コンテナ輸送で水漏れトラブルが発生。原因と対策 誰の責任?

コンテナ輸送 水漏れトラブルが発生!

水濡れトラブルの事例(濡損)

いよいよ遠くから輸送してきたコンテナを開封する場面です。心をときめかせながらドアを開封すると…….なぜかコンテナ内の貨物が濡れていた。(水濡れしていた)ショック!

一体、なぜでしょか? 今回は、海上コンテナの水漏れトラブル(水濡れの責任、水濡れ対策、バンニング時の扉の開閉不良)を解説していきます。

コンテナの内部が水漏れ(浸水)する原因

海上輸送コンテナは、炎天下、潮風、強い雨などの厳しい気象環境にさらされるため、常にダメージを受けています。(特にオンデッキに積載されるコンテナ)海洋上は、どんどんと外気温が増していきます。外気温とコンテナ内部(商品)の水分が加わると、蒸し風呂状態に足ります。結果、カビなどが発生します。

浸水(水濡れ)する原因は、いくつかあります。

  • 雨水
  • 海水
  • 結露
  • コンテナの損傷
  • 作業による水の侵入

などが考えられます。

雨水

台風などの通常時よりも雨が強い場合に、コンテナに空いたわずかな隙間から、水が浸入し、貨物が水に濡れることがあります。

海水

荒天時の高波、衝撃、振動などにより、コンテナ内に少しずつ海水が侵入し、水濡れに至ることがあります。

結露

コンテナの外部気温と内部温度の差は、10℃以上と言われています。(特に昼夜の寒暖差が激しいです。)この気温差による結露が水濡れにつながります。

いわゆる貨物の「濡損」の原因です!

コンテナの損傷

フォークリフトの爪による損傷、強引なバンニングによる扉の変形など、作業員による人為的なミス、強引な作業による影響で、コンテナ自体が損傷し水濡れ事故に至ることもあります。

  • 荷主によるコンテナ自体の損傷
  • 積み替え地での作業員によるミス(中継地)
  • 荷降ろし作業中の不注意による損傷(輸入側)

作業(バンニング等)による水の侵入

雨天時にバンニングなどをすると、作業員の靴底についた水、フォークリフトのタイヤに付いた水がコンテナ内に充満することがあります。

バンニング後、扉が完全に閉まっていないことによる水濡れトラブルもあり!

コンテナのバンニング(積み込み)後に扉が完全に閉まっていないと、海上輸送中に貨物が水濡れするリスクが高いです。

  • 積載量の超過:貨物が多すぎると扉を完全に閉められない。
  • 貨物の不均等な配置:偏った積み方が扉の歪みを引き起こす。
  • コンテナ自体の損傷:老朽化したコンテナは歪みが発生しやすい。

コンテナの水濡れによる被害は10%にも及ぶ

あるデータによると、水濡れ事故による貨物被害は、約10%にも及ぶと言われています。100個輸送したら、10個が水濡れです。当然、これは、最終的な利益率にも関係します。

水濡れ事故は、利益率に大きく関係します!

水濡れ対策

コンテナの水濡れ対策は、以下の6つです。

  1. コンテナ自体の損傷を確認する。
  2. アンダーデッキに積載する
  3. 荷物の積載方法を工夫する
  4. 荷物の積み込み前に湿気対策をする。
  5. 防水梱包をする。
  6. 湿気対策

1.コンテナ自体の損傷確認

まずは、コンテナ自体が損傷していないことを確認します。

例えば、あなたが輸出者であり、空のコンテナが到着したときは、最初にコンテナの中に入り、扉を閉めます。真っ暗な状況で光が入らないかを確認します。光が射し込む場合は、コンテナに穴が開いています。フォワーダー等に伝えて、EIRを取り寄せましょう!

ここをチェック!
  • 床や壁に穴や亀裂がない?
  • ドアのパッキン(ゴムシール)が劣化していない?
  • 錆びや腐食が進んでいない?
  • 以前の湿気がこもっていない?

【EIR】海上コンテナ輸送における重要な役割、見方、注意点等

コンテナのドア、壁、床、上部に穴や隙間がないかを確認

2.できるならアンダーデッキに積載する

コンテナは、甲板上に積載するオンデッキとコンテナ船内に積載するアンダーデッキがあります。少しでも水濡れトラブルのリスクを小さくしたい場合は「アンダーデッキ」がおススメです。

詳細は、オンデッキとアンダーデッキの違いをご覧ください。

3.荷物の積載方法を工夫する

貨物の積載方法を工夫します。

  • 荷物の上に隙間を作りすぎない(結露防止)
  • コンテナドア付近には特に防水対策を強化する
  • 貨物の間に吸湿紙や通気スペーサーを入れる

4.荷物の積み込み前に湿気対策をする。

できるかぎり、コンテナ内部に湿気を持ち込まないようにします。

例えば、木製パレットです。木製パレットを使うと、そこから多量の水分が出てきます。これがコンテナ内部の湿度をあげます。雨天時にバンニングするときも大きな危険があります。できるだけコンテナ内に水分を入れないように気を付けます。

5.防水梱包をする。

  • ストレッチフィルムで包む
  • 防水袋(プラスチックライナー)に貨物を入れる
  • パレットを使用して地面との直接接触を避ける
  • 段ボールを防水加工されたものにする

6.湿気対策

次に輸送中の湿気対策として、コンテナ内部の湿気を強力に吸い込む乾燥剤等も検討してみます。

例えば、コンテナ用乾燥剤コンテナードライCTシート結露吸水シートなどです。他、除湿器やコンテナの水分量や気温等の変化を記録するデータロガー等もあります。

  • 乾燥剤(シリカゲル、塩化カルシウム)
  • 吸湿シートなど

水濡れに対する責任と保険

結局、コンテナの水濡れ事故の責任は誰にあるのでしょうか?

  • コンテナに穴が開いている場合は?
  • 輸出者がコンテナを壊していたら?
  • 輸出者が貨物を確認していなかったら?

様々な要因があるため、一概に誰の責任であるのかを断定するのは難しいです。したがって、基本的には、水濡れ事故は、海上保険(オールリスク)でリカバリーすることが多いです。この前提の下、いくつかのパターンで分けてご紹介します。

輸送中の天候やコンテナの損傷による水濡れ

  • 船会社が適切にコンテナを管理していたにも関わらず、突発的な悪天候(台風や高波など)による水の浸入が原因であれば、「不可抗力」で荷主負担
  • コンテナのドアの密閉不良や、コンテナ本体の損傷が原因で水が入り込んだ場合、船会社の責任となることがある。

積み込み・荷降ろし時のミス(デバン時の水濡れ事故)

フォークリフト作業員が荷降ろし時にコンテナを傾けて水が侵入したり、雨天時に開封してしまい水が入った場合は、作業を行った業者の責任

水濡れが発生した時点を立証するのが難しいため、基本は、海上保険で求償請求するのが現実的です。

最適解・水濡れ事故が発生したときの輸入者側の対応方法

万が一、貨物破損が発生した場合は、保険会社、フォワーダークレームノーティスをします。輸送前の時点でデリケートな貨物であることが明らかな場合は、輸出者に対して、適切な梱包をするように強く要望しましょう!

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