国際輸送では、特定の時期に貨物の動きが活発になり、輸送費の高騰や物流の遅延、通関の混雑といった問題が発生します。こうした繁忙期には、適切な計画と対応策が求められます。本記事では、需要が高まる具体的なイベントや輸送方向を示し、発生しやすいトラブルやその解決策について詳しく解説します。
国際輸送のピークシーズン
需要が高まる時期と主なイベント
1.中国の春節(旧正月)
中国の春節は、アジア全体の貿易に影響を与えます。春節前には輸出が急増し、春節後には工場の再稼働に時間がかかるため、物流全体に混乱が生じます。
- 輸送方向の影響:中国→アメリカ、中国→ヨーロッパ、中国→日本
- 発生しやすいトラブル:コンテナ不足、港湾の混雑、輸送費の上昇
2.ブラックフライデー&サイバーマンデー(11月)
アメリカを中心にEコマースや小売業の輸送需要が急増する時期です。
- 輸送方向の影響:アジア→アメリカ、ヨーロッパ→アメリカ
- 発生しやすいトラブル:スペース不足、貨物の積み残し、通関遅延
3.クリスマス&年末商戦(12月)
世界中の小売業が年末商戦に向けて大量の商品を発注するため混雑しやすいです。
- 輸送方向の影響:アジア→アメリカ、アジア→ヨーロッパ
- 発生しやすいトラブル:航空運賃の高騰、港湾の積み下ろし遅延など
4.中国のECセール(618セール、ダブルイレブン)
中国国内のECイベントですが、世界中のバイヤーが商品を購入するため、物流が混雑します。
- 輸送方向の影響:中国→アメリカ、中国→ヨーロッパ、中国→東南アジア
- 発生しやすいトラブル:倉庫の混雑、航空便の遅延、輸送費の上昇
6.農産物の収穫期(季節ごと)
食品輸送が特定の時期に集中し、冷蔵・冷凍コンテナの需要が急増します。
- 輸送方向の影響:南米→アメリカ、ヨーロッパ→アメリカ、東南アジア→日本
- 発生しやすいトラブル:リーファーコンテナ不足、港湾の保管キャパシティ超過
繁忙期に発生しやすいトラブルとその解決策
事例1:春節前のコンテナ不足による輸送遅延
中国の工場が春節前に一斉に出荷を行うため、コンテナやスペースが不足し、貨物の積み込みが遅延しました。結果として納期が遅れ、契約違反となる事態が発生。
解決策:春節前の出荷を分散します。かつ、代替輸送手段として航空便を検討する。
事例2:ブラックフライデー前の倉庫混雑による荷役遅延
アメリカ向けの貨物が一斉に到着し、港湾倉庫のキャパシティを超えてしまったため、貨物の引き取りが遅れ、販売機会を逃してしまった。
解決策:事前に倉庫を確保し貨物の輸送を分散させる。場合によっては代替港なども検討しましょう!
事例3:クリスマス商戦前の航空貨物の運賃高騰
クリスマスシーズン直前に緊急で追加発注を行ったが、航空便の運賃が通常の2倍以上になり、利益を圧迫した。
解決策:ピークシーズン前に適切な在庫を確保し、追加発注を防ぎます。また、複数の航空会社を比較し、最適な輸送手段を選択します。
繁忙期のトラブルを防ぐための対策
1.事前にスペースを確保する
ピーク時の輸送スケジュールは、スペースが埋まりやすいため、事前に船会社や航空会社と契約を交わし、スペースを確保しておきます。
2. 複数の輸送ルートを検討しよう。
主要な港湾や空港は、混雑リスクが高いため代替ルートを確保し、リスクを分散します。
3. 貨物を分散して出荷する。
貨物を分散して出荷し、リードタイムを長めにすることで、輸送リスクを小さくします。
まとめ
- 国際輸送の繁忙期には、春節、ブラックフライデー、クリスマス商戦などがあり、物流の混雑が発生しやすい。
- 主なトラブルには、コンテナ不足、倉庫混雑、航空運賃の高騰などがあり、輸送遅延やコスト増加につながる。
- トラブルの防止策として、事前予約の確保、代替ルートの確保、配送計画の最適化、貨物の分散出荷が有効。
- トラブル発生時の対応では、貨物の状況確認、代替輸送手段の検討、保険活用、今後の計画見直しが重要。