貿易において「予備申告」は、スムーズな輸出入を実現するために重要です。
この記事では、予備申告の基本から、実際の手続き、メリット、注意点、そして具体的な実務上の手順まで詳しく解説していきます。
予備申告とは?
予備申告とは、貨物が実際に港や空港に到着する前に、税関に対して事前に輸出入の申告することです。通常、貨物が日本に到着してから正式な申告を行うことになりますが、予備申告を活用することで、到着後すぐに通関手続きを進められます。基本的にすべての荷主が利用している仕組みだと考えてもOKです。
予備申告の仕組み
予備申告は、通常の輸出入申告と同様に税関へ申告する点は同じです。大きな違いは貨物の到着前に申告を済ませる点です。(貨物の到着=本船のETAより前)
通関業者やフォワーダーが輸入者・輸出者の代理として申告を行い、必要な書類(インボイス、パッキングリスト、原産地証明書など)を提出することで、貨物が到着した時点でスムーズに通関手続きを進められます。
予備申告のメリット
予備申告を行う最大のメリットは、通関手続きの時間短縮です。特に国際輸送では、貨物が港や空港に到着してから通関手続きを行うと、書類の不備や混雑状況によって数日から一週間以上の遅延が発生することがあります。
しかし、予備申告を活用することで、貨物到着とほぼ同時に通関が完了し、すぐに引き取ることができます。
また、予備申告をすることで、税関審査で問題が発生した場合でも、事前に修正や追加書類の提出ができるため、通関拒否や貨物の保留のリスクも減らせます。

予備申告を活用することで、関税や消費税の計算を事前に把握し、資金繰りの計画を立てやすくなるメリットもあります。
実務上の具体的な手順
1. 事前準備(輸出者・輸入者が行う)
予備申告のために、事前に必要な書類を揃えます。これらは、原本でなくてもOK。シッパー側から電子データー(PDFなど)で送信してもらいましょう。
- インボイス(Invoice):商品の価格、取引条件、売り手・買い手の情報
- パッキングリスト(Packing List):貨物の詳細、梱包の形態、重量、数量
- 原産地証明書(Certificate of Origin):原産国を証する書類
- B/L(船荷証券)またはAWB(航空貨物運送状):貨物輸送に関する情報
2. 通関業者への依頼(フォワーダーや通関業者が担当)
予備申告の書類は、通関業者やフォワーダーに渡します。通関業者は、受け取った書類をもとに税関に予備申告を行います。フォワーダーを利用する場合、通関業務を一括で依頼できるため、手続きをスムーズに進められます。
通関業者に書類を送る場合は、次の点に気を付けましょう!
- 書類の一部が抜け落ちていない?
- 書類の文字ははっきりと読める?
- 申告内容に誤りがないか?
- 書類の不足がないか?
3. 予備申告の実施(税関審査)
通関業者が税関へ書類を提出し、税関側で審査が行われます。審査の結果、問題がなければ貨物到着前に審査が終了します。ただし、ランダム検査や高リスク貨物に指定されると、追加の検査が必要になる場合があります。
4. 貨物の到着・正式な通関手続き
貨物が港や空港に到着すると、正式な通関手続きが行われます。予備申告が完了している場合、貨物到着後すぐに許可が下りるため、速やかに引き取りが可能になります。

*予備申告が終わっている場合、搬入完了後、本申告切り替えをすると、輸入許可になります!
予備申告の注意点
予備申告には、いくつかの注意点もあります。
- 税関審査の厳しさは、輸入申告者の実績や品目、原産国によって変わる。
- 申告内容と実際の貨物情報が一致していないといけない。
- 予備申告を行ったからといって、必ずスムーズに通関が進むわけではない。
- 場合によっては、税関検査の対象となる。
- 通関業者の選定が重要である。
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関連情報:今後の展望
近年、貿易手続きのデジタル化が進んでおり、電子申告の導入が加速しています。電子B/L(eB/L)の普及とともに、予備申告の電子化も進んでおり、今後さらに迅速で効率的な通関手続きが可能になると期待されています。特に、小規模事業者にとっては、通関手続きを簡略化し、コスト削減につなげる絶好の機会となるでしょう。
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まとめ
貿易の予備申告は、貨物の到着前に税関に申告を行うことで、通関手続きを迅速化し、輸出入業務をスムーズに進めるための重要な手法です。事前準備として必要書類を整え、信頼できる通関業者やフォワーダーに依頼することで、スムーズな通関を実現できます。デジタル化が進む中で、今後の貿易業務において予備申告の重要性はますます高まるでしょう。
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