原産地証明書の問題による通関トラブルと対策

Q1: 原産地証明書の不備が原因で特恵関税が適用されず、追加関税が発生しました。どう対応すればよいですか?

自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)を利用することで、輸入関税を軽減または免除できる特恵関税制度があります。しかし、この特恵関税を適用するためには、輸入貨物が協定の原産地基準を満たしていることを証明する「原産地証明書」が必要です。

もし、原産地証明書の不備や誤りにより特恵関税が適用されない場合、通常の関税率が適用され、追加の関税を支払う必要があります。まず、税関からの指摘内容を確認し、どの部分に問題があるのかを特定しましょう。誤った情報が含まれている場合は、輸出者に正しい原産地証明書を再発行してもらうことが可能か交渉します。

また、FTAやEPAの規定により、一定期間内であれば事後的に原産地証明書(遡及発行)を提出し、関税の還付を申請できるケースもあります。追加の関税を支払った場合でも、還付手続きを行うことで取り戻せる可能性があります。

原産地証明書に関するトラブルが発生しやすいケース

原産地証明書に関する問題が発生する原因には、いくつかのパターンがあります。

まず、原産地証明書の記載内容に誤りがある場合、税関が証明書の正当性を認めず、特恵関税の適用が拒否されることがあります。例えば、輸出者の情報や品目の詳細が記載ミスされていると、証明書が無効と判断されることがあります。

次に、輸入貨物がFTAやEPAの原産地基準を満たしていない場合も問題です。

例えば、アジアの工場で製造された電子機器を日本に輸入する際、特恵関税を適用するためには、一定割合以上の部品や工程が協定対象国で行われている必要があります。この基準を満たしていないと、原産地証明書が提出されていても特恵関税は適用されません。

また、原産地証明書の有効期限が切れている事もあります。原産地証明書には発行日から有効期限が定められていることが多く、期限が切れた書類は特恵を受けられないです。

原産地証明書の問題を未然に防ぐための対策

原産地証明書のトラブルを回避するためには、事前の確認が重要です。まず、輸入する貨物がFTAやEPAの適用条件を満たしているかを、輸出者と事前に確認しましょう。その際に最も大切なことは、輸入国側の税関が認めるHSコードです。

例えば、海外から商品を日本に輸入する場合は、日本の税関が認める商品のHSコードを特定します。特定したHSコードを売り手側(輸出国側)で伝えることで初めて適用される原産地基準が明らかとなり、結果、用意するべ資料がわかります。

今一度、証明書の記載内容をチェック!

原産地証明書の記載内容を細かくチェックし、輸入申告する前に誤りがないかを確認しましょう。輸出者から提供された書類をそのまま使用するのではなく、記載内容が正確かどうかを精査し、必要に応じて修正を依頼します。

例えば、製造工程の証明書や部品の調達先に関するデータを用意しておくことで、税関審査がスムーズに進みやすくなります。

小規模な事業者であっても、税関の無料相談窓口を活用し、事前に必要な書類や手続きを確認することで、特恵関税適用の可否を事前に把握することが可能です。また、原産地証明書の有効期限が切れないように、書類の管理を徹底することも大切です。

輸入通関に原産地証明書が間に合わない場合の対応方法は?

万が一、輸入申告までに原産地証明書が到着しない場合は、一旦、通常の輸入申告をし、原産地証明書が届き次第、事後的に特恵税率の適用に関する申告ができます。手順は次の通りです。

事後的に特恵税率を適用する場合の手順

  1. 輸入時に通常の関税率で輸入申告を行う。
  2. 輸入許可後、特定原産地証明書を入手したら…….
  3. 特定原産地証明書を税関に提出し、特恵税率の適用を申請する。
  4. 税関が申請を認めた場合、一般の関税率と特恵税率の差額が還付される、

ただし、事後的な特恵適用には期限があるため、速やかに手続きをします。また、事後確認の対象となる可能性もあるため、原産性を証明する書類を適切に保管します。

まとめ

  • 原産地証明書の不備があると特恵関税が適用されず、追加関税の支払いが発生する。
  • 記載内容の誤り、原産地基準の未達成、有効期限切れが主な原因となる。
  • 税関の指摘を受けた場合、輸出者と連携して修正証明書を取得する。
  • 一定期間内であれば、事後的に原産地証明書を提出し、関税還付を申請できるケースもある。
  • 輸入前に輸出者と確認し、原産地基準を満たしているか慎重にチェックする。
  • 原産地証明書の内容を事前に精査し、誤りがないか確認する。
  • 製造工程の証明書や部品の調達データを準備し、税関審査をスムーズに進める。
  • 有効期限を管理し、期限切れの証明書を使用しないよう注意する。

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