APL England(2020年)40本のコンテナが海に消えた!悪天候の影響

2020年5月24日、オーストラリア沖を航行していたコンテナ船、APL England(エー・ピー・エル・イングランド)が、悪天候により大きく傾き、約40本のコンテナを海に流出させる事故が発生。この事故は、気象リスクと貨物固定の重要性を浮き彫りにしました。

本記事では、APL Englandの事故の概要、原因、影響、国際輸送における対策について詳しく解説します。

APL England事故の概要

APL Englandは、全長277m、積載能力5,780TEUの大型コンテナ船で、シンガポール籍のAPL(American President Lines)社が運航していました。

事故は2020年5月24日、オーストラリア・シドニー沖の約73km地点で発生。当時、APL Englandは中国からオーストラリアへ向かう途中で、強風と高波に遭遇し、船が大きく傾斜しました。

傾斜により、約40本のコンテナが海へ流出し約70本のコンテナが船上で損傷しました!

APL England事故の原因

事故の主な原因は、悪天候と貨物固定の不備です。

1. 悪天候による大きな揺れ

事故当時、オーストラリア沖は強風と高波に見舞われていました。特に、横方向からの強い風と波が船を激しく揺らし、コンテナのバランスを崩したと言われています。

2. 貨物固定(ラッシング)の不十分さ

コンテナは通常、ラッシングと呼ばれる金属製のバーやロックで固定されます。しかし、事故調査では、一部の固定具が劣化していたことやコンテナの積載方法に問題があった可能性が指摘されました。

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3. 船のバランス管理の不備

船舶のバランス(復原性)は、適切なバラスト水の調整によって維持されます。しかし、APL Englandでは波の影響を受けやすい状態になっていたことが事故後の調査で明らかになりました。

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事故がもたらした影響

APL Englandの事故は、環境、物流業界、規制強化の面で影響を与えました。

1. 環境への影響

流出したコンテナの中には医療用品、電子機器、食品などが含まれており、一部はオーストラリアのニューサウスウェールズ州の海岸に漂着しました。特にプラスチック製品の流出は、海洋汚染の一因となり、環境問題としても注目されました。

2. 貨物の損失と保険対応

流出したコンテナの多くは回収不能となり、多くの荷主が損失を被りました。海上貨物保険の適用範囲や補償問題についても議論が発生し、一部の保険会社では事故後の保険料を引き上げる動きがありました。

3. 船舶管理基準の見直し

この事故を受けて、オーストラリア海事安全局(AMSA)は貨物固定の基準を厳格化し、同様の事故を防ぐための対策を求めました。APL Englandの運航会社も、船の貨物固定管理を強化することを発表しました。

オーストラリア海事安全局(AMSA)が船長を起訴しました。

この事故から学ぶべきポイント

APL Englandの事故は、コンテナ輸送における気象リスクと貨物固定の重要性を改めて示しました。

1. 気象リスクを考慮した航路選択

船舶運航者は、悪天候の予測をもとにリスクの高い航路を避ける戦略を持つことが重要です。特に、強風や高波が予想される場合は、出航の延期や航路の変更を検討するべきです。

2. 貨物固定(ラッシング)の徹底

コンテナの固定具やラッシング機材が適切に機能しているかを、定期的に点検・交換することが必要です。また、積載時にバランスを考慮し、重い貨物を下部に配置するなどの対策も重要です。

3. バランス管理と船体設計の見直し

船舶のバランスを適切に保つため、バラスト水の管理を徹底し、復原性を維持することが求められます。

まとめ

  • APL Englandの事故:悪天候による船の傾斜と貨物固定の不備
  • 主な原因:高波による影響、不十分なラッシング、バランス管理の不足
  • 影響:環境汚染、貨物の損失、貨物固定基準の強化
  • リスク対策:航路選択、貨物固定の徹底、バランス管理の強化。

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