中古フォークリフト輸出の手続きと注意点|古物・抹消・バーゼル・外為法を実務で整理

中古フォークリフト輸出で最初に考えるべき判断軸

中古フォークリフトの輸出は、単なる中古機械の売買ではありません。実務では、 「この案件は進められるのか」「どこで止まる可能性があるのか」を最初に判断できるかどうかで、結果がほぼ決まります。

本記事は、手順を並べる解説ではなく、止まらないための判断軸を整理することを目的としています。

判断軸①:国内で「売ってよい立場」か(古物営業法)

最初の分岐点は、国内法上の事業資格です。中古フォークリフトを仕入れて輸出する場合、古物営業法に基づく古物商許可が前提になります。

フォークリフトは、実務上は建設機械などと同様に「機械工具類」として扱われるのが一般的です。自動車商に限定されるわけではありませんが、「中古品を業として売買する」以上、許可自体は必須です。

帳簿(古物台帳)で、

  • 誰から仕入れたか
  • いつ、いくらで取得したか
  • 機械の特定情報(型式・製造番号・車台番号等)

を説明できない場合、輸出以前に国内側で行き詰まります。

ここでの判断は明確です。

仕入れの経緯を第三者に説明できない機械は、輸出に向きません。

判断軸②:車両区分と抹消手続きは正しいか(道路運送車両法)

次の分岐は、そのフォークリフトが

  • 大型特殊自動車
  • 小型特殊自動車

のどちらに該当するかです。

大型特殊であれば、運輸支局での輸出抹消関連手続きが必須になります。小型特殊の場合は、市区町村での廃車申告が必要です。

この区分を誤ると、税関で輸出申告が通らないだけでなく、国内での課税が継続するなど、後処理の負担が大きくなります。

判断基準は「速度・寸法」です。

登録と抹消の説明ができない車両は、輸出工程に進めません。

判断軸③:そのフォークリフトは「中古品」と説明できるか(環境規制)

現在、最も多くの案件が止まるのがこの判断です。

税関は、そのフォークリフトが

  • 再利用目的の中古品か
  • 処分前提の廃棄物か

を見ています。

判断の核心は「正常作動性」と「輸送可能性」です。

エンジンがかからない、油圧が動かない、電動フォークでバッテリーが劣化している場合、 中古品ではなく廃棄物と判断されるリスクがあります。

また、電動フォークリフトの鉛蓄電池は危険物として扱われ、船会社によっては中古バッテリーの積載を制限している場合があります。動作可否だけでなく、

  • 液漏れがないか
  • 絶縁・固定が適切か
  • 船会社の受入条件を満たすか

という「船に載せられる状態かどうか」も判断材料になります。

ここで重要なのは主張ではなく証拠です。

  • 動作確認の記録
  • 点検日と担当
  • 写真(全景・銘板・バッテリー)

これらが揃って初めて、「中古品としての合理性」が説明できます。

判断軸④:安全保障上の問題はないか(外為法・輸出管理)

フォークリフトは兵器ではありませんが、外為法上の輸出管理の対象です。実務では、部品単体の規制よりも、車両全体としての用途・需要者確認(キャッチオール規制)が中心になります。

フォークリフト本体は、輸出貿易管理令別表第1の**16項(関税定率法別表第84類)**に関連する貨物として整理され、

  • 仕向地
  • 最終需要者
  • 最終用途

が大量破壊兵器等に関係しないかを自主的に確認する義務があります。

加えて、インバータなどの制御部品が搭載されている場合は、技術スペックによるリスト規制該当性の確認も必要です。

実務上の判断軸は次の2点です。

  1. メーカーに該非判定(非該当証明・パラメータ情報)を依頼できるか
  2. 用途・需要者を第三者に説明できるか

該非確認は、成約後ではなく成約前に行うのが最も安全です。

判断軸⑤:通関書類は一貫しているか

輸出通関そのものは、特別に難しいものではありません。

問題になるのは、

  • Invoiceの記載内容
  • 抹消証明との整合
  • 写真と実物の一致

といった「書類間のズレ」です。

中古フォークリフトの場合、車台番号が一致しない、状態説明が曖昧といった理由で確認が長引くことがあります。

輸出管理の始め方

判断軸⑥:仕向地側の輸入条件・検査要件を把握しているか

日本側の手続きが問題なくても、仕向地国の輸入条件を満たしていないと、現地で止まります。

特に注意が必要なのが、次の3点です。

1.船積前検査

船積前検査(PSI)です。スリランカ、ケニア、バングラデシュなどでは、JEVICやQISJ等の指定検査機関による検査が輸入条件になっています。検査を受けずに船積みすると、荷揚げ不可や積戻しのリスクがあります。

2.検疫・害虫対策

検疫・害虫対策です。土砂や害虫の付着があると、熱処理や再洗浄を命じられることがあります。

3.フロン排出抑制

フロン排出抑制法への対応です。キャビン付きフォークリフトでエアコン(冷媒)を搭載している場合、フロン類の回収証明、またはフロンが含まれていないことの説明を求められることがあります。

ここでの判断軸は単純です。

キャビン付きか。冷媒は適切に処理・説明できるか。

まとめ:中古フォークリフト輸出は「進め方」より「進めてよいか」の判断

中古フォークリフト輸出で重要なのは、手順を覚えることではありません。

  • 仕入れの正当性
  • 登録と抹消の整合
  • 中古品としての説明能力
  • 輸出管理上の問題有無

この4点を事前に確認できれば、多くのトラブルは回避できます。

判断に迷う場合は、無理に進めるより、 「この案件は今は進めない」という判断も、立派な実務判断です。

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