海上コンテナ輸送で遅延トラブルに見舞われる時があります。濃霧、天候など理由は様々です。いわゆる不可抗力の原因が多いです。
しかし、中には、船会社の都合により、遅延することがあります。それが積み残し(ロールオーバー/ロールシップ(rollover))です。
この記事では、コンテナ輸送のロールオーバー(積み残し)の意味と原因、対策を解説します。
コンテナの積み残しトラブル・ロールオーバーとは?
トラブルの事例
●月●日に積み替えられる予定の船が積み替えられなかったので遅延した。
予約をしたのに何事だ!と思うかもしれませんが、実は、国際輸送の現場ではよくあります。積み残しというより、わざと荷物を落とすことも多いです。
例えば、アメリカンチェリーがあります。 あのチェリーはアメリカからきます。シーズンになると、貨物が一杯になり、スペースを確保しずらくなります。このとき、輸送会社は、いくつかの荷主の貨物を落とす(後回し)ことがあります。荷主の選別です。
フォワーダー(キャリア)は、自社にとってお得意様であるほど、貨物を優先的に運びます。そうでない場合は、後回しです。経済合理性の力が働きます。コンテナのロールオーバーも似ています。
- 交渉力があるフォワーダーの貨物
- 経済的に優先するべき荷主の貨物
ほど、ロールオーバー時の扱われ方が優先的になります。輸送実績が高く、フォワーダー(船会社との関係が強い)との協力関係が強いほど、予定通りに船積みされます。
ロールオーバーの主な原因
ロールオーバーの主な原因は、次の通りです。
- オーバーブッキング(予約の取り過ぎ)
- 船舶の機械的な損害
- 入港予定の船が入らない(スキップ)
- コンテナの重量オーバー(重量超過)
- 通関遅延(書類の不備)
- カットタイムを過ぎた。
特にマイナーな航路や目的地ほど、積み替え港でロールオーバーが発生する可能性が高いです。
ロールオーバーになるとどうなる?
保管料、ターミナル取扱料、滞船料、拘留料など発生します。もし、ロールーバーの原因が荷主の問題(書類不備、重量超過)に該当する場合は、追加で請求されます。(ロールオーバー費用)
ロールオーバーの対策
仮にロールオーバーした旨の連絡を受けたら、その原因を確認しましょう。
例えば、オーバーブッキングなどの理由であれば、次の船に乗せるなどして、納期の再調整をお願いします。仮に船舶の故障などであれば、どの程度で回復する見込みなのかも確認します。状況によっては、大幅に遅延する可能性もあります。
大切なことは、あなたの商品を待つお客様に状況を伝えて、可能な限り対応することです。また、普段からロールオーバーが発生することを想定して納期に余裕を持たせたり、緊急のバックアッププランを用意したりしておくことが重要です。
ロールオーバーを防ぐポイント
以下は、ロールオーバーを防ぐ為のいくつかのポイントです。
- 積み込み補償を付ける。(必ず貨物を載せる補償)
- 船会社と力のあるフォワーダーに依頼する。
- 大量のコンテナがある場合は、B/Lを分割する。
- SOCコンテナ(荷主所有のコンテナ)を利用する。
- できるだけダイレクト船を利用する。
- 迅速な予約&発送を心がける。
- 必要な書類を過不足なく整える。
- 納期に余裕を持たせる。
- ピークシーズン(クリスマス)や旧正月などを避ける。
まとめ
- 予約しているのにコンテナから落とされることがある。(ロールオーバー)
- ロールオーバーを完全に防ぐことは難しい。
- ロールオーバーは、船会社との交渉力があるフォワーダーの力が影響する