原産地表示の表示ミスが招く輸入通関トラブル

海外製品における原産地表示は重要です。消費者に誤解を与えるような原産地表示、デザインがされている商品を輸入しようとすると、通関でストップされるだけでなく、最悪の場合、販売不可や廃棄処分 になることがあります。

原産地表示の不備は、景品表示法や関税法、食品表示法などの法律に違反することももあります。本記事では、実際に起こった原産地表示に関する通関トラブルの事例を紹介しながら、リスクを回避するためのポイントを詳しく解説していきます。

原産地表示のミスが通関トラブルにつながる?

原産地表示とは、商品がどの国で生産・製造されたのかを明確に示すことです。消費者が商品の品質や安全性を判断するうえで重要な情報であり、誤った表示や誤解を与えるようなデザインは、規制されています。

原産地表示規制は厳しい!

日本では、食品は「食品表示法」や「JAS法」、その他の商品は「景品表示法」や「関税法」によって、正確な原産国の表示が求められています。誤った原産地表示をしている輸入者に対しては、通関の留保、販売停止又は回収の命令が出されることがあります。

輸入通関で原産地の表示義務が指摘されると、保税地内でラベルの貼り変えなどの作業を強いられる可能性があります。問題があるパッケージデザインの場合は、全て袋替えなどをしなければならないこともあります。

誤解を与えるパッケージデザインも問題になる

意図的ではなくても、誤解を招くパッケージデザインを採用している場合、日本の法律に違反すると判断され、通関で止められることがあります。

たとえば、原産国が「中国」であるにもかかわらず、パッケージに「Made in Italy」や「フランスの伝統レシピ」または、イタリア産を想像させるデザインや表記などがあると、日本の法律では不適切とみなされる可能性があります。

実際に起こった原産地表示の輸入トラブル事例

「フランス産」と思わせるデザイン。実は中国産の焼き菓子

ある輸入業者がフランスの伝統的なレシピを再現した焼き菓子を中国で製造し、日本に輸入しようとしました。しかし、パッケージには「フレンチスタイル」「フランスの職人が監修」などの文言が記載され、さらにフランスの国旗がデザインされていました。

これに対し、日本の通関担当者は 原産地が中国であるにもかかわらず、フランス産と誤解を与えるパッケージになっている と判断。結果として、輸入が認められず、パッケージの修正を求められました。

この業者は、すでに数千箱の焼き菓子を輸入しており、すべてのパッケージを修正するコストを負担することが難しく、結局、全量廃棄処分 となりました。

「イタリア産オリーブオイル」と誤解を招く表記が原因で輸入不可

ある企業が、スペイン産のオリーブオイルを輸入した際、パッケージに「イタリアの伝統製法」と記載していたことが問題になりました。日本の法律では、原産国以外の国名が強調されると、消費者に誤解を与える可能性があるため違反とみなされることがあります。

このケースでは、「イタリア」と書かれていることが問題視され、輸入時にパッケージの修正が求められました。結局、業者は追加コストをかけてパッケージを修正し、改めて輸入手続きを進めることになり、大幅な納期遅れが発生しました。

「日本産」と思わせる海外製の抹茶製品が販売禁止

海外では日本の抹茶が人気ですが、ある輸入業者が海外で製造された抹茶製品を輸入しようとした際に、日本の国旗や「京都の味」といった表記があることが問題になりました。

実際には日本で生産されたものではなく、原産国は東南アジアの国でした。日本の消費者が「日本の抹茶」と誤解する可能性があるとして、通関で指摘され、輸入不可となりました。最終的に、輸入業者はすべての在庫を返品せざるを得なくなり、ビジネスの大きな損失につながりました。

原産地表示ミスによる輸入トラブルを防ぐ方法

このようなトラブルを避けるためには、以下の対策を徹底することが重要です。

まず、輸入する商品の原産地表示が正しいかを確認します。 特に、食品の場合は 食品表示法、その他の商品は 景品表示法 に基づいた正しい原産地表示が求められます。

次に、パッケージデザインに原産国とは異なる国名や国旗を使用していないかチェックすることも大切です。消費者が誤解する可能性があるデザインは、違法と判断されるリスクが高いため、輸入前に修正するのが賢明です。

また、通関前に専門家や弁護士に相談し、パッケージや表示の適法性を確認するのも有効です。事前にリスクを把握しておくことで、輸入時のトラブルを防ぎ、スムーズなビジネス運営が可能になります。

まとめ:原産地表示の確認が成功のカギ

原産地表示のミスや誤解を招くパッケージデザインは、通関時の大きなトラブルにつながります。最悪の場合、輸入が認められず、全量廃棄処分となることもあるため、事前にしっかりとした確認を行うことが不可欠です。

食品や商品を輸入する際は、日本の法律に適合した原産地表示を行い、消費者に誤解を与えないデザインを採用することが、スムーズな輸入とビジネス成功のカギとなります。

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