2021年3月23日、Ever Givenのスエズ運河座礁事故が発生しました。巨大コンテナ船Ever Given(船主:正栄汽船)がスエズ運河の狭い航路で座礁し、6日間(3月23日から3月29日まで)にわたって運河を完全封鎖。全世界に甚大な被害をもたらしました。
この記事では、Ever Given事故の概要、原因、影響、この事故から学ぶべきポイントについて詳しく解説します。貿易や国際輸送に携わる方々が、今後同じようなリスクを回避するためのヒントを提供します。
二年連続:Ever Forward(2022年)なぜ座礁?航行ミスが招いた大事故
Ever Given事故の概要
Ever Given(エバー・ギブン)は、パナマ船籍の全長約400m、幅59mの超大型コンテナ船です。台湾の海運企業エバーグリーン(Evergreen Marine Corp.)が運航しています。主にアジアとヨーロッパを結ぶ主要航路を運航
2021年3月23日、スエズ運河を南下中に強風と操船ミスが重なり、船体が横倒しの状態で座礁。これにより、運河全体が封鎖され、100隻以上の船舶が通行できない事態となりました。事故の影響はすぐに世界中に広がり、貿易業者や輸送会社に甚大な影響を与えることになりました。
Ever Given事故の原因
事故の原因は、主に3つの要因が指摘されています。
1. 強風による影響
事故当日は、時速50km以上の強風が発生しており、巨大な船体が横風を受けた結果、制御が困難になったとされています。スエズ運河は非常に狭く、風の影響を受けやすいです。
2. 操船ミス
スエズ運河を通過する際には通常、当局の操船指示のもと慎重に進む必要があります。しかし、強風の中で不適切な操船が行われた可能性が指摘されています。特に、大型船は舵の反応が遅いため、急な操縦は難しいです。
3. 航行ルートの混雑
スエズ運河は世界の貿易の約12%が通過する要衝です。多くの船舶が行き交う中で、過密状態が事故発生時の対応を難しくした可能性があります。

船の通行量が圧倒的に多い点も事故対応を難しくした要因だと言えるでしょう。
事故がもたらした影響
この事故によって世界中の物流に大きな混乱が起きました。
1. 世界貿易の遅延と経済損失
スエズ運河が封鎖されたことで、1日あたり約100億ドル(約1兆円)以上の貿易損失が発生したと言われています。通行できなかった船舶には、石油タンカーやコンテナ船などがあります。
2. 運賃と輸送費の高騰
スエズ運河の封鎖により、輸送ルートを変更せざるを得なくなった船舶も多く、輸送コストが急騰しました。特に、燃料費や海上保険料の増加が、輸送コストの上昇につながりました。
3. 物流業界の混乱
スエズ運河の封鎖が解除された後も、積み残された貨物の処理や混雑の影響で、物流全体の回復には時間がかかりました。これにより、多くの輸出入業者に納期の遅延が発生しました。
この事故から学ぶべきポイント
スエズ運河の事故から学ぶべき点は次の通りです。
1. 狭水路航行時のリスク管理
スエズ運河のような狭い水域を航行する際には、気象条件の確認と適切なタグボートの活用が重要です。
2. 代替ルートの確保
スエズ運河の封鎖により、アフリカ周りの航路(喜望峰ルート)や鉄道輸送の選択肢が検討されました。貿易業者は、主要航路が使用できなくなった場合の代替ルートを事前に考慮しておくべきです。
3. 海上貨物保険の適用範囲を確認
事故による貨物の遅延や損害に備え、貨物保険の適用範囲を事前に確認することが重要です。特に「遅延補償」や「迂回費用補償」などの特約を検討しましょう!

今一度、補償される保険内容を確認しましょう!保険は、その対象が細かく決まっています。不明な部分があれば、必ず確認することをお勧めします。
まとめ
- Ever Givenの事故は、スエズ運河を1週間にわたり封鎖した。
- 主な原因は、強風、操船ミス、航行ルートの混雑など
- 影響として、貿易の遅延、運賃高騰、物流の混乱が発生。
- リスク対策は、代替ルートの確保、貨物保険の見直し。
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