海上コンテナ輸送では、ラップ（ストレッチフィルム）が荷物に張りつくトラブルがあります。輸送中の環境や梱包方法によって発生し、国内配送の際に大きなダメージを引き起こすことがあります。
この記事では、ラップ問題の原因、具体的な事例、対策、トラブルが発生した際の対応手順について詳しく解説します。
海上コンテナ輸送のラップが張り付く主な原因
海上コンテナでラップが張り付く原因は、温度と湿度の変化です。海上輸送では、コンテナ内部の温度が日中と夜間で大きく変動し、湿度も上昇します。この結果、荷物の表面に結露が発生し、ラップが強く張り付いてしまいます。特に、食品や化粧品などのパッケージが柔らかい素材でできている場合、フィルムが密着して剥がしにくくなります。
また、コンテナ内の換気が不十分な場合、蒸気がこもりやすくなります。貨物の梱包時にラップを強く巻きすぎると、圧力でフィルムが素材に押し付けられ、さらに密着が進みます。特に、PP（ポリプロピレン）やPE（ポリエチレン）などのプラスチック素材の包装では、この現象が発生しやすいのが特徴です。
実際に起こったトラブル事例
ある食品メーカーは、中国から日本へお菓子を輸入していました。輸送時にストレッチフィルムを使って荷物を固定していたのですが、コンテナが高温多湿の環境にさらされ、フィルムが商品パッケージに張り付いてしまいました。到着後、パッケージのデザインが剥がれたり、印刷がかすれたりしてしまい、一部の商品は販売不可能となりました。
また、化粧品メーカーが輸入したクリームのボトルも同じ問題に直面しました。プラスチックのラベル部分にラップが強く張り付き、ラベルが破れるトラブルが発生しました。特に高級ブランドの商品だったため、返品率が増加し、大きな損失につながりました。
ラップの張り付きを防ぐための対策
この問題を防ぐためには、いくつかの対策があります。まず、ラップを使用する際は、過度に密着させず、軽く巻くのがおススメです。特に、熱がこもりやすいコンテナでは、荷物同士の間に適度な隙間を確保し、通気性を向上させます。
また、ラップの素材を変更するのもひとつの方法です。静電気を抑える特殊なフィルム、粘着力が低いタイプのフィルムを使用することで、張り付きのリスクを軽減できます。実際に、一部の輸送業者では、熱に強いフィルムや防湿加工が施されたフィルムを活用し、トラブルの発生を抑えています。
さらに、温度・湿度管理ができるコンテナ（リーファーコンテナ）を使用することで、輸送環境の安定化ができます。特に、高温に弱い商品や、長距離輸送が必要な場合は、こうした特殊コンテナの利用を検討する価値があります。
トラブル発生時の対応手順
万が一、荷物にラップが張り付いてしまった場合、まず荷物の状態を確認し、どの程度の範囲でラップが張り付いているかを特定します。無理に剥がすとパッケージが破れる可能性があるため、ドライヤーやスチームアイロンを利用し、低温の蒸気を当てながらゆっくり剥がします。
ダメージ箇所を確認し、商品自体に問題がないか？販売可能か？を判断します。印刷部分の剥がれが少ない場合は、そのまま販売できることもあります。ラベルが剥がれた商品には、新たにシールを貼る、箱詰めにして販売するなど、リカバリー策が必要です。
同じ問題が繰り返されないよう、今後の輸送方法を改善しましょう！
まとめ
海上コンテナ輸送におけるラップの張り付き問題は、温度・湿度の影響や梱包方法によって発生します。実際のトラブル事例を見ても、この問題が輸送品質やコストに与える影響は無視できません。
適切な対策をして、問題が発生した際の迅速な対応を心がけることで、輸送時のリスクを最小限に抑えられます。特に、ストレッチフィルムの巻き方や素材選び、通気性の確保などの工夫をすることで、トラブルの発生を大幅に減らせます。
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