FCLとLCLの違いを踏まえた上で、コンテナ(FCL)輸送を選ぶとしましょう。この場合、輸入許可後に行うデバンニング(デバン)まで考える必要があります。
コンテナのデバンニングとは、輸送された貨物をコンテナから取り出す作業のことです。実は、デバン作業をするためには、いくつかの諸条件があります。この記事では、デバンの条件、適切な方法、料金、効率的にデバンをする為のコツをご紹介しています。
コンテナのデバンニング
コンテナデバンニングとは?
コンテナのデバンニングとは、貨物をコンテナから取り出す作業です。輸出国からFCLで運ばれてきた貨物は、そのままの状態で輸入国の指定地まで輸送されます。コンテナヤードから、日本の指定地迄の輸送は、ドレーと呼ばれる専用のトラックを使います。
指定地に運ばれたコンテナは、荷主の責任と費用の下、デバンニングをします。今回の記事は、このデバンニングをするための条件を説明していきます。
デバンニングをするための条件
売り手との間で輸送に関する交渉をするときは、安易にコンテナ輸送を選ばない方が良いです。コンテナ輸送は、商品を受け取る際に、自らの責任と費用の下、デバンニングが必要です。
コンテナ輸送=デバンニングが必要
もし、自社にてデバンニング作業ができない場合は、専門の業者(例:ドレー会社)等に依頼し、デバン作業の外注化が必要です。この場合は、当然、デバンに対する作業代金がかかります。
自社でデバンをする、しないに関わらず、コンテナ輸送には、デバンが必要です。自社デバンなのか?他社デバンなのか?によって、必要なリソースが変わってきます。もし、デバンニングを避けたければ、輸送形態を交渉する際、LCLを選びます。
コンテナ輸送又はLCL輸送の選択は、デバン部分を含めて検討しよう!
自社でデバンニングする為の4つの条件
自社でデバンニングする場合は、次の条件をクリアしなければならないです。
- 自社の倉庫又は敷地を確保できる?
- 通行時間帯等の規制はない?
- 自社の作業員を確保できる?
- 約二時間でデバンを終わらせられる?
冒頭から申し上げている通り、デバンニングは、荷物を受け取る荷主が全ての費用と責任を負います。これが最も非常に重要なルールです。必ず忘れないようにしましょう!
1.自社の倉庫や敷地は確保できる?
公道上でのデバンは禁止です。必ず自社の敷地内で駐車して行います。当然、ドレーの運転、転回等ができる、それなりの広さも必要です。もし、自社で敷地や倉庫等がない場合は、場所代を支払い、他社の敷地を借りるなどして対応します。
2.通行規制は大丈夫?
都会では、朝の時間帯のみ通行禁止になっている道などがあります。納品予定時間と通行禁止時間が被っていないことを確認しましょう!
3.自社の倉庫を確保できる?
デバンをするための人員は確保できますか? できない場合は、便利屋等に依頼をしてスポット的に人員を確保します。この点について大きな勘違いをする方がいます。
ドレーの運転手は、デバン作業に一切関わらない。手伝わない。
この原則を忘れないようにしましょう!ダンボール一箱すら運びません。極論、ドレーの運転手は、デバン中、昼寝をしていてもいいくらいです。輸送契約上、一切、手伝う義務はないため、この点は理解しておきましょう。
=運転手を含めてデバン作業を計算してはいけません!
4.約2時間でデバンを完了させられる?
ドレーは、指定時間にコンテナを付けてから2時間までの停車です。二時間以内にデバン作業を完了させられないと、30分に付き、6000円や10000円などの待機料金が発生します。
大幅に時間が超過する場合は、一旦、ドレーとコンテナの切り離し(台切り)を行い、ドレーのみがヤードに返ってしまいます。この場合、荷主は、2往復分のドレー代金を支払うことになります。
コンテナ輸送は、価格を抑える上で非常に有効です。ただ、コンテナ輸送には、必ずデバンがあることを理解しておきましょう!
コンテナデバンニングの方法
それでは、デバンの諸条件を踏まえながら、デバン作業の流れをご紹介します。
- コンテナを付けられる? 敷地の広さ、周辺の交通規制を確認する
- コンテナと地面の高低差を検討する。(必要な場合は、スロープ又はローラーを用意)
- 運転手にコンテナを開封してもらう。
- 貨物を取り出しながら検品をする。(パッキングリストとの照合)
- ダメージがないか?水濡れがないかを確認する。
- 検品完了後、貨物を保管する。
1.まずは事前準備
コンテナ輸送(ドレージ)に問題が無いのか? 自社敷地内で大丈夫か?などを確認します。
2.コンテナと地面の高低差を検討&封切
コンテナが到着をしたら、ドレーの運転手によりコンテナを開封してもらいます。運転手は、大きな専用工具を使い、コンテナの封を破壊します。この後は、2つのパターンがあります。
- コンテナの高さと同じレベルのフロアの場合
- コンテナよりも引く場合
コンテナは、地面から約2m程、上にあります。デバンをするフロアの高さとコンテナの高さが同じだと作業はしやすいです。レベルが同じであれば、フォークリフト等を使い、そのまま取り出せます。
一方、地面とコンテナ高さが違う場合は、次の2つの方法で対処します。
- スロープやデバンローラを設置する。
- フォークリフトを活用する。
コンテナと地面とに傾斜をつける専用のデバンスロープがあります。又は、コンテナの奥の方から貨物を移動しやすくするローらーなどもあります。これらの導入を検討しましょう!
もし、あまり費用をかけたくない場合は、フォークリフトを活用する方法があります。但し、作業上、あまり安全ではない為、お勧めはしないです。
- 空のパレットの上に人が乗る。
- フォークリフトで上にあげてもらう。
- コンテナの高さと同じになったら停める。
- パレットに乗っていた人は、デバンを開始する。(空中のパレットに荷物を載せる)
- ある程度、スペースが出来たらコンテナ側に移る。
- 取り出した商品をパレットの方に積んでいく。
- パレットが一杯になったら、交換する。
- 後は、これを繰り返す。
4.貨物を取り出しながら検品をする。
貨物を取り出しながら検品をします。このとき、貿易書類のパッキングリストと照合します。
- 水濡れはない?
- ダメージはない?
- 数量間違いはない?
万が一、水濡れなどを発見した場合は、一旦、作業を中断して、海上保険会社又は、フォワーダーに連絡をしてクレームノーティスを含めた対応を相談します。勝手なことをすると、その後の保険求償に影響があるため注意しましょう!
5.検品完了後、貨物を保管する。
無事に検品等が終了したら貨物を保管します。終了後、コンテナの中が汚れていないのか? 汚れていた場合は、簡単に清掃をします。それが終わったら、万が一の為に写真を撮影しておきます。
その後、通関業者(フォワーダー)等に連絡をすれば、空のコンテナは、コンテナヤードの方に引っ張って行かれます。これでデバンに関する一連の作業は完了です。
参考情報:コンテナのデバンニング料金
デバンニングの料金は、以下の要素によって決定されます。自社でやる場合も他社に依頼する場合もデバンニングに相当する費用は掛かることは同じです。
- 作業時間:デバンニングにかかる時間に基づく料金。
- 労働力:必要な作業員の数とその労働時間。
- 機材使用料:スロープやローラー、フォークリフトなどの機材の使用料。
- 待機料:トラックや作業員が待機する時間に対する料金。
例えば、自社で行う場合は、デバンをするための人件費が必要です。設備等も必要です。ですから、自社で行えば、デバン費用はかからないと考えるのは間違いです。必ず費用は掛かります。それがデバン費用として目に見えるかどうかの違いです。
他社にデバンを依頼する場合の手数料
他社にデバンを依頼する料金は、2000円/m3又はコンテナ1本で○○円と決めている所が多いです。
例えば、15m3の貨物が入っている場合は、2000円×15=30000円です。物量に関係なく20フィート1本のデバン費用は30000円、40フィートなら50000円などと決めている所もあります。
大切なことは、FCL(コンテナ輸送)=安いと単純に考えないことです。必ずデバン部分の費用も考えて総合的な観点でコストメリットがあるのか?を考えるようにします。
まとめ
- コンテナ輸送する際は、デバンができるかを考えること
- 費用は、デバン部分を含めたトータルで考える事
- 自社でデバンをするときは、デバン条件を満たせるかを考えること