常に厳しく、アンダーバリューを見抜くためのシステムが整っています。

1.過去の輸入データと比較

税関は、同じ商品が過去にどのくらいの価格で輸入されていたかの膨大なデータを所有します。(ナックス)市場価格よりも異常に安い価格で申告された場合、「レンジアウト(価格帯から外れている)」としてすぐに見つかります。

2.第三者データの活用

税関は、他国の税関データ、メーカーの価格リスト、国際的な取引価格データベースなどを活用し、申告価格の妥当性をチェックしていきます。

3.輸入者コードの監視

過去にアンダーバリューを行った輸入者や、税関から疑わしいと判断された企業の輸入者コードは要注意リストに入れられ、特に厳しくチェックしています。

4.現物検査と追加資料の請求

不審な価格の申告があった場合、税関は輸入者に対してインボイス(請求書)や支払い証明書の提出を求めたり、実際に商品の現物検査を行ったりします。もし実際の取引価格と申告価格に大きなズレがある場合、虚偽申告とみなされる可能性が高まります。

例えば、送金明細書の提出なども求められます。

アンダーバリューが発覚したらどうなるのか?

アンダーバリューが発覚した場合、輸入者は大きなリスクを負います。

1.追加課税と延滞税

過小申告が判明した場合、本来支払うべき関税・消費税の不足分に加え、延滞税や重加算税が課されることがあります。

2.罰則やペナルティ

アンダーバリューは脱税とみなされるため、悪質な場合は罰金や刑事罰(1年以下の懲役または罰金)に処される可能性があります。

3.輸入者コードの信用失墜

一度不正が発覚すると、輸入者コードに記録が残り、今後の輸入通関で特に厳しく審査されるようになります。結果として、通関の遅れや追加書類の提出を求められるなど、スムーズな輸入ができなくなる可能性があります。

「知らなかった」では済まされない!正しい課税価格の考え方

アンダーバリューのリスクを避けるためには、正しい課税価格の考え方を理解することが重要です。

1.課税価格の基本

課税価格は、商品の購入価格(FOB価格)+輸送費+保険料を合計した金額です。(商売目的での輸入)

2.適正なインボイスを用意する

税関はインボイス(請求書)をもとに課税価格を判断します。不適切な価格の記載がないよう、正しい価格のインボイスを用意します。

3.関税評価制度を理解する

関税評価の方法には、「取引価格方式」「類似価格方式」「代替価格方式」などがあります。自社の輸入品に最適な評価方法を理解することで、正しい申告が可能になります。

正しく関税評価ができない場合は、税関の相談センターで相談しましょう!

まとめ:アンダーバリューは絶対にNG!正しい輸入通関を行おう

アンダーバリューは、一見すると関税や消費税を節約できるように思えますが、発覚すれば重大なペナルティを受け、最悪の場合は輸入ビジネスの存続に影響を及ぼします。

税関は高性能なチェックシステムを持ち、過小申告を厳しく監視しています。不正が発覚した場合、追加課税や罰金だけでなく、輸入者コードの信用を失い、今後の輸入が困難になる可能性があります。

安全でスムーズな輸入を行うためにも、課税価格の正しい考え方を理解し、適正な価格で申告することが最も重要です。長期的なビジネスの成功のために、リスクの高い方法ではなく、正規の方法で輸入を行いましょう!

国際輸送トラブルの相談先

トラブルから探す
タイトルとURLをコピーしました