2018年3月6日、インド洋を航行していた大型コンテナ船、Maersk Honam(マースク・ホナム)が、突然の火災に見舞われました。貨物の一部が激しく燃え上がり、乗組員5名が死亡する深刻な事故となりました。事故は、コンテナ船における火災の危険性を浮き彫りにし、輸送業界に大きな影響を与えました。
この記事では、Maersk Honam事故の概要、原因、影響、火災リスクを防ぐための対策について詳しく解説します。
Maersk Honam事故の概要
Maersk Honamは、全長353m、積載能力15,000TEUの超大型コンテナ船で、世界最大級の海運企業Maersk Lineが運航していました。
事故は2018年3月6日、アラビア海(インド洋)を航行中に発生しました。船の前部に積載されていた貨物の一部から突然火が上がり、火災は猛スピードで燃え広がり、消火が困難な状態となりました。
乗組員27名は救命ボートで脱出を試みましたが、5名が死亡する悲劇的な事故となりました。火災発生から数週間後、Maersk Honamはインドのジャワハルラール・ネルー港に曳航され、前部が完全に焼失した状態で到着しました。

火災を完全に制御するまでに約5日間を要したようです。
Maersk Honam事故の原因
火災の原因は正式には特定されていません。ですが、主に危険物貨物(ハザード貨物)の発火だと推察されています。
1. 危険物の不適切な取り扱い
当時、Maersk Honamには、危険物(ハザードクラス)に分類される貨物が多数積載されていました。特に、化学物質や可燃性のある物資が適切に管理されていなかった可能性があります。

7,860本のコンテナが積載されており、その中に危険物貨物が含まれていました。
2. 自己発火のリスク
一部の化学物質や有機物は、一定の温度や湿度の条件下で自己発火するリスクがあります。Maersk Honamの火災も、このような自己発火が引き金になった可能性が指摘されています。
3. 火災の早期発見と消火の難しさ
コンテナ船では、火災が発生した場合でも貨物の密閉性が高いため、煙や熱の検知が遅れることがあります。さらに、積み上げられたコンテナの間で火災が拡大すると、船内の消火システムでは対応しきれなくなることもあります。
事故がもたらした影響
Maersk Honamの火災事故は、物流業界、船舶設計、貨物管理に大きな影響を与えました。
1. 乗組員の安全問題
この事故で5名が死亡し、船員の安全対策の見直しが求められました。特に、危険物の積載時における船員の教育と緊急時の対応策が強化されました。
2. 保険金の巨額支払い
事故による損害は、約5億ドル(約700億円)に及ぶとされ、保険業界でも大きな問題となりました。火災が発生した貨物の特定が難しく、保険の支払い範囲についても議論が続きました。
3. 危険物輸送ルールの見直し
Maersk Honamの事故を受けて、各海運会社は危険物の積載基準を厳格化し、積載場所の指定や追加の安全対策を導入しました。
この事故から学ぶべきポイント
Maersk Honamの火災事故は、コンテナ輸送における危険物管理の重要性を示しています。今後、同じような事故を防ぐために、以下の対策が重要だと思います。
1. 危険物の適切な積載管理
荷主は、危険物を適切に分類し、適正な温度や湿度の管理を徹底する必要があります。また、積載位置も考慮し、万が一の火災発生時に対応しやすい配置にすることが重要だと考えます。
2. 早期発見システムの強化
現在のコンテナ船では、火災の早期発見が難しいため、高感度の煙探知センサーや温度監視システムの導入が求められます。
3. 消火設備の改良
従来の消火システムだけでは、大規模な火災には対応が難しいため、新しい消火技術の導入が必要です。特に、船舶用の自動消火システムや、コンテナ内部の冷却機能を強化する技術の開発が進められています。

この事故により、国際海事機関(IMO)のIMDGコードに基づく危険物輸送ガイドラインやSOLAS条約における火災安全設備の強化されました!
まとめ
- Maersk Honamの事故:危険物貨物の発火による大規模な火災事故
- 主な原因:危険物の不適切な取り扱い、自己発火のリスク、火災の早期発見の難しさ。
- 影響:乗組員の安全問題、巨額の保険支払い、危険物輸送ルールの強化
- リスク対策:危険物の適切な管理、早期発見システムの導入、消火設備の改良。
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