リーファーコンテナの温度管理トラブルと防止策

国際輸送では、リーファーコンテナ(冷凍・冷蔵コンテナ)が食品や医薬品、化学製品などの温度管理が必要な貨物を輸送する際に広く使用されています。

しかし、リーファーコンテナの温度管理は非常に繊細であり、適切な管理が行われないと貨物の品質低下や腐敗を引き起こす可能性があります。特に、積載時の配置ミスによる空気循環の阻害、貨物の移動による通気口の遮断、温度の不均一化が大きな問題となります。この記事では、リーファーコンテナの温度管理トラブルと対策について解説します。

リーファーコンテナの温度管理トラブル

温度管理トラブル

リーファーコンテナの温度管理トラブルは、主に3つの要因があります。

1.貨物の密集による空気循環の阻害

リーファーコンテナは、コンテナ内部に冷気を循環させることで一定の温度を保つ仕組みになっています。しかし、貨物が過密に積み込まれると冷気の流れが妨げられ、一部の貨物に適切な温度が行き届かなくなる問題が発生します。特に、生鮮食品や冷凍食品では、温度ムラが品質に大きな影響を与えます。

過密に積む=冷気の循環が阻害されます。

2.貨物の移動による通気口の遮断

輸送中に貨物が移動してしまい、リーファーコンテナの通気口(エアフローシステム)を塞いでしまう事があります。この問題が発生すると、冷気が適切に循環せず、一部の貨物が凍結しすぎたり、逆に適切な温度が維持されずに腐敗したりする可能性があります。

3.温度の不均一による品質低下

リーファーコンテナは設計上、冷気の流れに一定のパターンがあります。しかし、貨物の配置が適切でない場合、コンテナ内の温度が不均一になり、一部の貨物が適切な温度を維持できなくなります。特に、冷凍食品の場合、適切な温度が維持されないと氷結晶の成長が進み、品質が著しく低下します。

冷気が均一に行き渡ることが重要です。

具体的なリーファーコンテナの温度管理トラブル事例

事例1:空気循環の阻害による食品の腐敗

ある食品輸入業者が冷凍肉を輸入した際、コンテナ内の貨物を過密に積載したため、冷気の流れが滞り、一部の肉が適切な温度を維持できずに腐敗してしまいました。

事例2:輸送中の貨物移動による通気口の遮断

医薬品をリーファーコンテナで輸送していた際、輸送中の振動で貨物が移動し、コンテナ内の通気口を塞いでしまいました。その結果、一部の医薬品が適切な温度管理を受けられず、品質基準を満たさなくなりました。この問題により、輸入業者は一部の商品を破棄することを余儀なくされました。

事例3:温度の不均一による冷凍食品の品質低下

冷凍野菜を輸送していた企業が、積載方法を誤ったためにコンテナ内で温度ムラが発生し、一部の野菜が凍結しすぎて変色するトラブルが発生しました。適切なエアフローを確保できなかったことが原因であり、輸送業者と補償交渉を行うことになりました。

リーファーコンテナの温度管理トラブルを防ぐための対策

このようなトラブルを防ぐために、以下の対策が重要です。

1.適切な積載方法を実施する

リーファーコンテナに貨物を積載する際は、冷気の流れを確保するために適切な間隔を設けることが重要です。パレットの間にスペースを設け、エアフローを妨げないように配置することで、温度ムラの発生を防げます。

2.固定具を使用して貨物の移動を防ぐ

輸送中の貨物の移動を防ぐため、ラッシングベルトやエアバッグクッションを使用し、貨物が動かないように固定します。特に、通気口付近の貨物が動かないようにすることで、冷気の流れを維持できます。

3.温度モニタリングシステムを活用する

リーファーコンテナの内部温度をリアルタイムで監視するために、データロガーを設置し、温度異常が発生した際にアラートを受信できるようにします

4.運送業者と積載ガイドラインを確認する

貨物の積載方法について、運送業者と事前に協議し、適切に積載するように求めます。リーファーコンテナは通常のコンテナとは異なる積載方法が必要となるため、事前の打ち合わせを徹底することで、トラブルのリスクを減らせます。

リーファーコンテナの扱いに慣れているフォワーダーに依頼すると良いです。

まとめ

リーファーコンテナの温度管理トラブルは、貨物の積載方法や固定方法、通気の確保などによって引き起こされます。特に、空気循環の阻害、貨物移動による通気口の遮断、温度の不均一が発生すると、品質の低下につながります。

適切な積載方法の実施、固定具の使用、温度モニタリングシステムの活用、運送業者との積載ガイドラインの確認などを徹底することで、これらのトラブルを防ぐことが可能です。事前の対策を万全にして、安全な輸送を実現しましょう。

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