2020年11月30日、世界の貿易業界に衝撃を与えた海上輸送事故が発生しました。ONE APUSのコンテナ流出事故です。この事故では、合計1,841本ものコンテナが海上に投げ出され、大規模な損害が発生。国際貿易に多大な影響を与えました。
この記事では、ONE APUS事故の概要や原因、影響、事故から学べるポイントについて詳しく解説します。
ONE APUS事故の概要
ONE APUSは、日本の海運企業ONE(オーシャン・ネットワーク・エクスプレス)が運航する大型コンテナ船です。事故は2020年11月30日、ハワイの北西約2,000kmの太平洋上で発生しました。荒天の中を航行中、巨大な波と強風の影響を受けて、積載されていたコンテナが次々と崩れ落ちました。
注目するべき点は、過去最大級のコンテナ流出量です。最終的に1,841本ものコンテナが海に落下し、そのうち64本には危険物が含まれていました。これにより、自然環境や貨物に深刻な損害を与えました。
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ONE APUS事故の原因
なぜここまで多くのコンテナが流出してしまったのでしょうか?主な原因は以下の3つであると言われています。
1.強烈な悪天候
事故当時、太平洋上は時速90km以上の強風と、15mを超える高波が発生していました。コンテナ船は悪天候の影響を受けやすく、特に高積みされた貨物は風の影響でバランスを崩しやすくなります。
3.ラッシング(貨物固定)の問題
コンテナは通常、ラッシングと呼ばれる金属製のロックやストラップで固定されます。しかし、これらの固定具が十分に機能しなかった可能性があります。ONE APUSのコンテナは船上で高く積み上げられており、上部の貨物ほど固定が弱くなりやすかったです。

パラメトリック横揺れが主因と言われています。
3. 航行ルートの選択
強風や高波が予測される場合、通常は航行ルートの変更を検討するのが一般的です。しかし、この事故では予定通りのルートを進んでおり、より安全な航路を選択する余地があった可能性も指摘されています。
事故がもたらした影響
この事故は、輸送業界や環境、物流全体に大きな影響を与えました。
1.貨物の喪失と損害賠償
流出したコンテナには電子機器や衣類、化学物質などの貨物が含まれていました。これにより、多くの荷主が大きな経済的損失を被りました。
2. 環境問題
64本のコンテナには危険物(化学薬品・バッテリーなど)が含まれており、海洋汚染の懸念が高まりました。海上に落下した貨物がどこまで拡散したのか、環境への長期的な影響は現在も議論されています。
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3.保険業界への影響
この事故により、海上貨物保険の見直しが行われ、コンテナの固定方法や補償範囲の見直しが行われました。特に、荷主が適切な保険に加入していたか?かが重要なポイントとなりました。
この事故から学ぶべきポイント
同じような事故を防ぐために、私たちはどのような対策を取るべきでしょうか?
1.適切な貨物固定を確認する
コンテナのラッシングが適切に行われているか?をフォワーダーに確認しましょう!
2. 貨物保険の重要性を理解する
万が一の事故に備えて、適切な海上貨物保険に加入することが必要です。貨物の価値に応じた補償を選びましょう。
3. 航行ルートとリスクを把握する
悪天候が予測される場合は、代替ルートの選択やスケジュールの調整を検討することも良いでしょう。
まとめ
- ONE APUS事故では、1,841本のコンテナが海上に流出した。
- 事故の主な原因は悪天候、貨物固定の不備、航行ルートの選択ミスである。
- 貨物固定の確認、保険の加入、航行リスクの把握が必要。
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