海上コンテナ輸送のメリットとデメリット 効率性と課題

海上コンテナ輸送は、貿易において重要な役割を果たします。その利点と課題を正しく理解することは重要です。そこで、この記事では、海上コンテナ輸送のメリットとデメリットを解説します。

海上コンテナ輸送のメリットとデメリット

コンテナ輸送の仕組み

コンテナ輸送とは、コンテナと呼ばれる鉄製又はアルミ等の箱に貨物を入れて運ぶ事です。コンテナの大きさは、大別すると20フィート、40フィートの2種類です。1フィートは、約30cmです。0.3をかけるとmに換算できます。

  • 20フィート=6m
  • 40フィート=12m

このコンテナの規格は世界共通です。外国船、邦船(日本船)等に関わらず、共通仕様です。また、各国のコンテナヤード(コンテナの荷下ろしをする所)や各国内の道路輸送するときも引き続き海上コンテナを利用できることが大きな魅力です。

輸出国側でコンテナに貨物を積み込んだら、そのまま輸入国側の荷主までコンテナの状態のまま輸送がでます。このコンテナ単位で配送ができることで後述するコンテナ輸送のメリットがうまれます。

長さの違いの他、コンテナの形状や温度帯による種類もある。

コンテナ輸送には、長さの他、コンテナ自体の形状、温度帯等でも違いがあります。

コンテナ自体の形状とは、上面部分がないタイプ(オープントップ)、底面部分のみのコンテナなどがあります。他、コンテナの内部温度を定温にして輸送できるタイプもございます。これをリーファーコンテナと言います。

リーファーコンテナは、日本酒等の食品系商品の輸送の他、気温の影響を受けやすい化学製品や精密機械を輸送するときに利用します。設定できる温度は、冷凍から冷蔵、様々です。最近は、東南アジア方面を中心としてリーファーコンテナの混載サービスもあります。

このようにコンテナには、長さの違いの他、形状の違い、温度管理機能など、様々なタイプがあります。荷主は、輸送品目、航路、輸送期間等を総合的に考えて、適切なコンテナを選びます。

詳細は、コンテナの種類と形状を解説をご覧ください。

バルク輸送、在来船との違い。

コンテナ船の対義語、同じような言葉には、バルク船や在来船などがあります。

  • バルク船: 液体、粉末、穀物、鉱石など、大量の単一の貨物を一度に輸送する船
  • 在来船: コンテナを含み、トラック、自動車などの様々な形態の貨物輸送できる船

コンテナ船の対義語は、バルク船です。コンテナは、容器に入る貨物を輸送する考え方である一方、バルク船は、容器などを問わず、いわば船全体を容器としてとらえるイメージです。

フェリー船との違い。

コンテナ船と非常に似ている物がフェリー船です。フェリー船もコンテナを使い輸送します。したがって、その点を考えれば広義のコンテナ船だとも考えがられます。

但し、コンテナ船とフェリー船には、大きな違いがあります。フェリー船は、主に日本と中国、韓国、台湾等の特定の国の間でしか運航していないです。代表的なフェリーは、上海と大阪を結ぶフェリー、下関と韓国を結ぶフェリーなどです。

フェリー船は、決められた区間を短時間、短期間で往復して運行しています。船のカットタイムもギリギリまでok!搬入も極めて早い為、コンテナ船と航空輸送の中間的な輸送と言われています。当然、料金的な部分も航空輸送よりも安く、コンテナ船よりも少し高い位置づけです。

但し、圧倒的な速さ、リードタイムで運べる点が非常に大きな魅力です。

海上コンテナ輸送のデメリット

海上コンテナ輸送のデメリットは、次の通りです。

  • 長時間の輸送による品質の劣化
  • 遅延(天候や船舶スケジュール)
  • 不透明なサーチャージ
  • コンテナ自体のダメージによる事故
  • 船舶事故(船舶故障)
  • 倒産
  • 共同海損リスク

長時間の輸送による品質の劣化

航空輸送と比べて輸送日数がかかるため、商品によっては品質に影響を与えられます。特に欧州向け、中東向け、南米向けなど、輸送に長期間の日数を要する場合は注意が必要です。

遅延(天候や船舶スケジュール)

濃霧の影響で出航できない。船舶の故障で出航できないなどの理由から、輸送スケジュールが狂うことがあります。航空輸送のように、正確な到着予定日を知ることは難しいです。

不透明なサーチャージ

コンテナの輸送代金は、純粋な海上運賃だけでないです。海上運賃の他、各種のサーチャージを加えて払わなければならないです。サーチャージは、アルファベットの3文字で表されます。

例えば、BAF、YASなどです。一目では、一体、何の費用かを理解することは難しいですね!とにかくあらゆる費用をサーチャージとしてどんどんと盛り込まれる。そして、よくわからない費用に対して、言われるがまま払う仕組みです。これが航空輸送と比較して不透明だと言われる理由です。

海上コンテナ輸送の必須用語集

コンテナ自体のダメージによる事故

コンテナは、常に潮風にあたっているため、ボロボロになりやすいです。時々、これが行き過ぎてコンテナに穴が開いたまま貨物を詰めてしまうことがあります。当然、穴から水が浸入して、貨物として使い物にならなくなることがあります。

船舶事故(船舶故障)

時々、船舶自体が沈没、座礁、ぶつかることがあります。また、最近では、海賊により船舶を乗っ取られることもあります。長期間の航海になる場合は、船舶事故に遭う可能性が高くなります。

倒産

運行する船会社自体が倒産することもあります。船会社が倒産をすると、資金的な理由から、どこの港も入港を拒否して、貨物をおろせなくなります。この場合に、フォワーダーの真価が問われます。力のないフォワーダーは、どうすることもできず、何か月も貨物が留置されることもあります。やはり、輸送期間が長くなるほど、事故や倒産リスクが高くなります。

共同海損リスク

共同海損とは、船が沈没する瀬戸際に、あえていくつかの貨物を海に捨ててしまい、全ての貨物が無くなることを防ぐ仕組みです。このとき、貨物を捨てられた荷主の損害は、それによって、助かった荷主が全員で負担する仕組みがあります。これを共同海損と言います。

海上コンテナ輸送のメリット

逆にコンテナ輸送のメリットは、次の通りです。

  • 大量輸送かつ安く輸送できる。(輸送単位当たりの単価の引き下げ効果)
  • 貨物の積み込み、荷下ろし、搬入が早い。
  • コンテナ単位で輸送するため、盗難リスクが小さい。
  • 料金は、1コンテナ単位。どれだけ積めても一定の金額になる。
  • スケジュールを予測しやすい。

大量輸送かつ安く輸送できる。

コンテナ輸送の料金は、1コンテナ単位です。どれだけ積めても一定の金額の為、積めるほど、貨物に占める送料の割合が小さくなっていきます。大量かつ安く運べます。

貨物の積み込み、荷下ろし、搬入が早い。

コンテナ輸送は、コンテナに貨物を入れて動かします。形状が同じ物を動かすことになる為、その分、作業時間が短縮されます。コンテナ輸送の場合、本船への積み込み、本船からの荷下ろし、搬入時間等が短くなり、結果、輸入許可&引き取りまでの時間を短縮できます。

コンテナ単位で輸送するため、盗難リスクが小さい。

コンテナ輸送は、貨物を鉄製のコンテナの中に入れて運ぶ為、盗難リスクが小さいです。

スケジュールを予測しやすい。

コンテナ単位未満の少量の貨物を輸送する場合は、LCLを使います。LCLは、一つのコンテナのスペースを複数の荷主と合積みする方法です。

  • コンテナ輸送=一人の荷主で一つのコンテナを独占
  • LCL=複数の荷主で一つのコンテナを利用する

LCLの場合、港にてデバンニング(貨物の取り出し作業)が行われる為、コンテナ輸送よりも貨物が届くまでに時間がかかります。その点、コンテナ輸送は、港でのデバン作業が無いため、予備申告とD/O処理、B/L処理、ドレー手配を済ませておけば、当日引き取りも可能です。

以上がコンテナ輸送のメリットとデメリットです。

コンテナ輸送のリスクと管理

最後にコンテナ輸送におけるリスクをご紹介します。

  • 輸送スペースを確保できないリスク
  • コンテナ自体が不足するリスク

2019年から約3年半、国際物流は悲惨でした。船会社等が一方的に儲かり、荷主サイドが損をする状況でした。船会社は、次々と価格改定を繰り返し、輸送スペースの出し渋りを行いました。同時に各国における流行病対策により、ヤード等も閉鎖されて様々な物流も停滞。結果、物を運ぶコンテナ自体も不足するようになり、輸送費が恐ろしいほど上昇しました。

平常時、コンテナ輸送はうまく行きます。しかし、何かのきっかけで滞り始めると、その影響が連鎖的に広がるリスクがあります。コンテナ輸送は、便利な仕組みである反面、歯車が狂い始めると、次々と問題が表面化してくれる可能性があります。

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