国際輸送では、貨物が適切に梱包されていないと、輸送中に破損するリスクが高まります。特に、薄いダンボールの使用や緩衝材の不足、パレット梱包の欠如などは、輸送中の振動や衝撃に耐えられず、貨物破損の主な原因です。輸入者は、出荷前の梱包仕様を確認し、破損リスクを減らすための適切な措置を講じる必要があります。
本記事では、梱包ミスによる破損事例と、それを防ぐための対策について解説します。
不適切な梱包が引き起こす貨物破損の主な原因
国際輸送では、貨物は長時間にわたって移動し、複数の輸送手段(トラック、船舶、航空機)を経由することが多いため、耐久性の高い梱包が必要です。しかし、実際は、以下のような不適切な梱包が原因で貨物が破損するケースがよく見られます。
よくある破損原因
薄いダンボールを使用する。
薄いダンボールは、輸送中の衝撃や荷重に耐えられず、簡単に潰れることがあります。特に、コンテナ内で他の貨物と積み重ねられる場合、圧力によってダンボールが破損し、中の商品が損傷を受けるリスクが高まります。
緩衝材が不足している。
貨物の隙間に適切な緩衝材が入っていないと、輸送中の振動や衝撃によって荷物が動き、破損につながります。特に、ガラス製品や精密機器のような壊れやすい商品では、適切な緩衝材が不足していると致命的なダメージを与えます。
パレット梱包を実施していない。
パレットを使用せずに貨物を個別に積み込むと、輸送中の取り扱いが困難になり、フォークリフトやクレーンでの移動中に損傷が発生しやすくなります。また、貨物がバラバラに配置されると、安定性が損なわれ、コンテナ内で荷崩れが起こるリスクも高まります。
具体的な貨物破損3つのトラブル事例
ダンボールの強度不足による破損
ある輸入業者が食品を輸入した際、輸出者がコスト削減のために薄いダンボールを使用して梱包していました。その結果、コンテナ内で他の貨物の圧力に耐えられず、ダンボールが潰れて内部の商品が破損しました。輸入者は貨物受け取り時に問題を発見しましたが、輸送中の破損として補償を受けることができず、損失を被ることになりました。
緩衝材不足による精密機器の破損
精密機器を輸入した際、十分な緩衝材が使用されていなかったため、海上輸送中の揺れによって貨物が動き、内部の電子部品が破損、輸入者がサプライヤーに補償を求めたが、インコタームズの契約条件の関係で補償を受けれなかった。
パレット未使用による荷崩れ
ある化粧品メーカーが海外から液体製品を輸入した際、貨物がパレットに載せられておらず、個別に積み込まれていた。輸送中の振動で荷物がコンテナ内で動き、箱が崩れて液漏れが発生しました。この事例では、事前にパレット梱包を指定していなかったため、輸出者側がコスト削減を優先し、適切な梱包を行わなかったことが原因でした。
輸入者ができる貨物破損の防止対策
輸入者は、適切な梱包を事前に指示し、破損リスクを最小限にすることが重要です。
1. サプライヤーへの梱包仕様の明確な指示を出す。
サプライヤーに対し以下の要望をしましょう!
- ダンボールは二重構造(ダブルウォール)を使用
- 緩衝材(発泡スチロール、エアバッグ、紙パッキングなど)を適切に使う
- パレット梱包をすること。
2. 出荷前検査の実施
出荷前に梱包が適切に行われているかを確認するため、第三者検査機関によるチェックを依頼するのも有効です。検査レポートを取得し、梱包に問題がないことを確認してから出荷することで、破損リスクを減らせます。
3. 適切な貨物保険への加入
万が一の破損に備え、貨物保険への加入を検討することも重要です。特に、精密機器や壊れやすい商品を輸入する場合、輸送中の破損を補償する保険を契約しておくことで、トラブル時の損害を最小限に抑えられます。
まとめ
不適切な梱包は、貨物破損の大きな要因となります。薄いダンボールの使用、緩衝材の不足、パレット梱包の欠如などは、輸送中の衝撃や荷重に耐えられず、トラブルを引き起こす原因となります。輸入者は、サプライヤーへの梱包仕様の指示、出荷前検査の実施、貨物保険への加入といった対策を講じることで、リスクを軽減できます。事前の準備を徹底し、安全な国際輸送を実現しましょう。