海外から健康食品や機能性食品を輸入し、日本で販売しようと考える事業者は多くいます。しかし、その中には 薬機法や食品衛生法に違反し、輸入した商品が通関でストップされ 廃棄処分 となるケースが少なくありません。特に、商品ラベルや成分表記に 「医薬品に分類される表記がある」「医薬成分が含まれている」 ものは、日本では食品として認められず、輸入が許可されないことがあります。
こうしたトラブルを防ぐためには、日本の薬機法、食品衛生法、景品表示法のルールを理解し、輸入前に適切な対策を講じることが不可欠です。
今回は、実際に起きた違反事例を紹介しながら、医薬品扱いで輸入不可となるリスクと、その回避策について詳しく解説していきます。
薬機法と食品衛生法が輸入に与える影響
日本の薬機法(旧・薬事法)は、医薬品、医療機器、化粧品、健康食品などの取り扱いを規制する法律です。この法律により、「医薬品」として認められていない商品であっても、一定の成分が含まれていたり、効能をうたったりしていると、医薬品として扱われ 食品としての輸入が認められない ことがあります。
また、食品衛生法に基づき、特定の成分が 食品として適切でないと判断された場合も輸入が拒否されます。特に 海外では一般的なサプリメントや健康食品 が、日本では「医薬品扱い」とされることがあり、これが輸入トラブルの大きな原因となっています。
さらに、景品表示法によって、 食品であるにもかかわらず「病気が治る」「免疫力が上がる」 といった表現が使われている場合、その商品は、違法な医薬品扱いとなることがあります。これらの規制を知らずに海外の商品を輸入すると、通関時にストップされ、大量の商品が廃棄処分となる危険性があるのです。
実際に起こった輸入トラブル3つの事例
1.アメリカ産のプロテインが「筋力増強サプリ」として薬機法違反に
ある輸入業者がアメリカで人気のプロテインを仕入れ、日本で販売しようとしました。ところが、商品ラベルに 「筋力増強」「脂肪燃焼効果」「ホルモン調整作用」 といった表現が記載されていたため、薬機法違反の疑いがかけられました。
日本では、これらの効果を食品が標榜することは認められておらず、結果として 通関でストップされ、全量廃棄 となりました。この業者はラベルの確認を怠ったことで、大きな損失を被ることになりました。
2.海外製のハーブティーに医薬品成分が含まれていたケース
健康志向の高まりとともに、海外のオーガニックハーブティーを輸入する業者が増えています。しかし、ある輸入業者が リラックス効果があるとされるハーブティー を仕入れたところ、含有成分の中に 医薬品成分と認定されるハーブ が含まれていることが発覚
日本では、特定のハーブは 医薬品に分類される ため、食品として輸入できません。この業者は事前に成分リストを確認しておらず、検疫で違反が判明し全量破棄となりました。さらに、輸入履歴が残ったことで、今後の輸入に関しても 厳格な検査対象 となるリスクを抱えることになりました。
3.ビタミンサプリが「病気予防」をうたっていたため輸入不可に
海外では一般的に販売されているビタミンサプリメントも、日本では薬機法違反となることがあります。ある業者がアメリカの高濃度ビタミンサプリを輸入したところ、パッケージに 「風邪を予防する」「免疫力を高める」 という記載があったため、医薬品扱いとされ輸入が拒否されました。
日本では、食品が 病気の予防や治療効果をうたうことは違法 であるため、こうした表記のある商品は輸入できません。この業者は、輸入した数千本のサプリメントを すべて廃棄処分 することになり、大きな損害を受けました。
医薬品扱いによる輸入トラブルを防ぐ方法
このようなトラブルを回避するためには、輸入前に 薬機法や食品衛生法の基準をしっかり確認する ことが重要です。
まず、輸入を検討している商品が 医薬品扱いとならないかどうかを事前に調査 しましょう。厚生労働省の公式サイトや、輸入食品を取り扱う検査機関を活用すると、最新の規制情報を把握できます。
次に、成分リストを精査し、日本で禁止されている成分が含まれていないかを確認します。海外のサプライヤーと連携し、日本向けの成分調整が可能かどうかを交渉するのも一つの手です。
また、パッケージや広告の表記をチェック することも重要です。「健康効果」や「病気予防」を示唆する表現があると、食品ではなく 医薬品扱い となるリスクがあります。ラベルの修正や、日本向けの別デザインを用意することで、輸入の安全性を高られます。
まとめ:輸入時の確認がビジネス成功の鍵
海外では普通に販売されている食品やサプリメントでも、日本では 薬機法や食品衛生法違反 となり、輸入が認められないケースがあります。輸入業者は、事前に成分リストを精査し、医薬品扱いとなるリスクを回避するための対策を講じることが求められます。
特に、パッケージの表記や広告の表現には注意が必要で、日本の基準に適合していない場合は、輸入が許可されないだけでなく、廃棄処分や事業リスクの増大につながります。輸入前の準備をしっかりと行い、安全なビジネス展開を目指しましょう。