202X年版:日中韓の国際輸送ルート比較|コスト・日数・混雑リスクで選ぶ

202X年版:日中韓の国際輸送ルート比較

国際輸送を行う荷主にとって、コストや所要日数、混雑リスクはもちろんのこと、地政学リスクや環境対応、物流のデジタル化も踏まえたルート選定がますます重要です。

この記事では、日本・中国・韓国を結ぶ主要ルートの特徴を整理し、実務的な観点からどのルートを選ぶべきかを解説します。

日本発着の主要ルートと基本特徴

日本からアジア諸国へ貨物を輸送する際の主要港は、東京港、横浜港、大阪港、神戸港、博多港などがあります。これらの港は韓国・中国との接続便が多く、週に複数本の定期航路が設定されている点が特徴です。特に博多港下関港は韓国・釜山港との連携が強く、リードタイムの短さやドレージコストを下げられるメリットがあります。

コスト面での比較

最も低コストで輸送できるのは、中国・青島港や寧波港を経由するルートです。日本発の混載(LCL)貨物でもこれらの港はコンソリデーション機能が充実しています。

一方、釜山港を利用するルートは若干コストが上がる傾向があります。ただし、定時性と近さなどからトータルコストが抑えられる部分も大きいです。

所要日数と混雑リスクの違い

輸送日数は、中国本土向けの場合、通常で3〜6日、韓国・釜山経由では1〜3日と比較的短期間で輸送できます。ただし、中国の港湾は、近年コンテナ取扱量が急増しており、祝祭日やコロナ関連規制によって突発的な混雑が生じやすい傾向があります。

その点、釜山港は港湾の自動化と設備投資が進んでおり、オペレーション効率の高さから混雑による遅延が比較的少ないです。

デジタル化・ロジスティクスDXの進展

近年の国際輸送では、電子通関(NACCS・中国のChina E-Port・韓国のUNI-PASS)やリアルタイムの貨物トラッキングシステムが標準化されつつあります。さらに、釜山港では自動クレーンを導入したスマート港湾化が進行しており、上海港でもAIによる自動配船や混雑予測システムが実装されています。

こうしたITインフラの整備によって、リードタイムの短縮だけでなく、荷主による可視化管理やスケジュール予測の精度も向上しており、港の選定においても“IT対応力”は重要な指標となりつつあります。

災害・地政学リスクと代替ルート戦略

日本では南海トラフ地震をはじめとする自然災害リスクへの備えが欠かせません。首都圏や京阪神地域の主要港が被災した場合に備え、博多港や北陸地方の港、さらに韓国・釜山港を経由した輸送ルートをあらかじめ計画しておくことは、BCP(事業継続計画)の観点からも非常に重要です。

また、中国沿岸部の政治的緊張や港湾ストライキ等の影響を考慮すると、韓国をハブとしたトランシップ(積替)戦略は、安定輸送の手段として再評価されています。

環境規制とサステナブル輸送の視点

2025年以降、IMO(国際海事機関)による排出ガス規制が強化され、船社によっては特定ルートの運航頻度や燃料サーチャージが変更される動きも出ています。また、釜山港では低炭素輸送のための陸電供給や再生エネルギー活用が進められており、グリーン物流の拠点として注目されています。

このような動向を踏まえ、ESG配慮型企業や欧州系バイヤーと取引のある荷主にとっては、港の環境対応能力もルート選定の要因となるでしょう。

鉄道・複合一貫輸送の可能性

中国では「中欧班列」などの鉄道輸送が拡充されており、日本貨物を上海・青島経由で中国内陸~欧州まで鉄道で一貫輸送するルートも台頭しています。また、韓国の釜山港では「SEA & RAIL(海陸一貫)」による内陸都市との接続強化が進んでおり、従来の港湾単独輸送に代わる柔軟なオプションです。

今後、こうした複合輸送を活用することで、コストの最適化と輸送リスク分散を同時に実現できる可能性があります。

結論:荷主が重視すべきルート選定軸

日中韓それぞれの港湾ルートにはメリットとリスクがあり、単一の指標ではなく、以下の観点を総合的に評価することが重要です。

  • 輸送コストと距離
  • 所要日数と混雑リスク
  • 港湾のデジタル化・可視化対応
  • 災害リスクやBCP戦略
  • 環境規制対応とESG視点
  • 複合輸送の活用可能性

これらを踏まえ、実際の貨物特性や取引先要求に応じて最適ルートを設計することで、SCM全体の安定性と競争力を大きく向上させられます。

記事のまとめ

  • 中国ルートはコスト面で有利だが混雑リスクも高い
  • 釜山ルートは安定性とIT対応で優位性がある
  • 災害リスクや環境規制、複合輸送の視点も加えることでより現実的な選定が可能
  • 最新の港湾デジタル化やトラッキング技術も重要な判断材料
  • 荷主は単に“安いルート”ではなく“最適ルート”を設計する必要がある

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