海外から魅力的な商品を輸入し、日本の市場で販売しようと考えていらっしゃいますか? しかし、輸入の世界には見えない落とし穴が数多く潜んでいます。そのひとつが 輸送品質の低下による検疫トラブル です。
「輸送が終われば、あとは販売するだけ」と安心していると、税関や検疫所で思わぬ指摘を受け、大量の在庫が販売不可能になることも。
食品や化粧品といったデリケートな商品はもちろん、意外なことに ぬいぐるみや木製品、さらにはおもちゃ までもが検疫でストップされることがあるのです。
では、なぜ輸送品質の低下が検疫違反を引き起こすのか? どのようなケースでトラブルが発生するのか?そして、どうすれば防ぐことができるのでしょうか?
この記事では、国際輸送に潜む品質リスクと、恐ろしい結末について詳しく解説します。
輸送品質が低下することで起こる検疫トラブル
輸入品が通関でストップされる理由はさまざまですが、その中でも 輸送品質の悪化 は深刻な問題を引き起こします。
例えば、冷蔵管理が必要な食品が適切な温度で輸送されなかった場合、検疫で「品質不良」とみなされ、輸入不許可になるケースがあります。
また、湿度管理が不十分だったことで、輸送中に カビが発生 する事例も後を絶ちません。特に 木製品や布製品 はカビが発生しやすく、検査で発見されると 食品衛生法違反の扱いを受ける可能性があります。
さらに、 包装不良や輸送中の破損も問題です。輸送中に箱が潰れたり、商品が破損したりすることで、税関での検査が厳しくなり、不良品扱いされるリスクが高まります。特に、海外の梱包基準は日本とは異なるため、「海外の工場でしっかり梱包したから大丈夫」と思っていると、思わぬ落とし穴にはまることになります。

カビの発生確率は、意外に高いです。
輸送中に起こる具体的なトラブルとその恐ろしい結末
冷蔵・冷凍管理の不備による食品衛生法違反
ある輸入業者は、海外の有名な冷凍食品を輸入し、日本で販売しようとしました。しかし、輸送中に 冷凍コンテナの温度管理がずさんだったため、一部の商品が解凍されてしまいました。
検疫所で検査を受けたところ、「温度変化による品質劣化が認められる」とされ、輸入不許可に。仕入れた数千万円分の冷凍食品が 全て破棄処分となりました。さらに、廃棄費用も輸入業者の負担となり、ビジネスに大打撃を与えました。
湿度管理不足によるカビの発生と輸入拒否
また、天然素材を使用した 木製カトラリー を輸入しようとしたケースでは、輸送中の湿度管理が不十分だったため、開封時にカビがびっしりと発生していました。このカビが 日本の衛生基準を満たしていないと判断され、税関で輸入を拒否されました。
木製品のカビは、食品と接触する可能性があるため特に厳しくチェックされます。そのため、輸送の際には適切な防湿対策を行わなければなりませんが、この業者は「海外のメーカーがしっかり梱包している」と油断してしまったのです。

輸送品質の維持は絶対的な条件です。データロガー等でコンテナの内部温度の変化を監視する仕組みを構築することを強くおススメします。
ぬいぐるみや布製品が臭気汚染で販売不可能
さらに、意外な例として ぬいぐるみ があります。ある輸入業者が海外の人気キャラクターのぬいぐるみを仕入れたところ、輸送中の湿度管理不足と通気性の悪い梱包によって 異臭が発生していました。
ぬいぐるみは子どもが直接触れることが多いため、衛生基準が厳しく設定されています。このため、異臭が発生すると「化学物質による汚染の可能性がある」とみなされ、輸入が拒否されることがあります。この業者は1000個以上のぬいぐるみを仕入れていましたが、 販売不可となり全て処分せざるを得なくなりました。
輸送品質の低下による検疫トラブルを防ぐ方法
これらの事例を避けるためには、 輸送品質を徹底管理することが不可欠です。
まず、温度管理が必要な食品や化粧品などを輸送する際は、 適切な温度管理が行われているかをリアルタイムで確認できるシステムを導入するのが効果的です。最近では、温度ロガーを使用して輸送中の温度データを記録し、万が一異常が発生した場合に迅速に対応できる仕組みが整っています。
また、湿度管理についても、 吸湿剤や防湿包装を活用することで、輸送中のカビの発生を防ぐことができます。特に、木製品や布製品は湿度に敏感なため、適切な防湿対策を取ることが重要です。
輸送中の破損や包装不良を防ぐために、 海外の梱包業者に任せきりにせず、日本の基準に沿った梱包方法を指定することが大切です。特に、耐衝撃性のある梱包や、輸送中の荷崩れを防ぐ工夫を施すことで、税関でのチェックをスムーズに通過しやすくなります。
まとめ:輸送品質の管理が輸入成功のカギを握る
輸送途中で品質が低下すると、検疫トラブルの原因となり、最悪の場合、 全ての商品が輸入不許可になる 可能性があります。食品や化粧品だけでなく、ぬいぐるみや木製品といった意外な商品でも、湿度や温度管理の不備によって輸入ができなくなります。
「輸送が終われば安心」という考えは非常に危険です。輸入業者は、輸送品質を徹底管理し、リスクを最小限に抑える対策を講じることが求められます。輸送品質の管理を徹底し、安全で確実な輸入ビジネスを実現しましょう。