運航途中での事件や事故による輸送の遅延とその対策

Q1: 船舶が運航途中で事件や事故に巻き込まれ、輸送が大幅に遅延することがあると聞きました。どのようなケースがあるのでしょうか?また、どのように対応すればよいですか?

国際輸送では、船舶が運航途中でさまざまな事件や事故に巻き込まれ、予定通りのスケジュールで到着しないことがあります。特に、海賊による襲撃、海上衝突、悪天候による航路変更、エンジントラブルによる航行不能紛争地域を通過する際のリスクなどが挙げられます。これらは突発的に発生するため、貿易業者にとっては頭の痛い問題です。

例えば、アフリカ沖や中東地域の特定の海域では、海賊による襲撃が依然として問題となっています。海賊が船舶を拿捕した場合、貨物の到着が数週間、場合によっては数カ月遅れることもあります。また、主要な海上航路であるスエズ運河やパナマ運河での事故が発生した場合、代替航路の選択を迫られ、大幅な遅延が発生することがあります。

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エンジントラブルや船舶の衝突事故などの技術的な問題も、輸送の遅延を引き起こす原因です。特に、コンテナ船が運航中にエンジン故障を起こした場合、修理が完了するまでの間、貨物は目的地に向かえず、貿易業者は長期間の待機を強いられることになります。

輸送中の事件や事故への対策

運航途中での事件や事故による遅延を最小限に抑えるためには、事前のリスク管理が重要です。まず、貨物保険への加入はマストです。海賊襲撃や事故による損害が発生した際に、適切な補償を受けられるよう、適切な保険契約を締結しておきましょう!

また、輸送スケジュールを組む際には、リスクの高い海域を通るルートを避ける選択肢を検討することも有効です。特に、海賊のリスクが高い地域を航行する場合、コンボイ(護衛船団)を利用する船会社を選ぶことで、安全性を高められます。船会社のセキュリティ対策を確認し、より安全なルートでの輸送を選択することがリスク回避につながります。

貨物の航行リスクは内閣官房のページ又は、貿易保険のカントリーリスクマップReCAAP (アジア海賊対策地域協力協定)などで確認ができます。

さらに、輸送ルートの多様化も有効な戦略の一つです。海上輸送に頼りすぎず、鉄道輸送や航空輸送を組み合わせることで、万が一の遅延リスクを分散できます。特に、緊急性の高い貨物については、リスクの少ない輸送手段を優先的に選ぶことで、納期の安定性を確保できます。

抜かりなき情報収集も大切

情報収集も重要なポイントです。最新の航行リスク情報を把握し、問題が発生しやすい地域を事前に特定することで、リスクのある海域を避けられます。

日本の輸入者として注意するべきこと

日本側の輸入者としても、運航途中の事故や事件による遅延に備えた対策が重要です。まず、輸入予定の貨物がリスクの高い海域を通過する場合、フォワーダーや船会社と事前に確認し、可能な限り安全なルートを選択します。

また、万が一の遅延を考慮し、十分な納期の余裕を持つことが推奨されます。特に、繁忙期や特定のイベント前に輸入する貨物については、リードタイムを長めに設定し、輸送の遅れによる影響を最小限に抑える工夫が必要です。

貨物保険を活用し、事故や遅延に伴う経済的リスクを軽減することも大切です。特に、高額な貨物や時間に敏感な製品を輸入する場合は、保険の補償範囲を詳細に確認し、必要に応じて追加の補償を検討することが望ましいです。

物流会社との連携も欠かせません。輸送中のトラブル発生時には、迅速な情報共有が鍵を握ります。フォワーダーや通関業者と緊密に連携し、状況に応じた代替輸送手段の手配がスムーズに行えるよう、事前に準備を整えておくことが求められます。

例えば、航空輸送を採用するなどです。あまりにもリスクが高い地域は、航空輸送した方がトータル的な観点から輸送費が安くなるケースがあります。

まとめ

  • 船舶の運航途中で海賊襲撃、事故、悪天候、エンジントラブル、紛争などが発生し、輸送が遅延するリスクがある。
  • 海賊の多発する海域では、護衛船団を利用するなど、船会社のセキュリティ対策を確認することが重要。
  • 貨物保険に加入し、万が一の損害に備えることで、リスクを軽減できる。
  • リスクの高い海域を避けるため、輸送ルートの多様化を検討し、鉄道や航空輸送も視野に入れる。
  • 最新の航行リスク情報を把握し、問題が発生しやすい地域を避ける対策を講じる。
  • 日本の輸入者は、フォワーダーと連携し、安全な輸送ルートを確保することが重要。
  • 予期せぬ遅延に備え、納期に余裕を持たせることが推奨される。
  • 貨物保険を活用し、輸送中のトラブルによる経済的リスクを軽減する。
  • 輸送中のトラブル発生時に迅速に対応できるよう、物流会社との連携を強化する。

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