国際輸送では、貨物をどのルートで運ぶかによって大きくリードタイムが変わります。特に「積み替え船」と「ダイレクト船」の選択は、輸送期間やコスト、リスクに影響を与えるため、事前に違いを理解しておくと良いです。
この記事では、積み替え船とダイレクト船の違い、それぞれのメリット・デメリット、そしてリードタイムを短縮するためのポイントをわかりやすく解説します。
積み替え船とダイレクト船のリードタイム
積み替え船とは?
積み替え船(トランシップメント)は、一度別の港でコンテナを積み替えてから目的地に向かうことです。例えば、中国の地方港から日本へ貨物を送る場合、いったん上海や釜山などの主要港に移し、そこから最終目的地へと運ぶなどです。
この方式のメリットは、地方の港でも世界各地へ貨物を送れることです。地方港からの直行便がない場合でも、積み替え船を利用すれば幅広く輸送ができます。また、コストが比較的安いことも多く、予算を抑えたい場合に有効です。
一方で、デメリットは、リードタイムが長くなりやすいことです。積み替え先の港でコンテナが待機する時間が発生し、さらに天候や港の混雑状況によって遅延が生じる可能性があります。また、積み替え作業中に貨物が損傷したり、誤って別の船に載せられたりするリスクもあるため、注意が必要です。
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ダイレクト船とは?
ダイレクト船は、出港地から目的地まで直接コンテナを輸送する方法です。途中で積み替えをしないため、スムーズに輸送できます。
例えば、東京からロサンゼルスへ直行便で輸送する場合、途中で別の港に寄ることなく、そのまま目的地へ到着します。
この方式の最大のメリットは、リードタイムが短縮できることです。積み替えの手間がなく、スケジュール通りに進む可能性が高いため、納期を重視する貨物に適しています。また、積み替えによる貨物の損傷リスクが低いため、高価な商品や精密機器などの輸送にも向いています。
デメリットは、コスト面です。直行便は限られたルートでしか利用できず、需要が高いため、運賃が割高になることがあります。また、地方港ではダイレクト船の選択肢が少なく、希望するスケジュールで船を手配できないこともあります。
積み替え船とダイレクト船の料金差
積み替え船とダイレクト船では、一般的に積み替え船の方が料金が安くなります。これは、複数の船会社が連携して輸送を行うため、より競争が生じるためです。特に、アジア圏内の輸送では積み替えを活用することでコストを抑えられます。
一方、ダイレクト船は、途中での積み替えがなく、スムーズな輸送が可能な分、料金は高めに設定されることが一般的です。特に、需要の高い路線やピークシーズンでは、運賃がさらに上昇する傾向があります。
しかし、納期を重視する貨物の場合、多少、コストがかかってもダイレクト船を選択することで、遅延リスクを減らすことができます。
また、積み替えが発生する場合、港での保管料や通関手数料が追加で発生することがあります。これらのコストが積み重なると、結果的にダイレクト船と大きな料金差が生じないケースもあるため、総コストを比較することが重要です。

料金をとるのか?輸送速度をとるのか?の違いともいえます。
リードタイムを短縮するためのポイント
リードタイムを短縮するためには、まず輸送ルートを適切に選ぶことが重要です。もしダイレクト船が利用可能であれば、コストはかかっても納期の確実性を優先するのが良いでしょう。
一方で、積み替え船しかない場合は、積み替え港の混雑状況やスケジュールを事前に確認し、遅延を防ぐための計画を立てることが必要です。
ブッキングを早めにする
また、コンテナのブッキング(予約)を早めに行うことも大切です。特に繁忙期にはスペースが埋まりやすく、希望通りのスケジュールで船を確保するためには、少なくとも1カ月前には予約を入れておくのが理想的です。
貨物の梱包もリードタイムに影響を与えます。コンテナの積み替えが発生する場合、貨物が乱雑に詰め込まれていると損傷しやすく、追加の検査や再梱包の必要が生じることがあります。適切な梱包を施し、輸送中のトラブルを未然に防ぎましょう。
さらに、輸送会社やフォワーダーと密に連携を取ることも有効です。輸送スケジュールの最新情報をこまめに確認し、変更があった場合に迅速に対応できるようにしておくことで、遅延リスクを最小限に抑えられます。
まとめ
積み替え船とダイレクト船にはそれぞれメリット・デメリットがあります。コストを抑えつつ幅広いルートで輸送できる積み替え船と、納期を重視してスムーズに輸送できるダイレクト船を、貨物の種類や状況に応じて使い分けることが大切です。
また、リードタイムを短縮するためには、早めのブッキング、適切な梱包、輸送会社との連携を意識し、スムーズな輸送計画を立てることが重要です。目的に合った輸送方法を選び、安全で効率的な国際輸送を実現しましょう。
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