原則、輸出入通関は、港又は空港の近くで行われます。しかし、ある制度を施設を利用することで、港や空港から離れた地域(内陸部)でも輸出入通関ができます。この特別な施設(地域)のことをインランドデポ(ICD=Inland Container Depot)と言います。
実は、このインランドデポをうまく利用することで物流の合理化、コストの削減を実現できます。そこで、この記事では、インランドデポの概要、メリット、デメリット、インランドチャージ、インランドデポを活用したドレージ戦略をご紹介していきます。
インランドデポ
インランドデポとは、税関長の許可により設けられる特別な地区(内陸保税蔵置場)です。
例えば、東海地方の場合は、名古屋港に船が到着することが多いです。通常、名古屋港で通関後、愛知、岐阜、三重県などに輸送されていきます。東海三県の内、岐阜県は、内陸部に位置するため、当然、名古屋港での手続きが多いです。
しかし、これ以外の選択もできます。岐阜県には、複数のインランドデポがあります。これを活用することで、貿易上の疑似的な港のような機能を実現できます。

*なお、愛知、岐阜の事例をあげていますが、インランドデポは全国共通の仕組みです。お近くの都道府県にも存在します。
インランドデポの活用例
- 名古屋港に到着する。
- 税関から保税運送の許可を得る。
- 輸入許可前の状態で、岐阜県インランドデポに輸送する。
- 岐阜のインランドデポで輸入許可を得る。
- 最終配送先に貨物が届けられる。
通常の場合とインランドデポとの相違点は、輸入許可を受けるタイミングです。
- 通常=名古屋港
- インランドを活用する場合=岐阜のインランドデポ
なぜ、このようなことをするのでしょうか? それは、インランドデポのメリットとデメリットを理解するとわかります。
インランドデポのデメリット
- 保税運送に対して若干、申請料がかかる。
- 輸入者の実績によっては、保税運送が許可されないこともある。
- コンテナが滞留するリスク
- 空コンテナの取扱量が少なくなることがある。
インランドデポのメリット
- 消費税が免税(保税輸送部分)
- 素早い通関&荷物引き取りができる。
- 保管やバンニング、通関等が一貫してできる。
- 自社の近くのインランドデポから発送ができる。
- 税関検査による不具合等が発生した場合の対応がスムーズ
- 特に港や空港を持たない内陸県の会社におススメ!
特にここがポイント→消費税が免税
関税法では、外国貨物は輸入許可により内国貨物になる。この逆も同じと定められています。
名古屋港で輸入許可を受けず、インランドデポまで輸送する=外国貨物のまま輸送
上記を「保税運送」と言います。保税運送は、外国貨物のため、消費税は発生しないとされています。
- 名古屋港で輸入許可を受ける→岐阜迄輸送=内国貨物の輸送につき消費税課税
- 名古屋港で輸入許可を受けない→岐阜迄輸送=外国貨物の輸送につき消費税なし
インランドデポで輸入許可を受けることで、港からインランドデポまでの運送費に対する消費税がかからなくなります。
また、保税蔵置場は、最初に入れてから最大で2年間まで保管(延長して最大2年間)ができます。この仕組みにより、自社の倉庫保管場として活用ができます。ちなみに、インランドデポでの保管も外国貨物のままなので、倉庫代金にかかる消費税もなしです。
特にここがポイント→近くで通関ができるので色々と便利
自社の近くで通関ができるので、貨物の発送、受け取り、転送等をするときに便利です。特に通関上のトラブルが発生した際、その便利さがわかると思います。
その他、インランドデポに関係する情報
インランドデポで保管中している輸入品で価値がなくなった場合は?
万が一、インランドデポで保管をしている貨物の価値がなくなった場合は、どうすればいいのでしょうか?
インランドデポでは、保税状態(外貨)で保管をしているため、税関の承認を受けることで、関税や消費税を未納のまま減却処分ができます。
- 関税や消費税の支払いを避けられる
- 無駄な経費の発生を防げる。
- 在庫管理を効率化できる。
インランドチャージとは?
国際輸送で港から内陸部(ICD)までの輸送に関する費用の事です。Inland Haulage Charge (IHC) とも呼ばれています。
インランドデポの一覧の探し方
インランドデポ(別称、内陸保税蔵置所)は、税関の保税蔵置所一覧で探します。又は、都道府県+インランドデポなどと検索しても表示されます。
トラブルから探す
国際輸送の見積依頼先
お役立ち資料