日本に商品を輸入するときにかかる税金(関税、輸入消費税)を解説

日本に商品を輸入する時は、関税や輸入消費税などの税金が発生します。これらの税金は、輸入コストに大きな影響を与えるため、十分な理解が必要です。

この記事では、関税や輸入消費税の計算方法、税率、免税措置、関税割り当て制度について詳しく解説します。

日本に商品を輸入するときの税金

関税とは?

関税とは、海外から輸入される商品に対して課される税金の一つです。日本では、関税率は輸入する商品の種類によって異なり「関税率表(HSコード)=輸入統計品目表」に定められています。

関税の目的は、国内産業の保護や税収の確保です。

例えば、国内の農業や繊維産業を守るために、特定の農産物や繊維製品に対して高い関税が課されることがあります。一方で、特定の工業製品や原材料は、関税が低く抑えられていることがあります。

農産物程、関税による保護色が強いです!

具体的なHSコードの例と関税率の調べ方

HSコード(Harmonized System Code)は、国際的に統一された品目分類コードで、輸入する商品の種類ごとに適用される関税率を決定する際に使用されます。

例えば…….

  • コーヒー豆(0901.11):関税率 0%
  • 靴(6403.99):関税率 30%
  • 自動車(8703.23):関税率 10%

関税率が決まる要因

関税率が決まる要因は、以下3点です。

  1. 品目分類(HSコード):商品の種類ごとに異なる関税率が適用される。
  2. 原産国(EPA):経済連携協定(EPA)や自由貿易協定(FTA)を締結している国からの輸入品は、関税が減免されることがある。
  3. 特恵関税制度:発展途上国からの輸入品に対して、通常の関税率よりも低い特恵関税率が適用されることがある。

輸入する商品、原産国、特恵適用の有無などを「輸入統計品目表」で確認します。もし、ご自身で特定するののが難しい場合は、事前教示制度、通関業者、フォワーダーあるいは、各地の税関で相談ができます。

第一:関税を特定しよう!

関税額の計算方法

関税率が決まったら、下記の公式に当てはめることで、関税がわかります。

関税額=課税価格 × 関税率

課税価格

課税価格とは、CIF価格(商品価格+運賃+保険料+その他の費用)です。この金額に関税率を掛けることで関税がわかります。

例えば、課税価格が100万円で関税率が10%の場合、関税額は10万円です。

その他の費用の例(関税評価)
  • デザイン料やロイヤリティ:特定のデザインやブランド料
  • 仲介手数料:仲介業者を経由した場合の手数料

関税は、輸入統計品目表に記載されています。

輸入消費税とは?

輸入時は、関税の他、輸入消費税もかかります。つまり、関税+輸入消費税の合計が輸入する際に支払うべき税金です。

輸入時に支払う税金=関税+消費税の合計

輸入消費税は、日本国内で課される消費税の一環として、輸入品にも適用されます。輸入消費税の計算式は以下の通りです。

輸入消費税額 = (課税価格 + 関税)× 消費税率

例えば、課税価格が100万円、関税が10万円、消費税率が10%の場合、輸入消費税は11万円((100万円+10万円)×10%)です。

輸入消費税の納付方法は?

多くは通関業者を経由して支払います。(立替払い)最近は、直接、輸入者の口座から諸税が引き落とされるリアルタイム口座振替方式による納付が多いです。

関税額を含めた価格に対して10%の消費税がかかります。なお、食品表示法に規定する食品には、8%の消費税がかかります。(軽減税率)

関税額と消費税額の計算方法の例

  • 商品価格:10000円
  • 数量:10個
  • 関税率:5%
  • 送料:50000円
  • 保険代金:3000円
  • 品目:一般雑貨(食品以外)

上記の条件で計算してみましょう!

*今回は端数処理等は無視します。

関税額

課税価格=商品代金(10000×10個)+送料(50000円)+保険代(3000円)

153,000円です。

関税額=153000×0.05

7650円です。

消費税

課税価格=商品代金(10000×10個)+送料(50000円)+保険代(3000円)+関税額

160650円(153000+7650円)です。

消費税額=160650円×0.1=16065

よって、この貨物を輸入する際は…

  • 関税額=7650円
  • 消費税額=16065円

上記の合計金額(23,715円)を納税することになります。

何度も申し上げますが、上記の計算は、端数処理をしていないです。(シンプルな表記にするためです。)

免税制度と関税割り当て

関税は、特定の条件を満たすことで、減税や免税になる仕組みがあります。主なケースは、次の通りです。

特別特恵関税、特恵関税

特恵とは、特定の国の商品に対して、通常の関税率よりも低い税率を適用する仕組みです。特別と特恵の違いは、削減幅です。特別が付く関税は、基本的に関税はゼロです。これは、世界の中でも特に発展が遅れている50カ国の生産品に対してのみ適用される特別な関税制度です。

この関税ゼロの対象には、高関税率で有名な革靴等も含まれている為、要注目です。該当する国は、外務省のLDC一覧のページをご覧ください。

EPA(協定上の特恵)

EPA(協定上の特恵制度)を活用することで関税を減額したり、免税にしたりして輸入ができます。2025年現在、日本は、以下の国とEPAを締結しています。

2025年2月現在
発効済(利用できる国) シンガポール、メキシコ、マレーシア、チリ、タイ、インドネシア、ブルネイ、ASEAN、フィリピン、スイス、ベトナム、インド、ペルー、オーストラリア、モンゴル、TPP12、TPP11、日EU・EPA、米国、英国、RCEP(韓国+中国+アセアン+オーストラリアなど)
交渉中 トルコ、コロンビア、GCC、日中韓
その他(交渉中断等) カナダ、韓国

個人使用目的の少額輸入

例えば、1回の輸入額が16,666円以下(課税価格ベース)の場合、関税と消費税が非課税となることがあります。

根拠法:関税定率法14条-18項の無条件免税

特定の用途向けの関税免除

研究用機器や特定の医療機器など、用途が限定されている場合、関税が免除されることがあります。身体障がい者用器具、宗教用具などについても免税の対象です。

関税法15条の特定用途免税

関税割り当て制度(TRQ)

関税割り当て制度とは、特定の品目について、政府が事前に定めた数量まで低い関税率または無税で輸入できる制度です。一定の輸入量を超えると通常の関税率が適用される仕組みです。

例えば、日本では牛肉や乳製品、小麦などに関税割り当てが適用されており、一定の輸入枠内であれば低関税、それを超えると高関税が課されます。関税割り当てを利用するには、事前に政府の許可を受ける必要があります。

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参考情報1.関税に関するトラブルシューティング

輸入時に税関との間で関税評価や品目分類について意見が食い違うことがあります。そのような場合は、次の対象方法があります。

  • 税関相談窓口:事前に税関へ相談し、適切なHSコードや関税評価を確認
  • 異議申し立て:関税の評価に納得がいかない場合、再調査の請求など

税関への異議申し立て(再調査の請求)に関する説明

参考情報2.よくある疑問

Q1: 関税評価額はどのように決定される?

関税評価額はCIF価格(商品価格+運賃+保険料)を基準に決定されます。なお、税関には、関税評価を担当する専門部署(関税監査官)がいます。

Q2: 輸入消費税を納付しないとどうなる?

納付期限を過ぎると延滞税が発生します。

Q3: 関税率はどこで調べられますか?

輸入統計品目表、WEBタリフ、税関の相談センターで調べられます。

Q4: EPAを適用するにはどうすればよい?

原産地証明書を取得し、適用国からの輸入であることを証明します。

まとめ

日本に商品を輸入する際には、関税と輸入消費税が発生し、輸入コストに大きく影響を与えます。関税率は品目や原産国によって異なり、適用される税制を理解することで、適切なコスト管理が可能になります。また、関税割り当て制度やFTA/EPAの活用によって、税負担を軽減できます。

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