輸入品の価格設定は為替の変動と販売戦略を考慮するといいよ!

海外から輸入した商品をいくらで販売すれば良いのか悩みます。アパレルメーカーは、インボイス価格の10倍を小売価格にしていると言います。巷の輸入ビジネス系は、最低限30%の利益をのせるべきと案内する方もいます。

様々な意見がある中で、輸入品の価格設定、売価計算は、どのようにするかを考察していきます。国際輸送119では、輸入品の価格設定を考える際、為替変動と販売戦略が重要だと考えています。

輸入品の価格設定

輸入品の価格設定は、利益額を左右し、ビジネスの継続性に関わります。基本的に資金力がない個人は….

  • 少品種
  • 利益幅を大きくとる

これが原則です。この逆の多品種、薄利は、資金力がある大手向けです。ここでは、小規模ビジネスの価格設定を考えていきたいと思います。

原則、価格設定は積み上げ式

価格設定は、次の2つの方式があります。

  1. 原価部分の積み上げにより算出する
  2. 販売価格から差し引き算出する(逆算)

求めやすいのは、1番の原価部分の積み上げです。

例えば…..

  • 商品価格
  • 商品の国際送料
  • 商品の税金
  • 商品の通関費
  • 商品の国内輸送

これを一つ一つ積み上げていき販売価格を求めます。このとき、積み上げるべき費用は、輸入原価に含むべき費用項目で説明しています。

輸入品の価格設定に必要なコスト要素

輸入品の価格を設定するために商品の原価を正確に把握します。通常、原価には、以下のコストが含まれます。

1.商品の仕入れ価格(FOBまたはEXW価格)

仕入れ価格は、輸出国のメーカー等から購入する基本的なコストです。

  • FOB(Free on Board)価格は、輸出港までの費用が含まれる
  • EXW(Ex Works)価格は、サプライヤーの工場からの輸送費が別途発生

2.国際輸送費

海上輸送費または航空輸送費がかかります。輸送手段によってコストは大きく異なるため、商品の種類や納期を考えて最適な方法を選びます。

3.関税および消費税

輸入品には関税が課せられることがあり、その税率は商品ごとに異なります。また、併せて関税が課せられた後の金額に対して消費税がかかります。

日本に商品を輸入するときにかかる税金(関税、輸入消費税)を解説

4.国内輸送費(港から倉庫まで)

日本に到着した後、商品の配送にもコストがかかります。港から倉庫や販売拠点までの国内輸送費を計算し、価格設定に反映させる必要があります。

いわゆる、ラストワンマイルの費用です。

5.通関手数料および各種手続き費用

通常、輸入通関は、専門の業者(通関業者)を通して行います。当然、通関手数料や取扱手数料などがかかります。

6.保険料

輸送中のリスクをカバーするための貨物保険(外航貨物保険)の費用がかかります。この費用の負担(ご自身が支払うのか?)は、インコタームズでも変わります。詳細は、以下の記事をお読みください。

初心者向けインコタームズガイド 国際貿易の基本知識を解説!

7.その他のコスト(検疫・ラベリング・倉庫管理費など)

輸入品によっては、検疫検査やラベルの貼付が必要になることがあります。これらの費用も事前に確認しておくと良いでしょう。

売価の決め方:適切な利益率を確保する

原価が分かったら、次に販売価格を決定します。適切な利益を確保しながら、競争力のある価格を設定することが求められます。

1. コストベースでの価格設定

基本的な計算式は以下の通りです。

販売価格=(仕入れ価格+輸送費+関税+その他のコスト)×利益率

例えば、仕入れ価格が1,000円、輸送費が500円、関税・消費税が300円、その他のコストが200円だった場合、コスト合計は2,000円です。

利益率を30%に設定する場合….

2000円×1.3=2600円

このようにして売価を決定します。

2. 市場競争を考慮した価格設定

同じ商品を他社が販売している場合、その価格を調査することも重要です。市場価格を考えながら、適正な価格を設定しましょう。

3. 価格戦略を活用する

  • プレミアム価格戦略:競合よりも高い価格を設定し、商品の品質やブランド価値をアピールする。
  • 低価格戦略:他社よりも安く販売し、市場シェアを獲得する。
  • 心理的価格設定:例えば、1,980円や2,980円のように、端数価格を活用して消費者の購買意欲を高める。

輸入品の価格設定時に気をつけるポイント

1.販売戦略

販売戦略とは、日本国内の誰に対して販売するのか?です。この誰とは、次の2つの顧客を指します。

  1. 再販業者(業者間取引=B TO B)
  2. 個人(個人への取引=B TO C)

再販業者とは、 B TO B、業販を想定する商売です。個人とは、B TO C、一般小売りです。

あなたは、誰に販売するのでしょうか? また、それは、どのように展開するつもりでしょうか? まずは、ここを考えます。

例えば、楽天市場やアマゾン等で販売をするなら、それは、一般個人向け、B TO Cのモデルに該当します。逆にネット販売等ではなく、一般の業務店に販売すなら、B TO Bに該当します。戦略次第では、これらの併用も可能です。

業販と小売りを併用する場合に重要なこと

業務販売と小売りを併用する場合は、必ず価格差を設けます。

例えば、同じ商品を売るようにして次の価格差を設けます。

  • 個人向け=2000円/個
  • 業者向け=500円/個

価格差を設ける理由は、個人とあなたとの間で、再販業者が入り込める余地を作るためです。この価格差を設けることで、次のような階層式の商売ができます。

  1. あなた
  2. 一次販売
  3. 二次販売
  4. 三次販売
  5. 小売

もし、あなたから小売りに対する販売価格の差が小さい場合は、当然、再販業者はなくなります。結果、ビジネスの幅を狭めることになりますね!だからこそ、最初に必ず販売戦略が必要なのです。

業販を想定?一般個人向けなの? それとも併用?この違いで価格戦略が変わります。

2.為替レートの変動に注意

輸入品は外国通貨で購入する為、必ず為替変動の影響を受けます。輸入の場合は、円高の方が有利です。円安に振れると、輸入原価を大きく押し上げます。

一説によると、為替の変動は、一年間で10%から20%ほど、上下に変動すると言われています。つまり、10%円高になる~、円安になる~があり得るのです。

為替変動は、輸入諸経費に大きな影響を与えます。商品の本体代金の他、海上輸送費、保険代金等も価格が上昇します。ここで問題になるのが輸入品の価格設定です。

例えば、「うちは採算ぎりぎりで販売しています!安売りしまっせ!大量購入大歓迎」など、薄利・大量商売を前提とする場合は、輸入原価と販売価格の差が小さく、円安によるコストアップを吸収できなくなる可能性があります。

為替は、上下に大きく動きます。あまりにもぎりぎりな価格を設定していると、為替変動の影響を吸収できず、すぐに原価割れ又は、顧客への値上げを案内しなければならない状況にいたります。よって、輸入販売価格を設定する場合は、ある程度、円安に振れても対応ができるよう、予め、為替変動を想定した価格にすることが重要です。

3.シーズンやトレンドを考慮する

商品によっては、季節やトレンドの影響を大きく受けるものがあります。適切なタイミングで価格設定を調整し、売れ行きを最適化しましょう。

例えば、アマゾン販売でのトレンド性を確認する場合は、分析ツール「キーパー」などを活用すると良いでしょう。グーグル等の検索なら、グーグルトレンド又はヤフートレンドが便利だと思います。

4.継続的なコスト管理を行う

輸入時のコストは変動するため、定期的に原価を見直し、適正な利益を確保できているか確認することが必要です。

まとめ

  • 輸入品の価格設定には、仕入れ価格だけでなく輸送費・関税・国内輸送費など多くの要素が関わる。
  • 適正な利益を確保するため、コストベースの計算に加え、市場価格の調査や価格戦略を活用することが重要。
  • 為替変動やシーズン要因を考慮し、継続的に価格を見直すことで安定した利益を確保できる。

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