国際輸送をする上で、各国の政治や経済のリスクを知ることは重要です。その手段の一つとして、日本貿易保険(NEXI)が発行している「カントリーリスクマップ」は便利です。このマップを活用することで、国ごとのリスクを客観的に把握し、輸送の安全性を高め、リスクを最小限に抑えられます。
この記事では、カントリーリスクマップの見方や活用方法、国際輸送のリスクを適切に管理するための具体的な対策について解説していきます。
国際輸送とカントリーリスク
カントリーリスクとは、特定の国で発生する政治・経済・社会的な問題による取引のリスクです。国際輸送においては、特に以下のようなリスクに注意が必要です。
まず、政治リスクとしては、政情不安や戦争、政府の輸出入規制の変更などがあります。経済リスクには、為替の変動や経済危機、債務不履行(デフォルト)などがあります。また、通関や貿易に関するリスクもあり、輸入制限や関税の急な変更、港湾労働者のストライキなどが影響します。さらに、自然災害リスクとして、地震や台風、洪水などによる物流の混乱も考えられます。
NEXIのカントリーリスクマップの活用方法
NEXIが提供しているカントリーリスクマップでは、各国のリスクレベルを1から7の7段階で評価しています。リスクが低いほど安定した取引が可能で、高いほど慎重な対策が求められます。
- リスクが低い国(1~2)日本やアメリカ、カナダ、ドイツなどの先進国
- 中程度のリスク(3~5) ベトナムやインドネシア、メキシコなどの新興国
- 高リスク(6~7)の国 アフガニスタンやシリア、南スーダンなどの政情不安な国
リスクマップを活用することで、どの国と取引する際に注意が必要かを把握し、事前にリスクを回避するための対策を立てられます。
カントリーリスクを考慮した国際輸送のポイント
リスクレベルが6以上の国と取引する場合は、貿易保険を活用し、現地通関の最新情報を確認し、代替ルートを確保することが大切です。特に、政情不安のある国では、急な規制変更や港の封鎖といったリスクが高まるため、フォワーダーとしっかり連携を取り、バックアッププランを準備しておきます。
経済リスクの高い国では、為替の変動が激しくなることがあるため、為替ヘッジの活用をおすすめします。信用リスクが高い国では、代金の未払いを防ぐために、前払い取引や信用状(L/C)を利用すると安心です。また、通関リスクがある国では、貿易規制の変更が頻繁にあるため、最新の情報を収集し、必要な書類の準備が欠かせないです。
自然災害リスクのある国では、台風やハリケーンが発生しやすい時期を避けるなど、輸送のタイミングを工夫することが大切です。場合によっては、海上輸送よりも航空輸送を選択したほうが安全な場合もあります。特に、気候変動の影響を受けやすい地域では、長期的なリスク管理が重要です。
カントリーリスクマップを活用した輸送戦略
まず、対象国のリスクレベルをNEXIのカントリーリスクマップで確認し、そのリスクレベルに応じた対応を考えます。
- リスクレベルが1~2の国=通常の輸送手配で問題は起こりにくいです。
- リスクレベルが3~5の国では、輸送保険を活用するなど追加の対策が必要です。
- リスクレベルが6~7の国では、代替ルートの確保が重要です。
次に、リスクを回避するための対策を計画します。通関トラブルを防ぐために書類をしっかり準備し、支払いリスクがある場合は信用状(L/C)や前払いを活用しましょう。また、物流の遅延リスクを考慮し、納期には余裕を持たせることが大切です。
さらに、リスク情報は日々変化するため、定期的にNEXIや外務省、JETROなどの情報をチェックし、最新の状況を把握することが重要です。最新のリスク情報を基に対策を立てることで、より安全に国際輸送を進めることができます。
まとめ
国際輸送には、政治や経済、通関、自然災害などさまざまなリスクがあります。しかし、NEXIのカントリーリスクマップを活用すれば、リスクを事前に把握し、適切な対策を立てることができます。特に、リスクが高い国と取引する際は、貿易保険の活用、為替ヘッジ、代替ルートの確保を検討することが重要です。また、定期的に最新のリスク情報をチェックし、柔軟に対応することが成功のカギとなります。
リスクをしっかりと管理し、スムーズで安全な国際輸送を実現しましょう。