海上コンテナは、多数の荷主により繰り返し使われます。熱い地域、寒い地域など、気温差がある地域、道路状態が悪い地域など、利用される場所も様々です。当然、コンテナ自体にダメージが行き、時々、貨物事故(水濡れなど)が発生します。このときに重要になるのがEIRです。
この記事では、EIRの概要、役割や見方を解説していきます。
EIR(機器受け渡し証
EIRとは?
EIR (Equipment Interchange Receipt=機器受け渡し証) は、コンテナを移動する際、コンテナ自体の状態、保管場所等を記録する書類です。EIRは、貨物事故などが発生した時に重要な役割を果たします。
例えば、到着したコンテナを開いたら貨物が水濡れしていた!などです。このようなとき、その責任は、どこにあるのでしょうか?
これを明らかにする一つの書類がEIRです。EIRを取り寄せることで、コンテナ自体の損傷の有無を確認し、貨物事故が発生した原因を特定できる可能性が上がります。
- EIRにリマーク(損傷等)がある → 輸送者側の責任?
- EIRにリマーク(損傷等)がない → 輸出者の責任?
発行者は誰?
EIRの発行者は、コンテナを所有、管理する船会社です。
CIRとの違いは?
ほぼ役割や存在意義は同じです。人によって言い方が違います。CIRの方がより詳細な情報を記録しています。
EIRの重要性と2つの役割
1.コンテナ自体の状態を記録する。
2.コンテナターミナル等のオペレーションで活用する。
1.コンテナ自体の状態を記録する。
EIRは、コンテナ自体の損傷の有無を記録します。具体的には、コンテナターミナルのゲート付近に検査員を配置し、コンテナターミナルに「イン」する場合と、コンテナターミナルから「アウト」する場合の両方でコンテナ自体の損傷の有無を記録します。
*インやアウトは、ゲートへの出入りを示します。
例えば、へこみ、穴、臭い、床の破損などです。コンテナが到着すると、四方八方から検査員がコンテナの検査をして状態を記録します。そして、EIRは、この記録の差分を確認するために利用します。
2.コンテナターミナルのオペレーションで活用
EIRは、ダメージを記録する他、ドレージ(トラック)の運転手やターミナルオペレーター向け、船会社向けにコンテナの保管場所やピックアップ場所を伝える役割もあります。
EIRに記載されている事項
EIRに記録されている事項は、次の通りです。
- 船会社名
- 船名&航海番号
- コンテナ番号
- コンテナシール
- コンテナの種類とサイズ
- コンテナの積載量
- 総重量
- コンテナの状態
- 積荷港と荷降ろし港
- ターミナル情報
- 受入場所と配送場所
- 運送業者名
- 発行者の署名
- リマーク
EIRの見方・読み方・サンプル
こちら実際のEIRの画像です。実際の物を確認していきましょう!
画像引用元:https://www.freightcourse.com/equipment-interchange-receipt/
基本的に船会社ごとにEIRのフォーマットがあります。係員は、このフォーマットに従い、損傷等を記録していきます。具体的には、中ほどにあるコンテナのイラスト部分にチェックを入れるなど。
イラスト部分以外は、コンテナ自体に記録されている固有の情報です。オーナーである船会社名、船の船名等、このEIRだけであらゆる情報を取得できるようになっています。
参考情報:EIRはアプリでも確認できる場合あり!
一部の船会社では、EIRの電子化を実施しています。電子化されている場合は、アプリ上でいつでも確認ができるので便利です。
注意点:EIRは貨物事故発生時に役立つ!しかし、法的拘束力はない
EIRは、貨物事故が発生した際、その責任を追及するための一つの資料として役立ちます。
例えば、冒頭説明した水濡れ事故が発生し、保険求償をする際などです。
但し、こちらは、B/Lのように法的拘束力はないので注意しましょう!
例えば、EIRの書類をエビデンスとして、訴訟を提起し、所有権を主張するなどです。EIRは、コンテナ自体の損傷の有無を記録するだけの「ただの書類」に過ぎないことを覚えておきましょう!