国際輸送では、他法令が関係する貨物と一般貨物を同じコンテナに混載すると、予期せぬトラブルが発生することがあります。適切な事前確認をしないと、通関の遅延や貨物の押収、追加コストの発生など、多くの問題につながります。
本記事では、具体的なトラブル事例を交えながら、適切な対策を解説していきます。
他法令貨物と一般貨物の混載トラブル
他法令が関係する貨物とは?
他法令が関係する貨物とは、関税法以外の特定の法令によって輸出入が規制されている貨物です。代表的なものとして、以下のような商品があります。
- 医薬品・医療機器(薬機法)
- 食品・飲料(食品衛生法)
- 化学物質(化審法、毒劇法)
- 動植物・木材(ワシントン条約、植物防疫法)
- 電子機器(電気用品安全法、電波法)
これらの貨物を適切な手続きなしに一般貨物と混載すると、輸送途中や通関時に問題が発生することがあります。
他法令が関係する貨物と一般貨物の混載で発生するトラブル事例
事例1:食品と化学薬品の混載による汚染リスク
ある輸入業者が、食品と化学薬品を同じコンテナに混載して輸送したところ、食品に化学薬品の臭気が移り、品質が劣化してしまいました。この結果、食品は市場で販売できなくなり、大きな損失を被りました。
解決策:食品と化学薬品のように、相互に影響を及ぼす可能性のある貨物は混載せず、専用コンテナを手配することが重要です。また、通関手続きの段階で、適切な梱包や隔離措置が施されているかを確認する必要があります。
事例2:医療機器と一般貨物の混載による通関遅延
ある企業が医療機器と一般貨物を同じコンテナで輸送した際、通関時に薬機法の申請手続きが完了していないことが判明しました。その結果、医療機器だけでなく、同じコンテナに積まれた一般貨物の通関もストップされ、納期に大幅な遅延が発生しました。
解決策:事前に輸入手続きが必要な貨物は、個別に適切な書類を準備し、通関のスムーズな進行を検討するようにします。
事例3:木製パレットの混載による検疫トラブル
ある貿易業者が、木製パレットを使用した貨物と、植物防疫法の対象となる生花を同じコンテナで輸送した際、到着地の検疫で木材の燻蒸処理が行われていないことが発覚。そのため、コンテナ内の全貨物が検査対象となり、輸入許可が下りるまで長期間の保管費用が発生しました。
解決策:植物や木材に関わる貨物は、それぞれ異なる検疫基準が適用されるため、事前に輸入国の規制を確認し、適切な処理を行った貨物のみを積載することが重要です。
他法令が関係する貨物を混載する際の注意点
- 事前に貨物の規制を確認 輸入国の法令を確認し、必要な許可や申請があるか確認
- 相互に影響する貨物は混載しない 化学薬品と食品、危険物と医療機器など、組み合わせによって問題が発生しそうな貨物は、別々のコンテナで輸送する。
- フォワーダーや通関業者と密な連携 他法令が関係する貨物を扱う場合、専門知識を持つフォワーダーや通関業者と密に連携します。
- 適切な梱包と隔離措置をする どうしても混載する必要がある場合は、貨物ごとに適切な梱包を施し、仕切りを設けるなどの隔離対策をします。
トラブル発生時の対応手順
- 貨物の状態を確認し関係者へ報告する 通関トラブルが発生した場合、写真や書類で貨物の状態を記録し、フォワーダーや通関業者に連絡します。
- 必要な書類の再提出や修正をする 規制違反が指摘された場合、必要な手続きを速やかに行う。
- 代替輸送手段を検討する 通関手続きが長引く場合、必要な貨物を先行して輸送できるかを検討し、別の輸送手段を手配します。
- 次回以降の輸送計画を見直す 今回のトラブルを教訓に、貨物の分類や輸送方法を見直し、同じ問題が発生しないような対策を講じます。
まとめ
- 他法令が関係する貨物の例:医薬品、食品、化学物質、動植物、電子機器など。
- 具体的なトラブル事例:食品の汚染、通関遅延、検疫違反による保管費用発生。
- 防止策:規制確認、貨物の適切な分類と隔離、フォワーダーとの連携。
- トラブル発生時の対応:速やかな報告、必要書類の修正、代替輸送の検討。