超大型貨物(オーバーサイズカーゴ)の国際輸送は、一般的なコンテナ貨物とは異なり、特別な輸送方法や通関手続きが必要です。特に、建設機械、工業設備、大型発電機、船舶部品などは、専用の輸送手段やラッシング(固定方法)を理解しておくことが非常に重要です。
この記事では、超大型貨物の輸送方法、輸送時の注意点、通関手続きなどについて解説していきます。
超大型貨物の国際輸送
超大型貨物の主な対象品目
輸送対象となる超大型貨物には、以下があります。
建設機械・土木機械
- ショベルカー(油圧ショベル)
- ブルドーザー
- ダンプトラック(オフロード用含む)
- ホイールローダー
- グレーダー(整地機)
- ロードローラー
- パイルドライバー(杭打ち機)
- クレーン(移動式・固定式)
工業設備・発電機器
- 発電機(ディーゼル・ガスタービン)
- トランスフォーマー(変圧器)
- ボイラー・蒸気タービン
- 風力発電機(ブレード・ナセル)
- 石油精製装置・プラント設備
- 造船用エンジン・プロペラ
鉄道・航空・船舶関連機器
- 鉄道車両(貨車・電車・機関車)
- 航空機部品(エンジン・胴体セクション)
- 船舶構造部品(ハッチカバー・クレーンアーム)
日本からの主な輸出先国
日本の超大型貨物の輸出先は、インフラ整備や産業の発展が進む国々が中心です。特に以下の地域で高い需要があります。
アジア
- 中国:建設機械・工業設備・発電機などの輸出が多い。
- インド:インフラ整備が進んでおり、大型建設機械の需要が高い。
- インドネシア:鉱山開発向けのダンプトラックやショベルカーを輸出
- フィリピン:農業・建設分野で日本の中古建機が人気。
中東・アフリカ
- UAE(アラブ首長国連邦):建設・石油関連設備の輸出が活発
- サウジアラビア:発電機や建設用クレーンを輸出
- 南アフリカ:鉱山開発向けの大型ダンプトラックが多く輸出される。
北米・中南米
- アメリカ:中古建設機械の輸出先として安定した需要
- メキシコ:自動車産業の発展に伴い工業設備の輸出が増加
- ブラジル:農業機械・発電機・建機が輸出されている
欧州・オセアニア
- ドイツ:製造業向けの産業機械や発電設備が多く輸出される。
- オーストラリア:鉱業向けの大型ダンプトラック・ショベルカーの需要
超大型貨物の輸送方法
1.RoRo(Roll-on/Roll-off)船輸送
RoRo船は、車両や重機を自走させて積み込む輸送方法です。ショベルカーやダンプトラックなど、車両型の機械を輸送するときに使います。
2.フラットラックコンテナ輸送
フラットラックコンテナ(Flat Rack)は、天井と側面がない特殊コンテナで、大型の貨物を輸送する際に利用されます。ラッシング(固定)を強化し、輸送中の安定性を確保します。
3.オープントップコンテナ輸送
高さがある貨物は、天井のないオープントップコンテナを使用します。クレーンをで上から積み込めるため、上方向に制限がある貨物にも適用できます。
4.重量物専用船(Breakbulk Ship)
1台あたり数十トン以上の重量がある機械や構造物は、重量物専用船(ブレークバルク船)を使用します。クレーン付きの船舶を利用し、港湾で荷役作業をします。
5.超重量貨物トレーラー(モジュラートランスポーター)
港までの陸送では、モジュラートランスポーターを使用することがあります。長さや幅が極端に大きい貨物を輸送する際に、専用の車両が必要です。
超大型貨物の梱包・固定方法
ラッシング(固定)
- ワイヤーやチェーンを使用し、貨物をしっかりと固定する。
- ウッドブロックやスチールフレームを用いて振動を最小限に抑える。
防錆・防汚対策
- 海上輸送では塩害が発生しやすいため、防錆コーティングを施す。
- 輸送中の環境変化に対応するため、防水シートを活用する。
オイル・燃料の抜き取り
- 燃料やオイルが残っていると輸送制限がかかるため、事前に抜き取る。
- バッテリーの取り外しや、エンジンのロックを施す。
超大型貨物の通関手続きと必要書類
主要なHSコード
- 8429.52.00(ショベルカー)
- 8704.10.00(ダンプトラック)
- 8430.49.00(杭打ち機)
- 8502.20.00(発電機)
- 8602.10.00(鉄道車両)
必要な書類
- インボイス(Commercial Invoice):貨物の詳細、価格、取引条件を記載。
- パッキングリスト(Packing List):梱包内容や重量を明記。
- B/L(船荷証券):貨物の所有権を証明する書類。
- 輸出許可証(一部の機械類に必要)
- 原産地証明書(Certificate of Origin):関税優遇を利用する際に必要

輸入国側の輸入規制を確認しましょう!
まとめ
- 超大型貨物は専用の輸送手段が必要。
- ラッシングや防錆処理を徹底し、安全な輸送を実現。
- 通関手続きでは適切なHSコードと書類準備が必須。
- 事前準備とサプライヤーとの綿密な調整が成功のカギ
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