知らぬ間に違反!? モニタリング検査で止まる国際輸送と違反事例

海外から食品を輸入するときに注意することは 検疫トラブルです。輸送が無事に終わり、日本の港に到着しても、モニタリング検査で違反が見つかれば輸入が許可されず、廃棄や積戻しになることがあります。

モニタリング検査とは、食品に対して 定期的に抜き打ちで行われる検査です。これは、食品衛生法に基づき 農薬・動物用医薬品・添加物の残留基準などをチェックするためのものです。違反が発覚した場合、その貨物は輸入が許可されず、さらに 今後の輸入品が全量検査対象 になるリスクなどがあります。

検査結果が出るまで貨物を留め置くかは輸入者の判断に委ねられますが、違反が確認されると大きな損害につながるため、慎重な対応が求められます。

では、実際にどのような違反事例が発生しているのでしょうか? 本記事では、モニタリング検査で引っかかった実例と、その恐ろしい結末について詳しく解説します。

モニタリング検査とは?輸入業者が知るべき仕組み

モニタリング検査は、過去に違反歴のある国や品目に対して重点的に実施される抜き打ち検査です。一度違反が発覚すると、以後の輸入では より厳格な検査 が求められるため、リスクを把握しておくことが重要です。

たとえば、ある国から輸入される野菜で、過去に基準を超える農薬が検出された場合、その品目はモニタリング対象となり、ランダムにサンプリング検査が行われます。輸入者は、検査結果が出るまで貨物を留め置くかを選択できます。

万が一、モニタリング検査で違反が見つかれば、流通した商品を回収する義務が出る為、モニタリング検査の結果が出るまで貨物を留め置くことが多いです。

モニタリング検査で発覚した違反事例

過去、モニタリング検査で発覚した違反事例を3つほど、ご紹介します。

1.中国産冷凍野菜の違反:農薬の基準値超え

中国から輸入した冷凍ほうれん草が、モニタリング検査で基準値を超える農薬成分を含んでいることが判明。この農薬は、中国国内では一般的に使用されているものの、日本では 使用が認められていない成分でした。

その結果、この貨物は 輸入不許可 となり、在庫はすべて廃棄処分となりました。さらに、この輸入業者の次回の輸入では 全量検査の対象となり、毎回の輸入コストが増加。結果的に、継続的な輸入が難しくなり、市場からの撤退を余儀なくされました。

2.東南アジア産エビの違反:抗生物質の残留基準超過

ある水産業者が、東南アジアの国から輸入したエビを国内市場で販売しようとしました。しかし、モニタリング検査で 基準値を超える抗生物質の残留が確認されました。

輸入者は事前に「現地の養殖場で適切な管理がされている」と確認していましたが、実際には 現地の管理が不十分で、過剰な抗生物質が使用されていたのです。結果、輸入した 数十トンのエビが輸入不許可となり、廃棄処分となりました。さらに、取引先からの信用を失い、事業の継続が困難に至る。

3.東南アジア産ドライフルーツ:添加物違反

ドライフルーツを輸入しようとした業者も、モニタリング検査による違反で大きな損失を被りました。人気の ドライマンゴー を輸入したところ、日本では 認可されていない保存料 が使用されていたことが発覚

現地の生産者は「欧米では問題なく輸出されている」と主張。しかし、日本の食品衛生法は 世界でも厳しい基準を設けているため、この保存料の使用が許可されていませんでした。結果、貨物は輸入できず、廃棄処分 。この業者は、現地の生産者と再交渉を行いましたが、新しい成分での生産調整が難しく、結果的に事業撤退を余儀なくされました。

モニタリング検査違反を防ぐための対策

モニタリング検査の違反を回避するためには、 事前のリスク管理 が不可欠です。

まず、輸入する食品の 成分や添加物の基準を事前に調査します。特に、過去に違反歴のある食品は 重点検査対象 となるため、現地のサプライヤーと密に連携し農薬や保存料の使用状況を正確に確認します。

また、 輸入前に第三者機関での事前検査を実施することも有効です。輸送後に違反が発覚すると、全量廃棄や返品となるリスクが高いため、輸出前にサンプルを検査し、安全性を確保することでリスクを回避できます。

さらに、 サプライヤーに日本の規制を理解させることも重要です。問題があるサプライヤーは口をそろえて「うちは欧米にも輸出しているから大丈夫」と言います。ですが、欧米は欧米。日本は日本です。各国ごとに食品の輸入規制は違う為、サプライヤーの主張をそのまま聞いていると、多大なリスクにさらされる可能性があります。

まとめ:モニタリング検査違反は事業の存続を左右する

モニタリング検査は 食品を輸入する業者にとって避けては通れないです。違反が発覚すると、輸入品の廃棄だけでなく、次回以降の輸入審査が厳しくなります。当然、必要なコストも膨れあがります。

輸入前の成分チェック、事前検査の実施、現地サプライヤーとの連携を強化し、違反リスクを最小限に抑えることが、安全な輸入ビジネスを継続するための鍵となります。

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