無償サンプル品の金額の不記載による国際輸送トラブル

国際取引では、新規取引先への商談や市場調査のために無償サンプル品を送ることがあります。しかし、この無料サンプル品に関して、インボイスに記載する金額の扱いを間違えると、思わぬ国際輸送トラブルにつながります。

本記事では、無償サンプル品の金額記載不備によるトラブル例をご紹介していきます。

無償サンプル品の金額記載不備によるトラブル

無償サンプル品に関る金額の不記載で問題になる理由は、無料貨物に対する記載方法の認識違いです。つまり、税関に対して、無償サンプル品をどのように伝えるべきかが明確でないことによるものです。

例えば、インボイスのサンプル品の欄に「無償」とだけ記載すると、税関で適正な課税額を決められず、税関審査が長引く可能性があります。

また、受取国の関税制度によっては、無償サンプル品にも課税が行われることがあります。例えば、無償でも市販される場合と同様の関税評価が適用され、輸入者が高額な関税を支払わなければならないケースもあります。送る側と受け取る側の間で事前に費用負担について確認していないと、予期せぬトラブルの原因となります。

よくあるサンプル品の不記載事例

例1.新規取引先への試供品を贈る際、無料サンプルとだけ記載

例えば、あるメーカーが海外の新規取引先に試供品を送る際、「無料サンプル(No Commercial Value)」とだけ記載したところ、税関から貨物本来の価格を示す資料を提出するように求められたことがありました。

例2.サンプル品に対して何の根拠もない価格(デタラメ)を記載

ある企業が「1ドル」など極端に低い価格で記載した結果、税関から過少申告の疑いを持たれ、再評価のために貨物が検査対象となったケースもあります。

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無償サンプル品の金額記載で気をつけるべきポイント

無償サンプル品を送る際には、インボイスの記載方法を正しく理解しましょう。インボイスには、通常の販売価格に基づいた参考価格(Fair Market Value)を記載します。つまり、売り手と買い手との売買代金に関わらず、貨物が持つ本来の価格を記載します。

例えば、同じ製品が市場で100ドルで販売されている場合、その価格を記載し、「100ドル For Customs Purpose Only(税関手続き用)」と明記するのが一般的な方法です。

また、「Not for Resale(転売不可)」や「Sample – No Commercial Value(商業価値なしのサンプル)」と補足説明を加えるこも有効です。

国によっては、特定のサンプル品に対して免税措置を設けていることもあります。特に、アメリカやEUの一部の国では、適切な申告すれば、一定の金額まで無償サンプルを免税で輸入できます。

無償サンプル品の価格は、売り手と買い手がいくらで売買しているか?で判断されないです。そのサンプル品が正規で販売された場合の価格を記載します。正規価格が100ドルなら、サンプル品であっても100ドルで申告しましょう!

まとめ

無償サンプル品の輸送では、インボイスの金額記載に誤りがあると税関での手続きが滞り、余計なコストが発生するリスクがあります。「無料」と記載するだけでは税関が適切な判断を下せず、貨物の通関が遅延する原因となります。そのため、適正な参考価格を明記し、税関が評価できるようにすることが重要です。また、受取国の規制を事前に確認し、貨物の受取人としっかり連携することで、スムーズな輸送を実現できます。事前準備をしっかり行い、国際輸送のトラブルを未然に防ぎましょう。

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