中国や韓国と貿易(輸入・輸出)をするときは、フェリー輸送が便利です。フェリー輸送は、特定の拠点間を往復するサービスです。海上輸送と航空輸送の良い所どりとも言われる存在です。
この記事では、フェリー輸送の魅力、コンテナ船との違い、メリットなどを解説していきます。
中国&韓国との貿易ならフェリー輸送が便利
中国や韓国から商品を仕入れている方へ。その輸送手段の中に「フェリー輸送」を考えてみませんか?フェリー輸送とコンテナ輸送は全く別物です。順番に解説していきます。
フェリー輸送とは?
フェリー輸送は、2地点間など、ある特定航路のみを定期的に往復運航します。
- 特定航路のみの往復
- 定期、定時間運航
するのが主な特徴です。
一方、これと似ているコンテナ船は、様々な港によりながら(寄港)荷物を届けるサービスです。フェリー輸送と比較すると、輸送時間が圧倒的に長いです。
フェリー輸送の魅力・特徴・メリット
フェリー輸送のメリットは、次の通りです。
- 海上輸送の中で最速サービス(海上輸送と航空輸送の間)
- スケジュールが固定されている。
- 航空輸送よりも料金は安い。
- 様々な貨物種類を運べる(ドライ、大型貨物、リーファーなど)
- オンシャーシ方式→荷下ろし等に影響がないので精密機械の輸送にも優しい。
- RO-RO船のため、積載&搬出が非常に迅速
- カット日が直前まで設定されている。(出航日当日搬入&通関OK)
- 入港日の当日通関&搬出ができる。
- 週七便、365日体制での通関も可能
フェリー輸送の最大のメリットは、速さです。正確な定時制運行、輸出国側、輸入国側のそれぞれで荷揚げ、荷下ろし、通関等が非常に迅速に処理されます。
例えば、上海から大阪までフェリーで輸送。大阪でトラックに積み替えて、東京方面に輸送しても最短で3日間でつきます。もちろん、海上輸送日数&国内輸送日数を含めての日数です。
コンテナ輸送の日数はどれ程?期間を左右する要因と最適化のコツ
その他、一般のコンテナ船と同じようにリーファーコンテナ(冷蔵食品)、長尺物、重量物も輸送ができます。意外なことにコンテナに入りきらない大型貨物の輸送もできます。
輸送日数を短くしたい。でも航空輸送までは使えない。そんな方にフェリー輸送はピッタリです。
コンテナ船との違い。
フェリー輸送とコンテナ輸送の違いは、次の通りです。
- 定時性&寄港地の少なさ
- 搬入や搬出の迅速さ
- 標準の通関体制
- 料金が明瞭
定時性&寄港地の少なさ
フェリー船は、正確な定時制を確保した上で、非常に高頻度で運航されています。=より選択の幅が広い(例:貨物の一部を後追いで輸送などもできる)
搬入や搬出の迅速さ
搬入や搬出とは、貨物を本船に入れる又は出すことです。通常、コンテナ船の場合は、ガントリークレーンと呼ばれる専用クレーンにより貨物の搬出入が行われます。(Lift on Lift off方式)
一方、フェリー船は、シャーシごと(コンテナを載せる車両)船内に積載するRoll-on Roll-off方式のため、リフト方式よりも迅速に搬出入ができます。全てのコンテナが独立したシャーシの上で固定されている為、船の揺れによる損傷の影響を受けにくいです。
カットタイムの遅さは、ぎりぎりまで商品を製造できることを意味します
標準の通関体制
コンテナ船に関する通関体制は、原則、月~金曜日までが多いです。土曜日は、対応している所もある~という具合です。
一方、フェリー輸送の場合は、土日祝日関係なしで365日の体制で通関処理をしています。当然、コンテナ船よりも港から貨物を引き取れる時間が短いです。(短納期が実現できるポイント)
料金が明瞭
フェリー会社にもよりますが、輸送料金までを明確に示している所もあります。全体的な傾向としては、一般のコンテナ輸送(海上輸送)よりも料金体系が明瞭の場合が多いです。
画像引用元:蘇州下関フェリー
以上がフェリー輸送とコンテナ輸送の違いです。
フェリー船を使う場合は2つの方法がある!
荷主としてフェリーを使う場合は、2つの方法があります。
- フェリーの運航会社に直接予約する。
- 独自サービスを展開(フェリー船を利用)するフォワーダーに依頼する。
1番は、下の日中国際フェリーさんなどが該当します。2番は、下の日通さんの「大連快速」です。仕組みは次の通りです。
- フェリー船を運航する会社とフォワーダーが輸送の卸契約をする。
- フォワーダーは、卸で仕入れたスペースを活用し、独自のサービス名で販売する。
よって、荷主は、1番の選択もできますし、2番の選択もできます。どちらも高速フェリー船を使っている点は同じです。
荷主は、どちらを選べばいい?
1番と2番は甲乙をつけがたいです。強いていうなら、2番の方がより荷主が求めている輸送ニーズに最適化していることが多いです。
例えば、中国輸送の専門企業 エフシースタンダードロジックス株式会社が提供する海上速達便も、このフェリーサービスを独自にカスタマイズして提供する物です。このサービスは、フェリーの魅力を兼ね備えた上で、日本側の着値価格&KG単価で表示できます。
フェリーの魅力×フォワーダー独自の魅力
上記を掛け合わせて他社とは違うサービスにしているのですね!他にもフェリー&鉄道輸送又は、フェリー&デバンオントラックなどをしている所もあります。
参考情報:フェリー輸送のコンテナサイズ
画像引用元:カメリアライン株式会社
代表的なフェリーサービス
最後に日本と中国、韓国、台湾を結ぶ主なフェリーサービスをご紹介します。以前までは、北海道とロシアとを結ぶフェリー船もありました。2024年現在は、それらは全て廃線になっています。
中国航路
新鍳真(しんがんじん)日中国際フェリー
- 航路:大阪 – 上海 →大阪
- 戦後初の日中間のフェリーサービス
- 神戸・大阪に交互に入港
蘇州下関フェリー(SSF)
- 航路:下関 - 太倉(上海) → 下関
- 365日通関対応
- HDSチャージ不要
- 冷凍(活魚コンテナなど)&特殊貨物の引き受けもOK
- 重量貨物・長尺貨物・ブレイクバルクの輸送
- サイドオープンコンテナ対応
日本通運(大連特快)
- 航路:大阪→大連→大阪
- 最短3日到着(大阪発)
- 最短4日到着(大連発)
- 輸出については週3便、輸入については週2便
- オンシャーシ方式
韓国航路
Panstar Line
- 運航ルート:大阪・東京・敦賀&金沢、名古屋・下関 ー 釜山&石島
- PUEサービス(フェリー&鉄道輸送=東京港渋滞回避)
- スケジュール:詳細 https://www.panstar.jp/cargo/ferry/plyschedule/
関釜フェリー
- 下関(日本) – 釜山港(韓国)
- スケジュール 下関19:45→翌日8:00釜山着 釜山21:00→翌日7:45分下関着
- 毎日運航 土日を含む週7便運航
- 年中無休の通関体制→ドアデリバリーの最適化
- ドライ、リーファー、サイドオープナー、低床2軸シャーシ、フラットシャーシに対応
カメリアライン株式会社
- 博多(日本) – 釜山港(韓国)
- スケジュール 博多12:30→翌日18:00釜山着 釜山20:00→翌日7:30分博多着
- ドライ、リーファー、ブレークバルク、超重量物も対応可能(例:60トンダンプ)
関光汽船
- 下関・関西・広島・博多 – 釜山港(韓国)
- 下関→太倉(上海)
- 下関→青島/石島/大連(韓国積み替え)
- インランドデポ(フェリーと国内陸送最適化サービス)
- 週18便の運航
- 土日含む週七便の運航
- 輸出は出航日当日搬入&船積み。輸入は入港日当日通関&出荷
- 韓国ナンバー付の低床シャーシを導入
- 下関を基点に全国各地に一斉配送できる。
台湾航路
琉球海運
- 博多~鹿児島~那覇~宮古~石垣~高雄を週1回運航