危険!季節変動で巻取製品が劣化・破損するトラブルと防止策

国際輸送において、巻取製品は特に季節変動の影響を受けやすい貨物の一つです。気温や湿度の変化により、紙、フィルム、金属シートなどの巻取製品が変形したり、粘着性を失ったりすることがあります。

この記事では、季節変動が巻取製品に与える影響とトラブル事例、対策を説明します。

季節変動と巻取製品の輸送トラブル

輸送ルートや目的地の気候条件によって、巻取製品は、様々な影響を受けます。特に以下の要因が、製品の品質低下や輸送トラブルを引き起こします。

巻き取り製品系はこんなトラブルが発生することが多い。

高温環境での変形や粘着性の低下

夏場の高温環境では、フィルムや粘着テープ、紙製品の巻取製品が軟化し、形状が変わることがあります。特に、プラスチックフィルムや感熱紙は、一定以上の温度にさらされると変質し、使用不能になるリスクが高いです。また、接着剤を含む製品の場合、高温により粘着性が低下することもあります。

低温環境での脆化や割れ

冬季の寒冷地域では、巻取製品の素材が脆くなり、巻き取りの際に割れたりひびが入ることがあります。特に、金属箔やラミネート加工された紙などは、低温下で硬化し、巻き解きの際に破損するリスクが高まります。

湿度変化による膨張や収縮

湿度が急激に変化すると、紙やフィルムの巻取製品が膨張・収縮を繰り返し、寸法の変化や品質劣化が発生します。

例えば、紙製品は湿気を吸収すると膨らみ、乾燥すると縮むため、印刷機での加工精度に影響を与えます。湿度管理が適切でないと、寸法のズレや歪みが発生し、最終製品の品質に悪影響を及ぼすことがあります。

具体的な巻取製品の輸送トラブル事例

高温環境によるフィルムの変形

ある輸入業者がプラスチックフィルムを輸入した際、コンテナ内の温度が40℃以上に達し、フィルムが部分的に溶けて粘着性を失うトラブルが発生。原因は、夏季の輸送で適切な温度管理がされていなかったことでした。フィルムが重なった部分がくっつき、顧客へ納品できない状態となり、大量の廃棄ロスが発生

低温環境での紙製品のひび割れ

冬季に紙の巻取製品を輸送した際、低温により紙が硬化し、巻き戻しの過程でひび割れが発生しました。特に、寒冷地を経由するルートでは、輸送中のコンテナ内温度が氷点下にまで下がり、紙が硬くなったことが原因でした。この影響で、加工時に紙が切れやすくなり、製品の不良率が増加しました。

湿度変化による金属箔の収縮と品質低下

ある企業がアルミ箔の巻取製品を輸入した際、高湿度環境と乾燥環境を繰り返し経験した結果、金属箔の寸法が変化し、加工精度に影響を及ぼしました。特に、海上輸送の途中で湿度が高くなり、港湾での一時保管時に乾燥したことで、寸法ズレが発生しました。この結果、顧客の製造ラインでの使用に支障が出る事態となりました。

季節変動によるトラブル対策

どうすれば、巻き取り製品の季節性トラブルを防げるのでしょうか? 主な方法は、次の4つです。

1. 温度管理の徹底

温度変化による影響を抑えるため、特に高温・低温環境に敏感な製品では、リーファーコンテナ(温度調整可能なコンテナ)の使用を検討すべきです。また、輸送ルートを考慮し、寒冷地を避けるルートを選択することも有効です。さらに、温度記録デバイス(データロガー)を使用して、輸送中の温度変化をモニタリングすることも重要です。

2. 湿度対策の強化

コンテナ内の空気循環を適切に管理し、湿気がこもらないようにする。特に、湿度管理が難しい貨物には、複数のデシカント(防湿対策)を配置し、コンテナ内の湿度を一定に保ちます。

  • 吸湿材(シリカゲル、乾燥剤)を使用する
  • 防湿フィルムやバリア袋で巻取製品を包む
  • 防水パレットや防湿コンテナを利用する

3. 巻取製品の適切な固定

輸送中の揺れによる巻取製品の変形や荷崩れを防ぐため、しっかりと貨物を固定します。

  • パレット梱包を採用し荷崩れを防ぐ
  • ラッシングベルトの使用
  • エアバッグクッションを活用し輸送中の荷動きを防ぐ。

まとめ

季節変動による巻取製品の輸送トラブルは、温度変化、湿度変化、輸送中の衝撃による品質劣化が主な原因です。輸入者は、リーファーコンテナの利用、防湿梱包、適切な貨物固定、輸送シミュレーションなどの対策を講じることで、リスクを最小限に抑えることができます。輸送環境を十分に考慮し、品質を守るための適切な準備を行いましょう。

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