Q1: 税関検査で貨物が止まり、予期せぬ遅延が発生しました。どう対応すればよいですか?
税関は、輸入貨物の審査のために無作為で貨物の検査をします。しかし、輸入実績が少ない場合や、貨物の内容に疑問がある場合には、通常よりも検査の確立が上がり、審査も厳しいです。特に、過去の輸入申告で、申告された内容と異なる品目が発見された場合、貨物の全数検査が必要となり、長期間の遅延が発生する可能性があります。
例えば、40フィートコンテナで数百台の自転車(完成品)を輸入した際、コンテナ内に申告外の自転車パーツが含まれていたため、全数検査(内容点検)を実施することになる。結果、2週間以上の遅延と追加費用が発生した~などもあります。このような事態を避けるためには、貨物内容と書類の正確性を維持することが何よりも重要です。
万が一、税関からの検査通知を受けたら、どのような点が問題視されているのかを確認しましょう。場合によっては、輸入者側のミスが原因となっているため、誤りを訂正し、追加の説明や申請を行うことで早期解決を図ることができることもあります。
税関検査は、無作為と言えど、ある程度、データーに基づき実施されています。このデーターは、輸入者コードで管理される一連の輸出入実績を指します。過去、あなたが輸出入した実績は、良い意味でも悪い意味でも記録されています。これにより、税関検査の確立、厳しさ等が変わります。
税関検査の対象になりやすいケース
税関検査はランダムに実施されることもありますが、以下ケースに該当する場合は、特に検査対象となりやすいです。
輸入実績が少ない企業が初めて貨物を輸入する場合、税関はその企業の取引内容を慎重にチェックします。また、過去に輸入規制違反があった企業や、頻繁に申告内容の訂正を行っている企業も警戒されやすく、検査対象となる可能性が高くなります。
高額な商品、知財関連品、他法令貨物
高額商品やブランド品、電子機器など、知的財産権の侵害が疑われる品目は、模倣品の可能性があるため、重点的に検査されることがあります。同様に、食品や医薬品などの規制対象品目についても他法令の確認を受けているのか?の観点で、厳しい審査を受けることが多いです。
貨物の内容が申告書と一致していない場合も注意が必要です。
例えば、自転車の本体の他、パーツが含まれているなどです。基本的にコンテナの中に入れている貨物は、ダンボール一つであっても申告する義務があります。申告しなくても良い貨物はないです。全てが申告の対象です。
段ボールくらい~や化粧箱くらい~、マニュアルくらい大丈夫~と言っている人は単なる素人です。これらの意見は無視しましょう。段ボール一つでも申告する義務があります。
この基本原則を破ると、税関は輸入者が関税を逃れるために申告を意図的に行わなかったのではないかと疑うことになります。
コンテナに入れる貨物は全て申告の対象です。
税関検査による遅延を未然に防ぐための対策
どうすれば、税関検査による遅延を防げるのでしょうか?
まず、インボイスやパッキングリストの内容を正確に作成し、申告内容と貨物の実態を一致させます。誤った情報が含まれていると、それだけで検査の対象となる可能性が高まります。価格情報は適切ですか? あまりにも低い価格は「アンダーバリュー」が疑われます。
また、過去の輸入実績が少ない場合は、事前に税関に相談し、問題がないか確認するのも有効です。特に初めて輸入を行う場合や、これまで扱ったことのない品目を輸入する際は、規制や必要な書類を確認しておくことで、検査のリスクを減らすことができます。
さらに、輸入前に貨物の内容を再チェックし、不要なものが混入していないかを確認することも大切です。作業員が誤って異なる品目を梱包してしまうケースは少なくありません。こうしたヒューマンエラーを防ぐためには、出荷前の最終確認を徹底します。
万が一、貨物が税関検査にかかった場合、できるだけ迅速に対応できるように、関係書類を整えておきましょう。検査が長期化する場合は、税関に交渉し、一部の貨物だけでも通関できるように調整することで、ビジネスへの影響を最小限に抑えることが可能です。
まとめ
- 税関検査は無作為に行われるが、輸入実績が少ない企業や規制対象品目は特に検査されやすい。
- 申告外の貨物が発見されると、全数検査が実施される可能性があり、大幅な遅延と追加費用が発生する。
- インボイスやパッキングリストの内容を正確に作成し、貨物の実態と一致させることが重要。
- 初めて輸入を行う場合は、事前に税関と相談し、必要な書類や規制を確認することでリスクを軽減できる。
- 出荷前に貨物の最終確認を行い、不要な品目が混入していないかチェックリストを活用して確認する。
- 税関検査にかかった場合、迅速に対応できるよう、必要な書類をすぐに提出できる体制を整えておく。
- 検査が長期化する場合は、一部の貨物のみ通関できるよう税関と交渉する。