国際輸送において、貨物が破損するリスクは、積み込みや積み下ろしの段階でも発生します。特に、CFS(Container Freight Station)でのバンニング作業中のミスや、港湾でのガントリークレーンによる船積み・積み下ろし時は、大きな衝撃を与える可能性があります。もし、物の適切な取り扱いがなされなければ、せっかく無事に輸送された製品も、最終地点で破損し、納品ができなくなります。
本記事では、コンテナの積み込み・積み下ろし時に発生する貨物破損の具体的な事例と、その防止策について詳しく解説していきます。
コンテナ積み込み・積み下ろし時の貨物破損が発生する原因
コンテナへの積み込み(バンニング)作業では、貨物が不適切に配置されたり、適切な固定がされていなかったりすると、輸送中に荷崩れを起こす可能性が高くなります。特にCFSでのバンニングでは、手作業で行われることから、人的ミスが発生しやすくなります。また、フォークリフトの操作ミスにより、貨物が破損することも少なくありません。
一方、港湾での積み下ろし作業では、ガントリークレーンによる作業が行われます。この場合は、強風やクレーンの操作ミスが原因で、コンテナが急激に揺れたり、落下したりすることがあります。特に、急いで荷役作業を進める際に、貨物が適切に固定されていない状態で吊り上げられると、内部の荷物が衝撃を受け、破損する可能性が高まります。

コンテナの内部で貨物が移動することで、ダメージが発生することが多いです。
具体的な貨物破損トラブル事例
CFSでのバンニング作業中のミス
ある企業が精密機械をアメリカに輸出する際、CFSでのバンニング作業中にフォークリフトの運転ミスが発生。結果として貨物が強く衝撃を受け、内部の部品が破損。このケースでは、作業員がフォークリフトの運転技術に十分な習熟がなく、また、貨物の適切な配置がされていなかったことが原因だと判明。最終的に、貨物の修理費用が発生し、納期も大幅に遅れてしまった。
港湾でのガントリークレーンによる衝撃
港湾でのガントリークレーン操作中に突風が吹き、コンテナが大きく揺れたため、内部の貨物が崩れて破損。このケースでは、貨物がコンテナ内で適切に固定されていなかったため、急な動きに耐えられなかったことが原因でした。
輸入者ができる破損防止対策
輸入者は、貨物の積み込みや積み下ろし作業に直接関与することはできませんが、適切な対策を講じることでリスクを軽減できます。
適切な梱包と固定の指示を行う
輸入者は、出荷時にサプライヤーへ明確な梱包・固定の指示を行うことが重要です。特に、緩衝材の使用や木枠梱包、エアバッグクッションなどを指定し、貨物が輸送中に動かないようにするように求めましょう!
運送契約の見直しと明確化
輸送契約において、貨物破損時の責任範囲を明確にしておくことも重要です。インコタームズ(貿易条件)の適用を確認し、損害発生時の補償がどの範囲までカバーされるかを契約段階でしっかりと定めておくことで、トラブル時の対応がスムーズになります。
事前検査と報告体制の構築
輸入者は、出荷前の貨物検査をサプライヤーに依頼し、適切な固定や梱包がされているかを確認します。また、コンテナ積み込み時や積み下ろし時の状況を写真や動画で記録してもらい、問題が発生した際に証拠として使用できるようにしておきます。
適切な貨物保険への加入
万が一の破損に備え、適切な貨物保険に加入しておくことも重要です。特に、高価な精密機械やガラス製品など、破損しやすい貨物を輸送する場合には、広範囲のリスクをカバーできる保険を選択することで、トラブル時の損害を最小限にできます。
まとめ
コンテナ積み込み・積み下ろし時の貨物破損は、輸入者が直接関与できない部分で発生することが多いですが、適切な対策を講じることでリスクを低減することが可能です。サプライヤーへの適切な梱包指示、契約内容の明確化、出荷前検査の実施、貨物保険の活用などを組み合わせることで、破損のリスクを最小限に抑えることができます。事前の準備を徹底し、安全で確実な国際輸送を実現しましょう。