コンテナは、貨物の輸送において欠かせない存在です。コンテナにはさまざまな種類があり、それぞれ異なる用途や特徴があります。
この記事では、一般的なコンテナから特殊なコンテナ(スペコン)まで、各種コンテナ(一般コンテナ、オープントップコンテナ等)の特徴と用途について解説していきます。
海上コンテナの種類
ドライコンテナ(Dry Container)
ドライコンテナの特徴と用途
- 一般的なコンテナ。密閉されており、防水・防塵効果がある。
- 長さは、20フィート(6m)と40フィートの2種類
- 頑丈な鋼鉄製で、悪天候や海洋環境に耐えられる。
- 衣類、電子機器、家具などの一般貨物の輸送。
メリット
-
- 天候、損傷、盗難からの保護しやすい・
- 防水性と耐候性が高い。
- 積み下ろし時間を短縮できる。
- 堅牢な構造と施錠機能により、貨物の安全性が高い。
- 内容物が運送業者に見えないため、盗難や損失のリスクが低い。
デメリット
-
- 温度に敏感な商品の輸送はできない。
- 他のタイプのコンテナと比較して初期コストが高い
- 修理やメンテナンスが必要になる場合がある
- サイズや重量に制限があるため、特大の貨物には適さない場合がある
ハイキューブコンテナ(High Cube Container)
ハイキューブコンテナの特徴と用途
- 標準のドライコンテナよりも高さが約1フィート(約30cm)高いコンテナ
- 20フィートと40フィートの長さがあり、時には45フィートもある。
- 通気口や排気口の設置ができる。(湿度排出効果を高める)
- アパレル品など、容積重量が大きくなる製品の輸送に便利(大型家具、アパレルなど)
- 軽くてふわふわしている貨物の輸送を最大化できる。
- 内部容積が大きい(40フィートの場合約76.3m³)
メリット
-
- より多くの貨物をつめる。
- 背の高い貨物や嵩張る貨物の輸送に適している
デメリット
-
- 標準コンテナより10-15%高い。
- 重量制限に注意が必要
- 狭いスペースでの取り扱いが難しい
- 港や荷役施設によっては対応できないことがある。
冷凍・冷蔵コンテナ(Reefer Container)
リーファーコンテナの特徴と用途
- 内部温度を一定に保てる=定温機能
- 冷蔵・冷凍状態を保てる。
- 任意の温度を設定できる。
- データロガーにより内部温度を記録できる。
- 食品、医薬品、化学薬品など温度管理が必要な貨物の輸送。
国際輸送におけるデータロガーの重要性|貨物品質を守るための活用ポイント
オープントップコンテナ(Open Top Container)
オープントップコンテナの特徴
- 天井部分を開閉できる。
- クレーンなどを使用して上から積み込める。
- 取り外し可能な屋根を持ち、通常は耐久性のある鋼鉄やアルミニウムで作られている。
- 屋根の代わりにターポリンやキャンバス素材のカバーを使用することもあり
標準的なサイズは20フィート、40フィート
メリット
-
- 通常のコンテナに収まらない大きさや形状の貨物を輸送できる。
- 機械、建設資材、大型機器などの輸送に最適
- クレーンやフォークリフトを使用して上部から積み込みができる。
- 時間とコストの節約につながる
- 上部が開いているので通気性が良い。
デメリット
-
- 貨物が雨や日光などの天候の影響を受けやすくい。
- 開放型の設計のため、盗難等のリスクがある。
- 標準的なコンテナほど積み重ねることができない。
- ターポリンや屋根の取り外しと固定に追加の手間がかかる。
- 取り外し可能な屋根やターポリンの維持管理が必要
- 温度管理が必要な貨物には適していない。
- 標準的なコンテナよりも高価
フラットラックコンテナ(Flat Rack Container)
フラットラックコンテナの特徴と用途
- 側面を折りたためる。(取り外しも可能)
- 大型の建機類をクレーン等で容易に積み込みができる。(降ろしも可能)
- 大型の物、形が特殊である物、長尺物など、重機、大型車両、超大型貨物(鋼材、パイプ、コンクリートパネル、プロジェクト貨物などに利用
- 20フィートや40フィートのサイズがある
- 強固な鋼鉄製の構造で、非常に重い貨物にも対応
メリット
-
- 規格外の貨物の輸送に便利
- 側面が開放されているのでクレーンやフォークリフトでの作業が簡単
- 貨物の形状や大きさに合わせて、様々な配置で積載ができる。
- 船舶、鉄道、トラック間の輸送がスムーズ
- 大型貨物の輸送に特化しているため、特殊な改造が不要
デメリット
-
- 側面と屋根がないため、貨物が天候の影響を受けやすい
- 開放型構造のため、盗難や不正アクセスのリスクが高い
- 標準的なコンテナほど効率的に積み重ねられない
- 標準的コンテナよりも価格が高い。
- 通常のコンテナよりも重いので輸送コストが高い
フラットベッドコンテナ
フラットベッドコンテナの特徴
- 床面のみで構成され、屋根や側面を持たないシンプルな構造
- 大型で規格外の貨物や重量物の輸送に適している
- 床部分は重量物の輸送を想定して強化されている
- 複数のフラットベッドコンテナを連結して大きな貨物を輸送できる。
- 高さや幅が大きい貨物の輸送に便利
- 長尺物(鋼材、木材、パイプなど)の輸送に適している
- 重量物や集中荷重のかかる貨物の輸送が可能
- コンテナ詰めできない大型貨物(プラントなど)の輸送に適している
- フォークリフトやクレーンでの積み下ろしが容易
- 床面にフックやリングがあり、貨物を固定できる
- 貨物を積載した状態では段積みができないため、デッドスペースが発生する
- 輸送運賃や保管料の面で割増料金が課せられる可能性がある
- 運用ルートおよび使用方法が大幅に限定される
- 貨物の長さと重量によっては、最大重量まで積載できない場合がある
- 補助柱などの付属品管理が難しい
タンクコンテナ(Tank Container)
タンクコンテナの特徴と用途
- 大型のステンレス製圧力容器
- 円筒形のタンクがフレームに取り付けられている。
- 26,000リットル以上の、約128本のドラム缶に相当する量を輸送できる
- 漏れを防ぐ為、非常に強い密閉性が確保されています。
- 液体、ガス、粉体、化学薬品、石油製品、食品用液体(ジュース、ワインなど)などの輸送
メリット
- 積み降ろしが容易で輸送効率が高い。
- ドラム缶などと比較して、輸送コストを最大40%削減できる。
- 再利用可能で耐久性があり、長期的なコスト削減につながる。
- 高品質のステンレス鋼を使用しているため安全
- 内部ライニングにより、貨物の汚染リスクを最小にできる。
過剰な包装材料の使用を減らせる。
デメリット
- 初期投資コストが高い。
- 空のタンクコンテナの返送や保管にコストがかかる
- 汎用性に制限がある。
フレキシブルタンク(Flexitank)
フレキシブルタンクコンテナの特徴と用途
- ドライコンテナ内に設置できる特殊な素材のタンク。
- 大量の液体輸送に使用できる。
- 容量は一般的に16,000〜24,000リットル
- UV線や天候に耐性のある材料を使用
- ドライコンテナをそのまま使える。
- 使用しないときは折り畳みができる。
- 水、食品用オイル、工業用液体、化学物質、油脂などの輸送に最適
メリット
-
- 従来の輸送方法と比べて費用対効果が高い19
- 軽量設計により燃料消費が抑えられる。
- 食品用から産業用まで様々な液体に対応
- 取り扱いや輸送がかんたん
- 数時間で設置可能できる。
- 使用後のリサイクルや廃棄が簡単
デメリット
-
- 剛性タンクと比べて耐久性が低い。
- ごくまれに漏洩する。
- 大容量の場合、積み下ろしに苦労するときがある。
- 一部の化学物質や高粘度液体には適さないことがある。
その他
カーキャリアコンテナ
カーキャリアコンテナの特徴と用途
- 自動車輸送専用に設計。
- 2段または3段の積載が可能
- 車両の錆や腐食を防ぐために通気性が確保されている。
- 固定装置: 輸送中の車両の動きを防ぐための特別な固定装置やストラップを装備。
- 自動車運搬用に最適!
ダブルドアコンテナ
ダブルドアコンテナの特徴と用途
- 二つの開口部がある。
- フォークリフトやクレーンでの荷役ができる。
- 二重の開口部を設置することで積載できる容量が大きい。
オープンサイドコンテナ
オープンサイドコンテナの特徴と用途
- 片側が全面的に開閉できる。
- フォークリフトやクレーンを使用して、大型貨物を出し入れできる。
- 不規則な形状、サイズの荷物の積み込みできる。
- 建材や機械類の輸送に最適!
トンネルコンテナ
トンネルコンテナの特徴と用途
- 両側が開く。
- 荷物の積み降ろしが楽
- 通気性が非常に高い。
- 湿気を嫌ったり、臭いがきつかったりする商品の輸送
ベンチレーションコンテナ(Ventilated Container)
ベンチレーションコンテナの特徴と用途
- 側面や天井に通気口が設置されている。
- 通気口を設置しているので防錆効果が高い。
- コーヒー豆、穀物、その他湿気に敏感な商品の輸送に利用
関連疑問:コンテナと温度管理の方法は?
絶熱コンテナ
ドライコンテナは絶縁性が低く、外部の温度変化に強い影響を受けます。超高温、超低温になることもあります。これを少しでも和らげるために絶熱コンテナがあります。
冷凍コンテナ
食品、ケミカル製品など、温度変化に厳しい貨物を輸送する場合はリーファーコンテナを使います。リーファーコンテナであれば、設定した温度を保って輸送ができます。
エア・ベンチレーション(通気口)
コンテナの内部の温度を循環させることで内部温度を均一化させます。
断熱資材
その他、コンテナ輸送のお役立ち商品として様々な断熱資材が販売されています。(サードパーティー製)ドライコンテナ×断熱資材=経費節減&定温輸送などを実現されている方もいます。
湿度管理の重要性と記録方法
温度変化は、気温によるダメージの他、結露被害をもたらします。特に長期間の輸送をする場合は、天候や気温の変化による影響を強く受けると考えた方が良いでしょう。
湿度を制御する材料、温度調節装置又は、断熱資材等を導入し、できる限り、小さな影響になるよう工夫します。なお、内部温度の変化を記録するデータロガーと呼ばれる装置もあります。
その他、コンテナ輸送のお役立ち情報(サイズ・重量・容積)
アパレル品の輸送コンテナ
アパレル品の海上輸送では、主に以下のコンテナが使用されます。
ドライコンテナ(Dry Container)
一般的な貨物輸送に使用されるコンテナで、アパレル品の輸送にも最も広く利用されます。サイズは主に 20フィート(約33㎥)と 40フィート(約67㎥)があり、大量の衣類を輸送する場合は40フィートコンテナが適しています。
ハンガーコンテナ(Garment on Hanger Container / GOHコンテナ)
吊り下げ式のラックを備えたコンテナで、シワになりやすいスーツやドレスなどの衣類をハンガーのまま輸送できます。特に高級アパレルブランドの輸送では、このタイプが選ばれることが多いです。
リーファーコンテナ(Reefer Container)
温度管理が可能な冷蔵コンテナで、湿気を抑えたい場合や、カビ・ニオイの発生を防ぐ必要がある繊細な衣類の輸送に利用されます。特に革製品や湿気に弱い素材のアパレル品には適しています。
アパレル品を輸送する際の注意点
アパレル品は湿気や汚れ、シワなどに注意が必要です。以下のポイントを押さえておきましょう。
一般的なコンテナサイズ、最大重量、容積
20F | 40F | 40F HQ | |
長さ | 約6.06メートル(20フィート) | 約12.19メートル(40フィート) | 約12.19メートル(40フィート) |
最大重量 | 約24,000キログラム | 約30,480キログラム | 約30,480キログラム |
最大容積 | 約33.2立方メートル | 約67.7立方メートル | 約76.0立方メートル |
高さ | 約2.59メートル | 約2.59メートル | 約2.89メートル |
コンテナ輸送の重量制限
20F | 40F | 40F HQ | |
総重量 | 約24000kg | 約30000kg | 約30000kg |
自重 | 約2300kg | 約4000kg | 約4000kg |
最大積載重量 | 約22000kg | 約26000kg | 約26000kg |
- 総重量:コンテナ自体の重量と積載貨物の合計重量
- 自重:空のコンテナの重量
- 最大積載重量:コンテナ内に積載できる貨物の最大重量
但し、実際は、ボイドスペースやパレットなどの存在により、積める量は規定よりも少ないです。
20FT・40FTコンテナの積載量 M3の意味とは?計算方法も解説!
コンテナ輸送と衝撃の関係
コンテナ輸送時は、以下の原因により貨物に衝撃を与える事があります。
- 積み込みや荷下ろし:フォークリフト操作やクレーン操作
- 輸送中の衝撃:コンテナ貨物を積める前、おろしした後の国内輸送
- 積み方が悪く、積み重ね圧力の衝撃
- 天候不順:大しけ、嵐などの悪天候により船が揺れによる衝撃
衝撃対策
- 適切な梱包を心がける:発泡スチロールやエアクッションなど使用する。
- 均等な積み込みを意識する。:重心点を意識し、バランスよく均等に配置する。
- 固定具の使用:ラッシングベルトやストラップを使用して貨物を固定する。
- 適切なコンテナを選ぶ:特定の貨物にはリーファーコンテナ(冷蔵コンテナ)やオープントップコンテナなど、適切なコンテナを選ぶ。
コンテナの選び方は?自分で選ぶの?
最後にコンテナの選び方、最適なコンテナの見つけ方についてご紹介します。ただ、基本的には、荷主サイドで最適なコンテナを選ぶよりも取引するフォワーダーに一任することが多いです。
フォワーダーとは、キャリアと荷主の間に立ち、輸送手配をする業者です。一般的な荷主(規模が大きくない所)は、ほとんどフォワーダーに対して輸送依頼や相談をすることが多いです。フォワーダーは、荷主から依頼があると、次の観点から最適なコンテナを手配してくれます。
- 輸送距離、輸送日数
- 商品の特徴と貨物の仕様
- 貨物の物量が合っている事
例えば、荷主から輸送日数を短縮したいとの要望を受けた場合は、コンテナ船ではなく、フェリー船をお勧めします。また、輸送する貨物の量から考えて、コンテナではなく、LCL輸送を勧める場合もあります。
例えば、一見するとドライコンテナで運べると思える貨物でも、船のルート、海洋上のコンテナ内部温度を考えて、リーファーコンテナを提案することもあります。
液体物の輸送であれば、タンクコンテナ又はフレキシブルコンテナを提案します。但し、タンクコンテナは、船腹スペースの関係から載せられないこともあります、この場合は、フレキシブルコンテナが最適です。
大切なことは、輸送先、商品の品質要件等を正確に伝えて、フォワーダーが適切なコンテナを手配できるようにすることです。荷物のことを知っているの荷主です。であるなら、当然、荷主サイドから、荷物の品質保持に必要な情報等を伝えることが重要だとわかります。
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