抜港とは?Blank Sailingとの違いと基本知識を解説

抜港とは?その基本概念を解説

国際輸送を行う際、船舶のスケジュール変更によって発生する「抜港(Port Omission)」という事象があります。抜港とは、予定されていた寄港地を船舶が立ち寄らずに通過することを指します。これにより、その港で積み降ろしを予定していた貨物が輸送されない、または別の手段で配送されることになります。

抜港は、さまざまな要因によって発生します。港の混雑、天候不良、機材トラブル、貨物量の変動、燃料費の高騰、あるいは船会社の戦略的判断によって決定されることがあります。特に近年では、世界的なサプライチェーンの混乱により、抜港の頻度が増加しています

Blank Sailingとは何か?抜港との違い

抜港と混同されやすい用語として「Blank Sailing(ブランクセーリング)」があります。Blank Sailingとは、特定の航路やスケジュールの運航自体を取りやめることを指します。つまり、抜港が「一部の港を飛ばして運航を続ける」のに対し、Blank Sailingは「航路そのものがキャンセルされる」点が異なります。

例えば、ある航路でA港→B港→C港と寄港する予定だった船が、B港を抜港してA港からC港へ直接向かう場合は「抜港」です。一方で、A港→B港→C港という航路自体が一時的に運休となる場合は「Blank Sailing」に分類されます。

抜港の主な原因

抜港はさまざまな理由で発生しますが、特に以下の要因が主要な原因となります。

1. 港の混雑

近年、世界各地の主要港では貨物の急増による混雑が深刻化しています。港湾施設の処理能力を超えた貨物が集中すると、荷役作業の遅れやバースの不足により、スケジュール通りの寄港が難しくなります。これにより、船会社は遅延を回避するために一部の港を抜港する判断を下すことがあります。

2. 天候不良

台風、ハリケーン、強風、濃霧などの悪天候により、港湾での安全な荷役作業が困難になる場合、船舶は予定された港への寄港を取りやめることがあります。特に東南アジアやアメリカ西海岸では、季節的な気象条件による抜港が頻繁に発生します。

3. 燃料費削減と経済的要因

「燃料費の高騰や運航効率の最適化のため、船会社が抜港を決定することがあります。また、貨物量が少ない港に寄港する経済的メリットが薄い場合、抜港が決定されることもあります。

4. 機材トラブルやストライキ

クレーンなどの港湾設備の故障や労働者のストライキにより、特定の港での荷役が不可能になることがあります。その場合、船会社は抜港を決定し、他の港で貨物の処理を行うことになります。

抜港が与える影響

抜港が発生すると、荷主をはじめとする関係者に大きな影響を与えます。主に以下のような問題が生じます。

1. 納期の遅延

貨物が予定していた港に届けられず、別の港で積み替えられる場合、輸送スケジュールが大幅に遅れる可能性があります。特にJust-in-Time(JIT)方式の物流を採用している企業にとっては、抜港による遅延は深刻な影響を及ぼします。

2. 追加コストの発生

抜港により、貨物が別の港に到着した場合、追加のトラック輸送費や保管費用が発生することがあります。また、再輸送が必要になった場合、フォワーダーや船会社との調整が必要になり、手続きの手間も増加します。

3. サプライチェーンの混乱

抜港が発生すると、輸送計画全体が影響を受けるため、サプライチェーン全体に混乱をもたらす可能性があります。特に製造業では、部品や原材料の遅延が生産スケジュールに影響を及ぼし、最終製品の納期にも影響が出ることがあります。

抜港の影響を最小限に抑える方法

抜港のリスクを完全に回避することは難しいですが、影響を最小限に抑えるためには以下の対策が有効です。

1. 代替輸送ルートの確保

事前に複数の航路を検討し、代替の輸送手段を確保しておくことで、抜港による影響を最小限に抑えることができます。

2. 最新のスケジュール情報を確認

船会社やフォワーダーと密に連携し、最新の運航スケジュールを定期的に確認することで、抜港の発生を事前に把握し、迅速な対応を行うことが可能です。

3. 余裕を持った納期設定

納期に余裕を持たせることで、万が一抜港が発生した際にも対応できるようになります。特にシーズンピーク時には、通常よりも早めのスケジュールを設定することが重要です。

まとめ

  • 抜港とは、予定された港に船舶が寄港せずに通過すること。
  • Blank Sailingは、一時的に航路の一部または全体が運休となる点で異なる。
  • 抜港の主な原因は、港の混雑、天候不良、燃料費削減、機材トラブルなど。
  • 影響として、納期遅延、追加コスト、サプライチェーンの混乱が発生する可能性がある。
  • リスクを抑えるためには、代替ルートの確保や納期の余裕を持つことが重要。
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