海上輸送で運べるもの・運べないもの:知っておきたい輸送ルール

海上輸送は、国際貿易でも最も一般的な方法です。しかし、全ての貨物が海上輸送で運べるわけではありません。この記事では、海上輸送で運べるものと運べないものについて解説していきます。

海上輸送で運べるもの・運べないもの

海上輸送とは、コンテナ船やバルク船等を使い貨物を輸送することです。航空輸送と比較しても重量ベースでは、95%が海上、5%%が航空輸送だと言われています。価格ベースでは、海上輸送が65%、航空輸送が35%程です。いずれの場合も国際貿易で使う輸送は、海上輸送が圧倒的です。

では、そんな海上輸送で適している物、適さない物とは、どのような物なのでしょうか?

海上輸送で運べるもの

全体的な傾向として、以下の条件のに当てはまる場合は、海上輸送が向いています。

  • 重いこと
  • 容積(図体)が大きいこと。
  • 危険性が高いこと
  • 安い商品
  • 短納期を求めない商品

まずは、海上輸送に向いている物をご紹介します。

一般貨物

一般貨物には、衣類、家具、家庭用品、工業製品、機械部品などがあります。

食料品

生鮮食品(バナナ)、グレープフルーツなどの生鮮食品の他、常温保存が可能な食料品、冷蔵・冷凍食品などです。冷蔵等が必要な場合は、リーファーコンテナと呼ばれる特殊コンテナを使います。

生産食品の中でも短納期、品質劣化が激しい。比較的、価格が高い、アメリカンチェリーなどは、航空輸送することが多いです。

液体および化学薬品

液体や化学薬品などには、石炭、石油、特定の化学物質、化学系薬品などがあります。

車両と機械

自動車、バイク、農業機械、プレジャーボート、製造設備の一式(プラント)などがあります。

大型貨物

風力発電のブレード、ブルドーザーやショベルカーなどの建設機材です。重量物であり、巨大である物は、迷わず海上輸送です。

 

【商品別】海上コンテナ輸送ガイド 最適な輸送船、梱包方法と輸送上の注意点

 

海上輸送で運べないもの

続いて海上輸送で運べない物をご紹介します。海上輸送は、赤道直下でコンテナの内部温度が非常に上昇します。また、湿気、水漏れ、納期遅延等が発生すること。航空輸送と比較して、圧倒的に輸送期間が長くなるのが特徴です。したがって、それらを嫌う貨物の輸送は、向いていないです。

  • 精密機器(錆や高温による影響)
  • アメリカンチェリーなどの品質劣化が激しい商品
  • 貴金属(腐食、盗難など)
  • 短期輸送を求める商品

危険物

危険物に該当する物の内、特に危険性が高いとされる爆発物、放射性物質、特定の腐食性物質などがあります。危険物は、国際海上危険物規程(IMDGコード)、国際バルクケミカルコード(IBCコード)、核燃料物質等専用運搬船の基準(INFコード)などの基準に従い輸送されます。

腐りやすい物品

適切な保管等をしていないと短期間で腐敗する物です。

高価値品

現金、貴金属、宝石など、貨物自体が非常に換金性がある物です。これらは、腐食性のリスクと長期輸送による盗難リスクが高いです。(例:シルバー製品、ゴールド製品など)

各国&国際的な規制

国や地域の法律により輸出入が禁止されている物品、経済制裁の対象国への輸出入、ワシントン条約により規制されている商品など、各国の法律や地域間の法律に反する貨物の輸送はできないです。これは、航空輸送も同じです。

海上輸送のルールと規制

海上輸送ができるのか? できないのかは、以下3つの観点から総合的に判断します。

  1. 各国の規制
  2. 国際的な規制
  3. 貨物の梱包やラベリング規制

1.各国の規制

まず考える点は、国際ルール(条約)、各国の規制への遵守です。これは、他のどのルールよりも優先して考えなければならないです。

例えば、貨物的には輸送できる物である。しかしながら、輸送先の国が国際的な経済制裁対象国に指定されている場合は、当然、輸送は不可です。

  • 輸出入先の国ごとの規制
  • 税関手続きと必要書類

2.国際的な規制

次に国際輸送をする上での各種規制やルールを検討します。

例えば、危険物輸送をする際は、IMDGコードが重要です。他、船舶の安全運航の実現や船舶による海洋汚染を防止するための国際海事機関(IMO)による規制などもあります。

  • SOLAS条約
  • MARPOL条約
  • STCW条約
  • ISPSコード
  • バラスト水管理条約
  • 海洋労働条約

3.貨物の梱包とラベリング規制

最後は、貨物に応じた適切な梱包がなされているのか? ラベリングがなされているのか?です。

ご存じの通り、海上輸送は、潮風、波による揺れの影響を強く受けます。それらによる影響を最小にする意味でも適切な梱包が重要です。また、適切な梱包の他、貨物に応じたラベリングも重要です。

ラベリングとは、貨物の梱包(外箱部分)に貼り付けるシールです。特に危険物品を輸送する際は、危険物に応じて表示内容が細かく決められています。それらをしっかりと守ることが重要です。

 

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