この記事では、ドレージの基本知識、重要性、注意すべきポイントについて詳しく解説します。これを読んで、コンテナ輸送をよりスムーズに進めるための理解を深めましょう。
コンテナ輸送とドレー
ドレージ(ドレー)とは?
ドレージ(ドレー)とは、海上コンテナを輸送すること又は、専用のトラックを指します。具体的には、コンテナターミナルと日本国内配送先(荷主指定の場所)を往復し、コンテナを輸送します。
輸送するコンテナは、主に20フィート(6m)と40フィート(12m)の二種類です。コンテナ自体は、すべて同じ規格のため、どのドレージ会社に依頼しても輸送できます。
ドレージの利用シーン みんなが使うべき?
ドレージは、コンテナをコンテナのまま輸送したい荷主が依頼します。もし、コンテナではなく、ダンボール単位で荷物を受け取りたい場合は、ドレーを使わないです。この仕組みは、次の通りです。
- コンテナが港に到着する。
- 輸入許可が下りる。
- コンテナを引き取る。
3のとき、荷主は、2つの選択ができます。
- コンテナのまま輸送してもらう。
- 港でコンテナから荷物を取り出してもらい、貨物をのみを輸送してもらう。
1番を希望する場合のみドレーを使います。2番の場合は、ドレーではなく通常のトラック配送を使います。上記の違いは、デバンニング(コンテナ取り出し作業)を誰が行うのか?にあります。
- 1番の場合は、荷主が行う。
- 2番の場合は、港にいる業者が行います。
このことから、コンテナ輸送×ドレージが必要になる方は、自社でデバンができ、ドレージ料金を支払ってもなお、コストメリットがある場合に限られると言っていいでしょう。
参考情報:ドレーの名前の由来
ドレイという言葉は、限られた地域の中での移動を指します。元々、側面の無いカートや荷車で貨物を運んでいたことに由来します。(主に馬を使った輸送)その後、馬に代わり、トラックが使われるようになりました。
ドレージの流れ
ドレージは、どのように利用するのでしょうか? 流れや依頼方法を確認します。
輸出×ドレージの流れ
- 通関業者(フォワーダー)に連絡をして本船のブッキングをする。
- 通関業者等にバンニング日(コンテナに貨物を積める日)を伝える。
- 通関業者の依頼を受けたドレー会社がヤードから空のコンテナをピックアップ(EIR OUT)
- 指定の日に空のコンテナを指定場所に着ける。
- 荷主は、空のコンテナが到着したらバンニングをする。
- バンニングが完了したら、実入りコンテナのターミナルへの移動を依頼する。
- 実入りのコンテナがヤードに入る(EIR IN)
- 保税蔵置後、輸出申告をする。
- 輸出許可が下りる。(カット日までに終了させておく)
- 本船に積み込む
輸入×ドレージの流れ
- 本船が到着し、港にコンテナが蔵置される(搬入があがる)
- 通関業者とやり取りをして輸入許可後の配送先等を相談する。
- 通関業者からドレージ会社に配送先、配送日などの指示を出す。
- 輸入許可後、ドレージ会社は、実入りコンテナをヤードから搬出する(EIR OUT)
- ドレージ会社は、指定の日、指定の場所までコンテナを移動する。
- 実入りコンテナが到着したら、荷主は、デバン(コンテナ取り出し作業)を開始する。
- コンテナ到着時間から2時間以内にデバンを完了さえる。
- デバンが完了したら通関業者に連絡を入れる。
- ドレージ会社は、空のコンテナをターミナルに移動させる(EIR IN)
これが輸出と輸入におけるドレージの流れです。この中で特に重要な部分は、輸出入許可の取得、D/O処理、ドレージの予約です。どれか一つでも落とすと、指定の日に配送ができなくなります。
- 輸出許可=本船のカット日までに取得が必要です。
- 輸入許可=納品日の前日までに取得が必要です。万が一、前日までにピックアップができない場合は、当日ピックアップ&配送となり、指定の時間にコンテナを付けられないです。
- D/O処理=ヤードからコンテナを引き取るには、輸入許可の取得+D/Oの2つが完了していることが条件です。D/Oは、アライバルノーティスに記載されている諸費用を支払うことで受け取れます。輸入許可&D/Oの処理が完了=コンテナの引き取りができます。
- ドレージの予約=近年、トラックドライバーの不足、港での混雑の激化などにより、ドレージの予約を取りずらい状況にあります。輸入日程が決まり次第、通関業者と相談をして、輸入許可後のドレージ手配まで行ってもらうようにしましょう!(予約)
ドレージのコスト
大前提 直接、荷主が依頼することは少ない。多くは通関業者経由
直接、荷主がドレージ会社に依頼するケースは少ないです。多くは、依頼する通関業者経由でドレージを手配するケースが多いと思います。つまり、ドレージの手配は、通関業者の営業とのやり取りで行い、最終的な納品日の調整も通関の営業を通して行います。
但し、月間、40フィート換算で数十本の輸送取引等がある場合は、通関業者を通さず、直接、ドレージ会社とやり取りをした方が安くなるケースが出てきます。通関業者を通してドレーを手配すると、通関業者のマージンが乗った利用金を支払うことになります。
ドレージ料金の構成(タリフ×料率)
ドレージ料金は、ラウンド制です。ラウンド制とは、コンテナを取り出す港を起点として、納品先までの往復する距離が請求の対象となる仕組みです。
例えば、港から片道20km地点に納品する場合は、20×2=40km(往復)、ラウンド40の料金区分に該当します。そして、このドレージ代金は、次の仕組みで決まります。
標準料金表(タリフ)×荷主毎の料率
荷主毎の料率は、輸送実績、本数、継続性、地域の引き合いの強さ等を考えて、総合的な観点で決まります。
例えば、標準料金が10000円の区間を輸送するとしましょう! この場合、同じ輸送区間でも荷主により次のような違いがうまれます。
- 荷主A 10000円×料率は50%=5000円の支払い。
- 荷主B 10000円×料率は70%=7000円の支払い。
同じ区間を輸送しても荷主毎に料率がバラバラです。別の言い方をすると….
- よく利用する荷主(優良顧客)は、料率が低い。
- 依頼頻度が少ない荷主は料率が高い。
割増料金の支払いになるケース
上記の他、以下のケースでは、割増費用が求められます。
- 3軸シャーシの使用(コンテナ重量が指定以上になると利用)
- 深夜や早朝の配送
- リーファーコンテナの配送
- 冬季(北海道)の輸送
- 休日指定配送
- デバン時間の延長による待機
- 切り離し代(ドロップ料金)
ドレージ代金の消費税は節約できる!
ドレージ代金は、当然、消費税がかかります。しかし、実は、消費税がかからない方法もあります。それがインランドデポの活用です。港からインランドデポまでを保税運送。インランドデポに着いたら輸入申告をして許可を得る。その後、最終納品先へ輸送などです。
インランドデポとは、内陸部にある保税地のことです。港からインランドデポまでを外国貨物のまま輸送するため、この間の消費税は不課税扱いです。全国にあるため、一度、調べ見ると良いです。
ドレージ業者の選び方
既述の通り、ドレージ業者は、直接依頼できる一方、通関業者やフォワーダー経由で依頼する方が多いと思います。直接契約する場合は、ある程度の規模感が必要です。規模感がない場合は、直接契約するだけ無駄だと思います。
ドレージ会社は、通関業者やフォワーダーと非常に密接なつながりがあります。通関業者によっては、自社内でドレージ部門を所有している所もあります。したがって、まずは、ドレージ会社等との直接契約等は考えず、自社の実績を積み上げていくことが重要です。
ある程度の事績が出来たら、その実績を基にして、メインで利用する港近くで営業するドレージ会社に連絡をして交渉してみると良いと思います。ドレージ会社や通関業者は、外からは中々、わかりずらい業界です。ネット上でもあまり良い情報を確認できない為、確かな筋から少しずつ、つながりを作っていくしかないと思います。結果的にそれが良いドレー会社と巡り合う為の近道だと考えます。