国際輸送において、コンテナ内の温度管理は、非常に重要です。特に夏場は、直射日光の影響を受けて庫内の温度が急上昇します。さらに、輸送ルートや季節によっては、寒暖差による結露や湿気の問題も発生します。
この記事では、海上輸送・陸上輸送のコンテナ内部温度の変化(夏と冬のコンテナの温度の変化(60度以上!?)、冬のモンゴル輸送時のコンテナ内の温度)について解説しています。

輸送時のコンテナ温度は何度になるのでしょうか?
コンテナ内部の温度変化
コンテナ内部の温度は、外気温より10~20度高くなることが一般的です。例えば、夏場の外気温が35度の場合、コンテナ内部の温度は50~60度に達します。
特に海上輸送では、長時間直射日光を浴びることで、コンテナの金属部分が熱を吸収しやすく、内部温度が上昇しやすいです。
一方、陸上輸送の場合は、トラックや鉄道の輸送中に日陰に入ることで一時的に温度が下がることもありますが、それでも基本的には高温環境です。
また、夜間になると急激に気温が下がることもあり、特に内陸部を通過するルートでは昼夜の気温差が激しく、貨物への影響が大きくなります。
- 夏場(直射日光下):外気温が35℃を超える場合、コンテナ内部の温度は60℃以上に達する
- 冬場(寒冷地輸送):外気温が-10℃以下の場合、コンテナ内部の温度も-10℃近くまで下がる
- モンゴルなどの極寒地輸送:外気温が-30℃以下の場合、貨物の凍結リスクが高まる。
特に温度管理が重要な貨物
食品・飲料
チョコレート、乳製品、果物、飲料などは高温で溶けたり腐敗したりしやすいです
医薬品・化学薬品
薬品や試薬などは、一定の温度を超えると、成分が変質し、効果が失われます。
液体貨物(ポリタンク・ドラム缶)
高温環境では液体が膨張し、容器が破裂するリスクがあります。
電子機器・精密部品
温度の急変によって結露が発生し、基板や電子部品が故障することがあります。
木製・紙製品
湿気や結露によって変形やカビなどが発生することがあります。
海上輸送・陸上輸送の温度管理方法
1. リーファーコンテナの利用
リーファーコンテナ(冷蔵コンテナ)を使用すると、温度を一定に保てます。特に、温度に敏感な食品や医薬品、化学薬品の輸送には欠かせません。
2. 遮熱シートや断熱材の活用
通常のドライコンテナを使用する場合、遮熱シートや断熱材をコンテナ内部に敷くことで、熱の影響を和らげられます。
3. 換気対策を徹底する
コンテナの換気口を利用し、庫内の温度上昇を抑えられます。ただし、湿気の多い環境では結露の原因になるため、貨物の種類に応じて調整が必要です。
4. 温度データロガーを設置
温度管理が重要な貨物には、データロガーを設置し、輸送中の温度変化を記録・監視することで、問題発生時に迅速な対応ができます。
5. 乾燥剤や防湿シートを使用
昼夜の気温差が大きい地域を通過する場合、結露を防ぐために乾燥剤や防湿シートを使用すると良いと思います。
6. 適切な輸送スケジュールの設定
夏場は、気温が比較的低い夜間や早朝に貨物の積み込みを行うことで、温度上昇を抑えられます。
世界各地の輸送時の温度環境の特徴
東南アジア・中東(夏場の高温環境)
- 最高気温:40~50度
- 高温と湿気の影響でカビ・腐敗リスクが高い
- リーファーコンテナの利用が望ましい。
ヨーロッパ(比較的安定した温度環境)
- 最高気温:25~35度
- 内陸輸送時の気温変化は穏やか
- 通常のコンテナでも比較的安定した輸送ができる。
モンゴル・中央アジア(昼夜の寒暖差が大きい)
- 日中:40度前後、夜間:15度以下
- 昼間の高温・夜間の冷却により結露の発生リスクあり
- 乾燥剤や防湿シートの使用が推奨される
北米(夏と冬の気温差が大きい)
- 夏場:35~45度、冬場:-20度以下
- 季節によって異なる温度管理が必要
アフリカ(高温かつ乾燥した環境)
- 最高気温:40度以上
- 直射日光の影響が大きく、遮熱対策が必須
航空輸送と海上輸送の温度環境の違い
航空輸送
- 貨物室の温度は5℃〜25℃程度に管理されるが、機体によって異なる。
- 一部の航空会社では温度管理が難しいケースもあるため事前確認が必要。
海上輸送
- 船上のコンテナは直射日光や外気の影響を受けやすい。
- リーファーコンテナを使用しない場合、温度変化が大きいため対策が必要
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まとめ:貨物を守るための温度管理のポイント
輸送時のコンテナ温度は、外気温よりも高くなる傾向があり、特に夏場の輸送では60度以上になることもあります。貨物の品質を維持するためには、リーファーコンテナの使用、遮熱シートの活用、換気対策、データロガーによる温度管理などが必要です。
また、輸送ルートごとに異なる気候条件を考慮し、適切な輸送手段や保護対策を講じることで、貨物の損傷リスクを最小限に抑えられます。
温度管理に関する不安がある場合は、専門のフォワーダーに相談し、最適な輸送方法を選択することをおすすめします。
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