2015年1月3日、イギリス南部のソレント海峡で自動車運搬船Hoegh Osaka(ヘーグ・オオサカ)が座礁する事故が発生しました。この事故は、積載ミスによるバランスの崩れが原因とされている珍しい事故です。
本記事では、Hoegh Osakaの事故概要、原因、影響、同様の事故を防ぐためのポイントについて詳しく解説します。
Hoegh Osaka事故の概要
Hoegh Osakaは、全長180m、幅32mの自動車運搬船(RO-RO船)で、シンガポール籍の海運会社Hoegh Autolinersによって運航されていました。
事故は2015年1月3日の夜、イギリスのサウサンプトン港を出航して間もなく発生。わずか45分後、船は急激に40度以上傾斜し、航行が不可能な状態に。船長はすぐに近くの砂洲に意図的に座礁させ、沈没を防ぎました。
この事故により、船に積載されていた1,400台以上の自動車や建設機械が被害を受けました。
Hoegh Osaka事故の原因
事故の最大の原因は、積載バランスの不備です。
1. 適切なバラスト調整の欠如
貨物船では、積載貨物のバランスを保つために「バラスト水」を使用します。しかし、Hoegh Osakaは出航前に適切なバラスト調整が行われていなかったことが判明結果、船の安定性が低下し、わずかな動きでも大きく傾いてしまったようです。
2. 重量配分の誤り
船には400台以上の車両が積載されていましたが、重い建設機械が上部デッキに配置されるなど、重量バランスが適切に管理されていなかったことも判明。=船の重心が高くなり、転覆のリスクが大幅に上昇

チーフオフィサーが貨物ユニットの垂直重心を考慮しなかったゆえの事故であることは明らかだと言えます。
3. 事前の安全チェックの不足
通常、出航前には船の積載状態やバラスト調整を慎重に確認する必要があります。しかし、この事故では安全チェックが不十分であり、適切な重量分布が考慮されていなかったようです。
事故の影響
Hoegh Osakaの事故による影響は、次の通りです。
1. 貨物の損害と納期遅延
事故によって、多くの新車や建設機械が損傷し、輸送先への納期が大幅に遅れました。一部の車両は完全に廃棄せざるを得ない状況となりました。
2. 物流コストの増大
海運業界ではRO-RO船の積載バランスに関する規制が強化されました。また、保険会社も貨物の積載計画に関する審査を厳しくし、海上輸送のコスト上昇につながりました。
3. 運航会社の信用低下
事故の調査結果が発表されると、Hoegh Autolinersは積載管理の不備を指摘され、業界内での信頼が低下。その後、同社は安全対策を強化し、再発防止策を導入することとなりました。

公式の調査報告書によると、環境汚染は発生しなかったと言われています。
この事故から学ぶべきポイント
Hoegh Osakaの事故は、貨物輸送において積載バランスがいかに重要かを改めて示しました。同様の事故を防ぐために、以下のポイントを押さえておきましょう。
1. 出航前の積載計画を慎重に確認する
貨物の重量分配を適切に管理し、船がバランスを崩さないようにすることが重要です。特に、重い貨物は下部に配置し、重心を低く保つことが基本です。
2. バラスト水の管理を適切に行う
バラスト水の調整を怠ると、船の安定性が大きく損なわれます。出航前にバラストの調整を確認し、適切なバランスを確保することが必須です。
3. 安全チェックを徹底する
出航前には、積載計画やバラスト調整が適切に行われているかを厳密にチェックする体制を整えましょう。特に、積載バランスに関するルールを再確認することが重要です。
荷主によるコンテナの重量バランスも重要
本件は、船全体の重量バランスをさしています。ですが、この重量バランスは、荷主毎のコンテナのバンニング時にも意識するべきことです。
重い物は、できる限り下に積載すること。重量は、コンテナ内に満遍なくかかるように適切に貨物を配分することが重要です。
例えば、コンテナの左側、右側だけ~先方部分だけ~後半部分だけ等、貨物の偏りを無くすことも非常に重要です。
まとめ
- Hoegh Osakaの事故:積載ミスによるバランス崩壊が原因
- 主な原因:バラスト調整の不備、重量配分の誤り、安全チェック不足。
- 影響:貨物損害、物流コストの増加、運航会社の信用低下が発生。
- リスク対策:積載計画の確認、バラスト管理、安全チェックの徹底。
トラブルから探す
国際輸送の見積依頼先
お役立ち資料