冷凍・冷蔵食品の国際輸送は、温度管理が極めて重要であり、通常の貨物輸送とは異なる規制や手続きが求められます。特に、食品の鮮度や安全性を確保するために、適切な輸送方法や梱包方法を守ることが重要です。
この記事では、冷凍・冷蔵食品を輸出入する際に必要な知識を解説します。
冷凍・冷蔵食品の国際輸送
冷凍・冷蔵食品の主な対象品目
冷凍・冷蔵食品の輸出入では、以下の品目があります。
冷凍食品(-18℃以下)
- 水産物(冷凍エビ、冷凍マグロ、カニ、イカ)
- 肉類(冷凍牛肉、冷凍豚肉、冷凍鶏肉)
- 加工食品(冷凍餃子、冷凍ラーメン、冷凍スイーツ)
- 野菜・果物(冷凍ブロッコリー、冷凍マンゴー、冷凍ベリー類)
冷蔵食品(0℃~5℃)
- 乳製品(チーズ、ヨーグルト、生クリーム)
- 生鮮野菜・果物(りんご、柑橘類、アボカド)
- 精肉・魚介類(生鮮マグロ、牡蠣、鮭)
- 飲料類(生酒、フレッシュジュース)
日本からの主な輸出先国
日本の冷凍・冷蔵食品は、海外市場で高い評価を受けています。特に以下の国・地域では、日本の食品が活発です。
アジア
- 中国:高級和牛、冷凍寿司ネタ、冷凍海産物の需要が高い。
- 香港・台湾:日本の高級冷凍食品や生鮮食品が人気。
- シンガポール:冷凍刺身、冷蔵フルーツの市場が大きい。
- ベトナム・タイ:日本の加工食品(冷凍弁当・スイーツ)を輸入
北米・欧州
- アメリカ・カナダ:寿司向け冷凍魚介類、和牛、冷凍ラーメンの需要
- EU(ドイツ・フランス):チーズ、味噌、醤油などの冷蔵食品
- イギリス:日本のクラフトビールや冷蔵スイーツが注目されている。
中東・オセアニア
- UAE・サウジアラビア:高級和牛、冷凍寿司ネタの輸入が増加
- オーストラリア・ニュージーランド:乳製品や冷凍食品の市場が拡大
冷凍・冷蔵食品の輸送方法
主に以下3つの方法で輸送します。
1.リーファーコンテナ(Reefer Container)輸送
温度管理ができるリーファーコンテナ(冷蔵コンテナ)を使用します。
- 冷凍(-18℃以下):アイスクリーム、冷凍魚、冷凍肉
- 冷蔵(0~5℃):生鮮食品、乳製品、果物
航空輸送(クーリエ・エアカーゴ)
短期間で輸送する場合、航空便を利用します。
- クーリエ(DHL・FedEx・UPS):小ロット向けの冷蔵・冷凍食品の輸送
- エアカーゴ(航空貨物):高級和牛や生鮮魚介類の輸出に適している
ドライアイス・ゲルパックによる輸送
小ロットや個別配送では、ドライアイスやゲルパックを使用して輸送することもできます。
- 短距離輸送(24~48時間以内)=ゲルパックを使用
- 長距離輸送(72時間以上)=ドライアイスを使用
冷凍・冷蔵食品の梱包・固定方法
食品の品質を保つためには、適切な梱包が必要です。
- 断熱梱包材の使用:発泡スチロールや特殊断熱材を使用。
- ドライアイス・ゲルパックの利用:輸送時間に応じた適切な冷却材の選択
- 二重包装の徹底:漏れ防止のため、食品用フィルムや耐水段ボールを利用。
- 荷崩れ防止策:輸送中の衝撃で食品が破損しないよう固定する。
冷凍・冷蔵食品の通関手続きと必要書類
食品輸送では、各国の食品安全基準や衛生規制を遵守する必要があります。
主要なHSコード
- 冷凍魚介類(0303.89.00)
- 冷凍肉類(0202.30.00)
- 冷凍野菜(0710.90.00)
- 乳製品(0406.10.00)
必要な書類
- インボイス(Commercial Invoice):品目・価格・取引条件を記載。
- パッキングリスト(Packing List):梱包内容の詳細。
- B/L(船荷証券):貨物の所有権を証明。
- 衛生証明書(Health Certificate):食品衛生基準に適合することを証明。
- 原産地証明書(Certificate of Origin):関税の減免措置を受ける時に必要
- 検疫証明書(Sanitary Certificate):生鮮食品や動物由来食品に必要
まとめ
- 冷凍・冷蔵食品の輸送には、適切な温度管理が必須。
- リーファーコンテナ、航空輸送、ドライアイスを活用した輸送方法を選択。
- 梱包には断熱材・冷却材・二重包装を使用し、品質を維持。
- 通関手続きでは、インボイス、B/L、衛生証明書が必要。
- 出荷前に輸入国の規制を確認し、適切な手続きを行う。
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